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網膜剥離でした
出張先の函館で唐突に左目に違和感が生じました。これまでも少なからず飛蚊症やそれに準じるような症状があったので、今回は随分と酷いなぁ〜と思っていたら、暗くなるに従い何重もの砂嵐と白濁、毛糸のような模様が鬱陶しいくらいに飛び交うようになりました。戻ったら眼科を受診しなくてはと思いつつ、現地での仕事には穴をあけることなく、無事に終えて帰ってくることができました。
戻った日の翌日に近所の眼科へ行くと「網膜剥離」と診断され、手術のできる近隣の眼科に紹介状を書いていただき、その翌日に手術を受けました。
正式な病名は「裂孔原性網膜剥離」になります。
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眼球強膜に3ヶ所の開口部を作り、還流・眼内照明・硝子体カッターにより硝子体を除去しガス(場合によってはシリコンオイル)に置換して、網膜をレーザーで固定する術式でした。局部麻酔なので、意識もあり会話もできる状況だったので、大凡の時間やレーザーの照射回数も分かり、どのような状況なのかがよく分かりました。以前受けた腸管剥離術の時は全麻だったので、意識が戻ったらICUに運ばれている途中だったみたいな感じでしたが、今回は痛みこそありませんが、眼球内で行われていた作業がほぼ把握できました。眼球強膜の開口部は3カ所は縫合したため、縫い糸が瞼の内側に触るので、2日後の抜糸までは四六時中、睫毛が複数目の中にある感じでした。
また手術後の就寝時は、うつ伏せでタンポナーデ効果を得る必要があったので、苦痛を伴う状況でした。さらに3種類の点眼を定期的に行う必要があり、それは今も続いております。
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幸い、私が失った視野は僅かで、しかも普段の生活ではあまり支障の少ない場所でした。この手術の際に、近い将来にまた同じような症状が起きそうな箇所も固定していただいたので、当面の予防を施していただきました。
網膜剥離と聞くと接触系のスポーツや武道、格闘技などの際に起こる可能性が高いと思われますが、そのような外部からの衝撃だけでなく、加齢(硝子体の縮小)に伴って網膜は徐々に剥離してゆくのだそうです。その際に、均等に剥がれてゆけばピントの調整機能の問題だけで、著しい視力の低下は起きないようです。剥がれる時に差異があると網膜が破れて出血し、それが砂嵐のように見えたり、白濁しているように見えたりするのだそうです。破れたところの修復はできないので、その亀裂は視野の欠損としてブラックアウトします。
ブラックアウトの面積が大きくなると、つまり失明ということになります。違和感があったら、直ぐに受診することをお勧めします。
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現在、硝子体が徐々に戻りつつあるので、小指の爪程度の空間が視野を阻害しています。空間は眼球の上部にあるので反転されて、視野の下部が上手く見えない状態です。下を向けば、空間は眼球の奥に移動するので、中心に丸い黒のフィルターが現れます。頭部を揺らせば、眼球内の硝子体が波打つ状況が楽しめます(笑)。あと1週間もすれば、眼球は硝子体で満たされ、元の視力を取り戻すと思いますが、片眼の生活は思いの外、神経を使うようで、特に運動をしている訳でもないのに劇的に疲れます。また、1画面のパソコンの入力はそれほど疲れないのですが、2画面の場合は集中力が続きません。左右の眼で切り替えながら把握する作業を片眼だけで行うのは、見えている眼に相当な負担があるようです。
なので、Teamsの課題提出を大学の出席登録に移行させる作業は普段の5倍くらいの労力を感じます。作業中の成績登録も同じような手筈で行うため、先送りにしている状態です(言い訳)。そうは言っても、明日には成績を提出しなければならないので、残りの過酷な作業を終わらせなければなりません。まぁ延べ560人ほどなので半日もあれば終わるでしょう(苦笑)。