カマキリ(アユカケ)の幼魚
先々週、スクーバダイビング実習の時に飛行場(ポイント名称)で確認をしていたので、そろそろ沖堤前(ポイント名)にも出てくるかな?と思って、膝丈の水深で波に揺られながら目を凝らしていると「いました!」。
大きさは1~1.5cm程度ですが、砕波帯の水の動揺に対しても十分な遊泳力を発揮して移動していました。1cm程度の個体は、まだ半透明で浮遊期から着底にやっと至ったくらいではないかと推察されます。
産卵期もハッチアウトの時期も多少の誤差はありますが、凡そ似たようなタイミングでアユの稚魚とともに三保真崎の海に現れます。
アユに関しては、どの河川に遡上するかは明らかではありませんが、三保真崎に現れるカマキリは安倍川由来なので、4月下旬から5月上旬にかけて、この海岸線から約20km離れた河口に移動して、アユと似たようなタイミングで遡上を始めます。遡上時には4cm程度の大きさに成長していますが、この仔魚を狙って、似たような模様をしたアナハゼが浅瀬に蝟集します。アナハゼは大きさがカマキリの倍程度なのですが、それでも丸呑みしてしまうのです。カマキリの生存戦略としては、アナハゼの遊泳限界である砕波帯よりも浅いところに身をひそめることです。ただし、まだ着底したばかりの個体は海底面に対する支持力が低いので、浮遊期のように浮き上がってしまい、そこをアナハゼに狙われます。なので、この大きさが最も生存率を下げているのではないかと推察されます。
このサイズのカマキリも魅力的ではありますが、本当のこの魚の魅力は、中上流域で「石化け」している20cmを超えるような個体です。また、産卵期には河口に降りて来て(河口に良い産卵場がないと海に出てきます)浮石の天井に産卵をして、雄がハッチアウトまで卵を守ります。そのような生態行動もこの魚の特徴であり、愛すべき姿だと私は感じております。