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きっと記憶に焼き付く夏 【 サンフレッチェ広島 山﨑大地選手を思う パリの夏 】

「悔しいっすけど・・・
 怪我した事、
 変えれないんで・・・・・」

遠くを見る様に
質問に答え始めた

ピースウイングが出来て
初めてのファン感謝デー

テレビの生中継
おどけてばかりいた
山﨑大地の表情が少しだけ変わった。


 「今、できることを・・・・・・」




パリ・オリンピックが開催される今年
五輪出場はもちろん、サンフレ鉄壁の3バック
そのレギュラー争いにも加わることが期待される
将来有望なCB。

山﨑大地の輝かしいキャリアが
今年をきっかけに加速する!

そんな期待が高まる中 シーズンが開幕!



しかし3月に怪我・・・




全治9〜10ヶ月・・・・




今シーズン絶望・・・・・




パリ・オリンピックも・・・・・・





   悔しくないはずはない





〝前向きに、前向きに・・・
 自分に何か言い聞かせながら、
 今 出来る努力をしているのだろう〟

そう想像しながら
ファン感で明るく振る舞う
山﨑大地を見ていた…






僕が 山﨑大地選手を
特別 気にかけるようになったのは
5月のある日の出来事からだ。


とある日、
紫熊倶楽部を買おうと
閉店間際の
オフィシャルグッズショップに
立ち寄った。

〝もうお客さんはいないだろう〟

そう思っていた。

しかし、意外にもグッズショップ
入り口付近に人だかりが出来ていた。

人だかりの中、
皆んなの明るい声と
その中心で
笑顔に包まれる人がいる・・・



    ! ! ! 



山﨑大地選手が来ていたのだ

僕はサンフレッチェ広島を
ずっと応援してきたけど
吉田にも行ったことはないし
ファン感にも参加した事もない。

選手を間近に、ましてや
直接話した事なんてない

〝あの 山﨑大地 が目の前にいる!〟

でも、ヘタレな自分は
その人だかりを遠巻きに見ながら
紫熊倶楽部を手に取り
レジに向かってしまった。


 勇気が出なかったというか
 盛り上がる皆んなに
 気を使ってしまったというか・・・


そんな僕にレジで店員さんが声をかけてくれた

 「山﨑選手が来てますよ!
  サインとかいいんですか?」

ヘタレな僕は答えた

 「え!…いや…居ると思わないから……
  どうしていいか、わかんなくって……」


会計を済ませた後、
その店員さんがかけてくれた言葉が
頭の中をグルグル巡った


 そして、その言葉が
 僕の背中を押してくれた


沢山の笑顔に囲まれる
山﨑大地選手
皆んなの会話が途切れた瞬間
隙間を縫うように
勇気を出して声を掛けた。


「あの!一枚だけ…写真、いいですか?」


山﨑大地選手は慣れたように


「いいっすよ」と、


自らポーズまで決めてくれた。

山﨑大地選手

後でわかったのだが、この日
山﨑大地選手は松葉杖が取れた日らしく、
少し脚をかばいながらポーズをとってくれた。


   その為、家に帰ってから
   とても罪悪感に襲われた。


〝脚を怪我している選手に
 ポーズまでとってもらって…
 脚に負担がかからないように、
 こちらが配慮するべきだったのではないか?〟


   そう思い始めると、なんだか
   いろんな事を考えてしまった


〝写真っていったら 普通は
 ツーショット撮影とか
 お願いするんじゃないのか?〟とか


〝そもそも持ってた 紫熊倶楽部に
 サインもらえば
 よかったんじゃないのか?〟とか・・・


   謎に自分のヘタレな部分を
   責め続けた



ただ、写真を撮影させてもらったとき

〝何か、リハビリ中の大地君に
 届くような言葉を伝えなきゃ!〟

と思い、今の自分のありったけの笑顔で

  「復帰!待ってます!」

   とだけ伝えた。

すると大地君は
少し照れた表情で伏し目がちに

   「ウッス!」

 と、答えてくれた。




その姿が なんだか とても うれしかった


  その日から自分の中で
  サンフレッチェの背番号3
  山﨑大地が特別な選手になった。


周囲の人にはあの日の写真を見せ
「山﨑大地と会ったことがある!」
と自慢してみたり

スタジアムに行っては、
試合前の大地君のサポーター撮影に

「ほら!山﨑大地選手が
 撮影始めましたよ!
 さあ、手を振りましょう!」

と初対面の隣の席の人に声を掛け
撮影タイムを盛り上げようとしたり・・・



  一度会っただけなのに
  本当、我ながら自分は
  単純な人間だ・・・・・

試合前にサポーターを撮影する山﨑大地選手

そんな自分の中で特別な選手、
山﨑大地に注目して見ていた
ファン感謝デーで、冒頭に書いた
その瞬間が とても印象に残った


一瞬、笑顔の向こう側の素顔を見た気がした。


7月 パリ・オリンピックが開幕。
世界中から注目されるスポーツの祭典。
出場するパリ五輪日本代表の選手としては
世界のレベルを体感できる大会であり、
各国のスカウトへのアピールの場にもなる。 




  山﨑大地はこのパリ・オリンピックを
  どのように見て、何を感じ、
  また、どのように生かすのだろう…


スポーツの世界を見ていると
順風満帆に進んでいた選手が
下降線を辿るキャリアを歩んでみたり、

一方で若い頃 苦労した選手が
ベテランになるにつれ
右肩上がりのキャリアを歩んでみたり

どの選手がどのような
アスリート人生を歩むのか
最後の最後まで分からないものだ。

様々な不確定要素の中、人知れず
懸命に努力する アスリートには 尊敬しかない

できる事なら、直向きに努力する人 全て
その努力が報われてほしいと願う


  でも、いつだって
  現実は残酷に
  襲いかかってくる…


それでも、いつも、
応援する側の自分には、
選手達を応援してやる事しかできない。


だから せめてあの日
ありったけの笑顔で
届けようとしたように、
選手たちには
いつだって思いを届けたい





がんばれ!




こっからだ!こっから!




信じてるぞ!




復帰!待ってるからな・・・・・・






心の中で

心を込めて

心の底から

僕の不恰好な笑顔と共に・・・







男子サッカー
パリオリンピック日本代表は
準々決勝でスペインに敗退。
大会から姿を消した。


パリオリンピックを経験した選手たちも
悔しさを胸に秘めて、これからを生きる。





一方で、おどけた笑顔の向こう側に、
悔しさを心に秘めながら
広島でトレーニングを積み
復活の日を待つ山﨑大地




広島から見た
パリ・オリンピック

今年の異常に熱い夏に
心に焼き付くこの日々が
何をもたらすのか

僕はただただ信じたい

この時期を越えたからこそ
明るい未来が来る事を




#Jリーグ   #サンフレッチェ広島   
#山﨑大地   #パリオリンピック

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