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千葉の調査のつづき

 そのエリアから更に沖に外れた場所に「隠れ根」がありました。海岸から6kmほど沖合で、本船航路上に位置しています。つまり数千から数万トンクラスの船が航行する真っただ中な訳です。しかも外洋の潮流というよりも海流が当たる場所なので、考えられないような潮の流れ方をします。潜水の経験がある程度あって、仕事で潜ったことのある職業潜水士であれば、絶対に潜らない選択しかしないような場所です。私も、初めてその現場に行った時は、この場所で自分が潜る事を想像できないくらい絶望的な状況でした。一体ここで年に何回潜れるのだろうか?そんな否定的な考え方しか出来ませんでした。地元の漁師さんに聞くと同じような答えしか返ってきません。以前は、アワビの漁場として潜水漁が行われていた場所だったので、その噂はここの組合に所属する漁師は皆共通認識として持っていました。「真潮根に潜るってぇ、いぃとこ漁期に3〜4回だよ」この場所に潜る事にたいして誰も真面目に取り合ってはくれませんでした。

 選択肢としては、正直言って最悪でした。先ず潜るチャンスが少ない。確かに、調査は文部科学省の研究助成を受け3年の予定で始まったばかりです。しかし、ウェイティングの時間が長ければ、調査は進みません。可能性がここしか残らない状況になって初めてトライする価値が出る場所だと誰もが思うはずです。「時間と資金に余裕がある今がここを攻める理由」、「時間もお金も無くなってきたらここを攻めずに終る後悔は避けたい」。リーダーのイメージの中には、明確にここ真潮根にヒットしたサン・フランシスコ号の姿が浮かび上がっているのでしょう。

 この場所にトライして2回目の調査の時、思わぬ収穫がありました。この時は、海外から4名の研究者を招聘しての調査でしたが、写真の中央のオーストラリア人のイアンが丸い石を浮上中に見せるのです。減圧停止をしている最中にマジマジと見て感動しながら船上に上がりました。ガレオン船には、何十門もの大砲が装備されていて、その弾は石からできています。

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 結果的には、これは自然にできた物の可能性が高いとの見解でしたが、これを水中で見つけた時の驚きは相当なものだったと推察されます。

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