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松江市中心部にそびえ立つデカいビル。あれは一体何だい?
寝台列車を降りたら、出雲大社へ行くでしょ
7月17日の夜に東京駅からサンライズ出雲に乗り込んで、コンクリートジャングルを縫うように走る東海道本線から山陰地方の山々をなんとか乗り越えて、出雲市駅までやってきた。
出雲市駅から一番最初に向かう場所は決まっている。それはご存知「出雲大社」である。
出雲大社までは山陰地方唯一となる私鉄「一畑電車」に乗り込む。
綺羅びやかで目を瞬かせる程に輝いていた東京の夜から一変、今度は静かで落ち着いた空気が広がる出雲市内を走り抜く電車へ乗り換える。
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電鉄出雲市駅には自動改札が無い。
なので切符を駅員さんの手によって入鋏してもらう。何たるロスタルジー、と思いきや自動券売機は電子マネーやクレジットカードが利用できるハイテク、という時空の歪み的なのを味わうことができる。
【券売機の更新について】
— 一畑電車 (@ichibatadensya) March 25, 2022
一畑電車では、この度、電鉄出雲市駅・大津町駅・川跡駅・雲州平田駅・一畑口駅・松江しんじ湖温泉駅・出雲大社前駅の券売機を非接触・キャッシュレス決済対応の券売機に更新いたしました。https://t.co/r7NuPBBma7 pic.twitter.com/h7OL4ZrUhC
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電鉄出雲市駅を10時25分に発車する列車に乗り込めば、乗換なしで出雲大社最寄り駅である「出雲大社前駅」まで直行。約24分というローカル線の旅。
一畑電車の線路は電鉄出雲市を出ると、出雲市の大外を回るように進む。ここまでを北松江線、川跡駅を経由して大社線へ移って出雲大社前駅まで進んでいく。
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線形が「つ」の字を書くようになっている。
そのため、出雲市駅前の高架から住宅を見下ろす光景を見ていたと思えば、八雲山を眼の前にし、田園風景も見える。という風景を楽しめる。
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ちなみに駅横には「BEAMS」のショップもある。
出雲大社前駅から歩いて10分程度で勢溜の大鳥居が見えてくる。
次は松江市に行こうではないか
出雲大社で縁結びの神である大国主大神に良い出会いのお願いをして、次は松江市に向かうことにした。
一畑電車の出雲大社前駅から途中の川跡駅で「松江しんじ湖温泉駅」行の電車に乗り換える。
電車でおよそ1時間の移動だ。
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松江しんじ湖温泉駅まで列車は宍道湖の真横を走っていく。途中で窓全体を塗りつぶすかのように宍道湖が登場する事があるので注目したい。
終着の松江しんじ湖温泉駅はJR松江駅から離れた場所にある。
それでも宍道湖のすぐ真横であったり、松江城から徒歩圏内であったりと松江市内を観光するスタート地点としては非常に便利な所にある。
松江しんじ湖温泉駅から松江城に移動。
の前に、松江市のソウルフードである「カツライス」を食べることに。
カツライスとは、ワンプレートの皿の中でライスの上にカツがあり、そこにデミグラスソースなど洋風ソースが掛かった、または掛けて食べる料理をいいます。
松江市内で初めてカツライスを提供したとされる「西洋軒」へ出向く。
腹が減ったまま松江城には行けない。
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カツライス。カツとデミグラスソースという組み合わせという、素朴な味ながらも深みも合って美味い。カツカレーと異なってジャンク感が無いところがまた良い。
ぜひお時間があれば、食べてみてほしい。ランチの営業時間は午後2時までだ。
満腹の腹を携えて松江城へ向かう。
松江城もまた立派な城であり、堂々とした立ち姿で膨れ上がった腹を抱える自分を出迎えてくれた。
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そんな松江城の天守閣からは松江市内を見渡す事ができる。
宍道湖が広がり、夏空から降り注ぐ強い日差しを跳ね返している姿も見える。
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さて、上部の画像の左側。他の建物よりも一際抜きん出ているビルが見える。
「なんじゃいあれ?」と怪訝に思う。
天守閣から見えるそのビルは、落ち着きの広がっている松江市内には異様で圧迫感があった。
あのビルへ、とにかく行ってみるしかねぇ
松江市の特徴として、宍道湖が近くにあることに加え、その宍道湖から中海へと進む斐伊川の一部である「大橋川」が流れている。
その大橋川の近くに気になるビルはあった。
大橋川は松江市内を分断するかのように流れていて、大橋川の北を「橋北」、南を「橋南」と呼ぶらしい。
前述の松江しんじ湖温泉駅や松江城は橋北側に位置し、JRの松江駅は橋南に位置する。
気になるビルは南側に位置している。
その北と南を繋ぐ橋の一つである「宍道湖大橋」から気になるビルが見える。全長310メートルもある橋の中腹からビルを眺めると、他の建物よりも飛び抜けて高く尚更に圧迫感を感じる。
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橋を渡り抜いて、ビルの麓へ立つ。
天までそびえ立つそのビルの正体は「山陰合同銀行本店ビル」であった。
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山陰合同銀行は島根県と鳥取県を基盤とした地方銀行であり、「ごうぎん」という略称で呼ばれているようだ。
そんな山陰合同銀行の本店ビルは高さ75メートルと島根県内で一番高い建物だそう。
島根県内で次に高いビルはライバルとなる島根銀行新本店ビルの高さ66メートルだ。
ちなみに、お隣の鳥取県には高さ60メートルを超える建物は存在しないそうだ。
中へ侵入する
調べると山陰合同銀行の本店ビルには展望室があるらしく、しかも無料だというのだ。
無料ならば行くしかないっしょ!という変な高揚感を抱きながら、山陰合同銀行本店の中へ入っていく。
エントランスに入った瞬間に「どうしましたか!」と警備員さんに呼び止められた。
不審者ではないことを証明すべく、「展望室へ行きたいのですが…」とおどおどと弁明すると、快く展望室まで案内をしてくれた。
不審者の可能性を否めない自分に優しくしてくれた警備員さんには少しばかり手当を支払ってほしいものだ。
関係者専用のエレベーターの他に展望室へ直通するエレベーターが用意されていた。展望室は14階にある。
展望室に到着するとすぐに中海・鳥取県米子市方面、JR松江市方面を一望できる。
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そして、また移動すると出雲市・宍道湖方面を眺望できる。
他の方面と比べて、光の入り具合や室内の雰囲気にこだわっているのを感じた。実際にこの部屋から見る宍道湖はどこか神秘的で見惚れるものがある。
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他の方面と異なって、松江城方面は小さな窓を覗き込むような形で用意されている。
松江市を侮っていたぜ
今回の旅行は明確に「サンライズ出雲に乗り込んで、出雲大社へ行く」というテーマが存在していた。
寝台列車の旅を楽しむ。それ以上に無い旅行。のつもりだった。
そのため、松江市観光の情報は全く頭に入れていなかった。
ただ今回の旅行を通して、松江市内の観光にはもう少し時間を掛けたいという気持ちが吹き上がった。
東京や京都といった所で感じる、如何にも観光地な雰囲気というのがいい意味で無いのだ。観光地特有の人も時間も忙しないという感じが全く無い。
それなのに、松江城や今回の展望室といった市内の所々に観光スポットがあって見どころ十分。
なんか松江市、良いなぁ。もう少し、深堀りしたいなぁ。と思ったのだ。
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展望室まで案内してくれた警備員さんはエレベーター内で、
「もし、お時間があれば島根県立美術館で夕日を見たほうが良いですよ」と教えてくれた。
ビルからJR松江駅方面を覗いた際に、右側に見えた白い建物がある。他の建物よりも独特な形状をしていて目を引く。それが島根県立美術館だ。
調べると夕日が宍道湖に写っていて綺麗。見に行きたくてしょうがない。
ただ、うーん。困った。
帰りの飛行機は夜の19時頃に出てしまう。それを逃せば、自宅に帰ることができない。
もう少し早めに教えてほしかったなぁ。と思いながら、また来ようと思わせてくれた。
ぜひ、山陰合同銀行さん。警備員さんにはお手当を支払ってほしい。
また松江市に観光へ行きますから。
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