釣り糸
私は子どものころ近所の海でよく釣りをしていました。小学生、中学生、高校生と釣りのスタイルも変化していった記憶があります。小学生は、浮子釣りや投げ釣りが主体で、中学に入ってルアーやフライを使ったアクションフィッシングが主体となっていきました。お金が無いから、ルアーもフライも自分で作ったり巻いたりしていました。しかし、いつの間にかお金があってもルアーもフライも買わなくなりました。自分が作ったり巻いたりして出来た疑似餌に魚が掛かることが面白くて面白くて、その研究をする方が面白くなってしまったからでした。フライと言っても渓流や湖沼でやるわけでは無いので、ストリーマーが主体でした。なので、それほど細かい作業は要求されません。糸錘を巻いて、その上に赤やオレンジ、黄色などの糸を錘が隠れる程度に巻き、好んで使っていたのがポーラーベアーやクックテールまたはその組み合わせでした。対象魚はヒラアジで、よく釣れたしバラした記憶がないほど上手くフックできました。しかし、その頃の釣り人には独特の意地があって、細い糸で大きな魚を釣る事にプライドがありました。そのためバラシは無くても、サイズが大きくて切られた事は何度かありました。
今の釣りでは、サイズが大きくて切られる事は少なくなったのではないでしょうか。釣りをいつ始めたかにもよりますけど、その差は歴然で根がかり以外でラインが切れると言えば、擦れによるものしか考えられないのでは?あまり断定的なことをいうと、細かいケースを挙げられて否定されそう(笑)だけど、格段に少なくなったと言えば語弊が無いかな。
さてその切れないラインは、恐いんです。海中生物にとっても恐怖だし、我々ダイバーにとっても良い事は1つもない。百害あって一利無し。その話をすると昔だって、ナイロンラインが海の中に少なからずあったし、生物やダイバーに対する負荷はあったはずだと言われる釣り人がいます。もちろん、そんな言い訳をしない人も同等以上にいると思います。ところが、同じではないんです!ナイロンラインは、画像のようなジャノメガザミの雌に絡み付いたこんな絡み方はしませんし、ダイバーが引き千切ろうと思えば千切れましたが、このラインでそんな事をしたら手が切れてしまいます。
昔のようなラインのブレイクは少なくなったでしょうけど、どんなに少なく見積もっても、水中でこのラインに遭遇する確率は格段に上がっています。このまま何の歯止めや対策も無くこの状況が続けば、エリアや地方自治体として「海にダメージを与える者」に対する許諾方法やペナルティが制定される議論が必要になります。禁止にするとは言っていません。もちろん、環境に対して配慮している釣り人や何度も釣りをしている内に、その海や環境に対して愛着を示す人も少なくありません。しかし、何も考えずに何の工夫も無く想像力が欠落した状態で釣りをして楽しいのでしょうか?と思うような人も多く見られます。
私たちダイバーは良い環境でダイビングをしたいので少なからず、あなた達が散らかした海を奇麗にしようとする心構えがあります。実践もしています。次は、あなたたちの本気(釣りを続けたいと言う気持ち)を同じ海の利用者として私たちに見せて下さい。ボールは投げましたよ。
釣り糸を回収していて、普通ならば下(深い方)から巻く釣り糸は浅い方で切れているので軽く巻けるのですが、何故かやたらと重いし、途中で何回か生き物でも付いているんじゃないかって言う動きがラインを通じて伝わってくるのです。逆側からならフックした魚や生物が付いていることもあるかも知れませんが、この状況では...。甲幅が20cmもある大きなジャノメガザミが姿を見えた時に、その答えが分かりました。全部の糸を解いてあげることは出来ませんでしたが、泳ぐことが不自由でない状態まで糸を取り去ったら速攻でいなくなりました(笑)。いつも鋏を携帯して潜っているので、それなりのスピードで対処できましたが、こちらの意図を理解しないカニにしてみれば、襲われているとしか思いませんので、めちゃめちゃ攻撃(防御)して来ます。グローブしていても、それなりに痛いんですよ。普段は、釣具や釣り糸を回収してもこんな駄文は書きません。しかし、ちょっと今回はイラっとして書いてしまいました。