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東海大学海洋科学・自然史博物館

 私が5歳の時にオープンしました。当時は、この2所に加えて人体博物館がありました。自然史博物館は三保文化ランド内にあり、人体博物館は先日まであった自然史博物館の場所でした。ご記憶のある方は、吹き出すかも知れませんが、この人体博物館の入り口は「くち」が片取られ、入場すると「ゴックン」とS.E.が響きます。自分が体内に取り込まれた状態で、人体の不思議について解説が進むシナリオです。詳細は、記憶が曖昧なので割愛しますが、衝撃的な結末は出口でのS.E.です。よりによって「ぷぅ〜う」です。つまり、様々な人体の不思議の解説を見聞きしながら知識を吸収するとともに、自分自身は消化されながら排泄物として天寿を全うするストーリーです。当時は、笑って済まされた内容かもしれませんが、今ならば○○ハラスメントで、あっという間のお取り潰しでしょうね。それほど当時は寛容な世相であったことがうかがえます。
 さて、水族の方から展示についてふり返ってゆきたいと思います。展示されている全ての生物について触れることはできませんが、ピックアップして記述してゆきます。

シロワニが遊泳する海洋水槽

 何と言っても目玉は海洋大水槽です。この圧倒的な存在感と50年以上前に下から水槽を見上げる展示窓を誰が考えることが出来たというのでしょうか。このアイデアは海に潜ったことのある人にしか思い浮かばないものでしょうし、それを採用して具現化してしまう当時の設計やマネージャーの感覚に敬服いたします。その周囲には、日本で一番深い駿河湾にちなんだリュウグウノツカイとラブカの深海生物の標本展示があり、後発ですが「チビッ子たんけんたい」やクラゲギャラリーもあります。

地下道から見上げる大水槽

 このスペースでの一番の思い出は、10年以上前の話ですが、学生と一緒にサークルのクリパをやったことです。今となっては信じられないでしょうけど、そんなことができた自由な世界と夢が詰まった空間です。
 おいおい、きらきら☆ラグーンをスルーしてもらっては困るなぁと思われた方、ご安心ください。この空間は、海の生物に対する導入部分として構成されている、いわばこの博物館のコンセプトである「海に興味を抱く」重要なコーナーなのです。海洋学部に入学するような(笑)海洋生物巧者にとっては「子供だまし」に見えるこの場所も、水族館を学問として学んだ者であれば、ここがどれほど必要かつ「海洋生物バカ」(誉め言葉です)を量産させる効果があるかが理解できるはずです。ここで「うわぁ~サンゴとお魚さん、きらきらぁ~♬」と思わせることで、その後の展示の理解の深まりとい

生きているサンゴが展示されています

うか海に対する理解の情の湧き方が変わります。
 ここでの思い出は、子供が幼少の頃に頻繁に足を運んでいたのですが、クマノミのメリゴーランド水槽のように、水槽の中を擬似体験できる構造の水槽があって子供たちと言うよりも、そこに子供を入れて写真を撮りたい親に大人気です。

トンネル型になっている水槽

 個人的には、〇〇シリーズの展示ができるミニ水槽や亜熱帯の環境を創造した水槽群が好きです。マニアは、ハゼと共生するテッポウエビの巣穴が見れる水槽を推す方もいますね。
 海洋水槽を通り抜けて、駿河湾の海の展示になります。特色のある駿河湾の生き物を配置して、普通種からレア種まで様々な生き物を見せてくれま

人気のイワシの水槽

す。長生きな生き物や入荷のし易い生き物は、変化がないように見えますが、割と入れ替えが激しいのもここのエリアの特徴なので、「あ、アカタチが居なくなった」、「え”ぇ”~タチウオ見たかったのにぃ」、「サクラダイでかぁっ!」などのリピーターにとっては、謎かけをされているようなコーナーでもあります。水槽の背面には、深海生物標本が展示され、目玉になっ

立派な提灯をぶらさげた個体標本

ているチョウチンアンコウや多分、学生が打ち上げ(深海生物が打ち上がりやすい時期があります)で三保真崎海岸で回収した標本も幾つかあるのではないかと推察します。

深海魚標本群

 次は、世界中の代表的なクマノミがほぼ見れると言っても過言でないクマノミの展示です。中心にあるバームクーヘン型の水槽は、中空の部分に人が入れる構造なので、設置当初は写真を撮りたい親子連れの行列ができたほどでした。クマノミの飼育に関しては、バックヤードを見ることができるので、成長の過程やどのような施設で運用がされているのかを知ることができます。

カクレクマノミが周囲を取り囲んでくれるバームクーヘン型水槽

 さて、タッチプールはコロナ禍以降は運用がされておりませんので割愛して、2階の展示に進みましょう。2階の水族の展示としては、メガマウスザメ

雌雄が揃っているメガマウスザメの剥製標本

の雌雄の剥製とピグミーシロナガスクジラの全身骨格標本が展示されております。

未だに「鯨油」が滴っているピグミーシロナガスクジラ

 それ以外には、海の気象海象、波や水圧によって起きる事象、多角的な調査や研究手法が紹介されております。また、メカニマルの展示に関しても、

シオマネキのメカ二マル(海版の千客万来キャラ)

 他の水族館では見られない展示だと思います。
展示室では、地図の展示を行なっていたと記憶しておりますが、ここで過去に何度か写真展を開催したことがあります。そんなオンデマンドな展示ができたことも含めて海の魅力が沢山詰まった海の博物館だったと思います。
 自然史博物館への記録へと続く。


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