ズットキット・プライマリ考察
こんばんは、てつです。
みなさんはプロダクション体育館渾身のオリジナルMV「ズットキット・プライマリ」は沢山聞いていますでしょうか。僕は脳内でPRIMEが踊っているほど聞いています。幸せですね。
さて、sasakure.UKさん(以降ささくれさん)が作曲しているこの楽曲はとても素敵な曲なんですが、歌詞がところどころ意味深だったり、解釈が難しい部分が点在しています。
この曲には、そんな歌詞を通してプロダクション体育館が伝えたい想いが込められています。
ということで今回は体育館オタクとして、歌詞に込められた想いを考察していこうと思います。
⚠️この考察にはケモノ着ぐるみに関するメタや、ケモノ界隈についての個人的解釈、見る方によっては不快な表現が含まれます。あくまで個人の意見であることをご理解の上お読みください。
⚠️この記事は完全に独自で考察したものであり、プロダクション体育館様、sasakure.UK様とは一切の関係がなく、曲の真意については保証できかねます。予めご了承ください。
⚠️人物の敬称は可読性のため、一部敬称略となりますことをお詫び申し上げます。
この考察では主に以下の4点について考察を進めていきます。
▫️コンセプト
▫️世界観
▫️テーマ
▫️歌詞
コンセプト
ズットキット・プライマリという曲にそもそもテーマや世界観があるのかという点について、体育館本にはあお丸Pがこの曲に込める想いをささくれさんに伝えている旨の記載があります。また、ささくれさんの楽曲は世界観を大切にしているとインタビューで語っているので、今回の考察では世界観を持つ作品として進めていきます。
歌詞の意味を考察するにあたって、まずは大元になる曲のコンセプトを決めます。
・PRIMEとしてのテーマ曲
・ケモノ界隈に向けたメッセージ性を孕んだ曲
以上が僕の考えるコンセプトです。1つ目は言わずもがなですが、なぜ2つ目の突飛な案が出てきたのか。それは、ズットキット・プライマリという曲が、
PRIMEのテーマ曲としては違和感のある、少し悲壮感のある歌詞だと感じたから
です。PRIMEは〈明るく元気に〉をモットーに掲げたピュアなユニットです。
曲調はささくれさん×PRIMEだということをうなずける、ビット調で、テンポの良い明るいものとなっています。声優さんの可愛らしい歌声に気を取られて気にしていませんでしたが、歌詞全体に寂しげなワードがちりばめられていて「この曲がPRIMEのテーマに沿った曲です」と言うには少し違和感がありました。
では、曲に存在する違和感、つまり影の部分は一体何なのか。
一般的には歌い手側の影の部分であることが多い印象ですが、この曲は聞き手に語り掛ける構成となっている関係上、PRIMEの影の部分として解釈するのはあまり腑に落ちませんでした。
あお丸Pはささくれさんに楽曲制作を依頼するにあたって、体育館の資料や、PRIMEの方向性や設定を伝えていると語っています。資料にはプロダクション体育館が持っているテーマなども共有していたのではないかと考えています。
プロダクション体育館は”着ぐるみのキャラクター達”がやりたいこと、好きなことを全力で表現して、その一部分を視聴者にお届けしてくれています。そういった作品を通して、〈自分達だけではなく、見てくれている人達と一緒に末永く楽しんでいきたい〉というテーマを持っていると僕は考えています。
また、あお丸Pはプロダクション体育館を一般化したり、ポリコレに配慮した作品作りを意識している訳では無いと語っていますが、それでも着ぐるみというジャンルをフラットな目で多くの人に楽しんでもらうため、ケモノ系の映像作品に対して真摯に向き合っていると感じています。
そんな中で、着ぐるみアイドルというジャンルをどう世界に向けて表現するのかという点については熟慮されていて、その想いをささくれさんに共有している可能性は大いにあると考えています。
この僕の考えに対してあお丸Pは「知ったこっちゃねぇ、俺達は好きなようにやるだけだからよ」
と一蹴してきそうな気もしますが、視野があれだけ広いあお丸Pがマイナージャンルの一般認知について考えないとは思えません。
そういった背景から、ささくれさんが楽曲制作をする際に「ケモノ」「着ぐるみ」というジャンルが世間一般的にどのような評価を受けているのか、そのような趣味を持つ人の生き方、考え方を咀嚼した上で、ズットキット・プライマリの世界観を構築していったのではないかと考えるに至りました。
少し話が逸れますが、体育館本であお丸Pはこの曲を「普遍的な曲にしたい」と語っています。普遍的とはつまり、広く馴染みのある曲にしたいと考えている、と僕は解釈しました。
さらに噛み砕いていくと、広く馴染みのあるというのは、再生数が伸びて人気になるということではなく「ケモノ好き・着ぐるみ好きの集団が作った曲、という先入観を持たず、一般的なアイドルとしてPRIMEというユニットを見て、ズットキット・プライマリという曲を感じてほしい」という願いがあるのだと考えました。要はケモケモした部分は全面には出さないようにする、ということです。
以上をまとめると、
「ズットキット・プライマリは明るい曲調とは裏腹に寂しげな雰囲気を宿している。それはPRIMEテーマ曲としての側面と、ケモノ界隈に向けたメッセージ性という二面性を持っているから。
そこから曲を普遍的な内容に昇華させることで、ケモナー以外の人にもフラットな目線でPRIMEというユニットと、その世界で生きる人達が本気で作った曲を楽しんでもらいたい、といった想いが込められている」
という考察になります。
世界観
僕の考えるコンセプトに則って歌詞から世界観を構築していきます。
あまり判断材料がないのですが、僕は最も重要な歌詞はここだと思っています。
「半世紀前のヒューマン 反転した世界で 同じような夢をみてるの?」
一見訳が分からないので、分解して考えてみます。
「半世紀前のヒューマン」
これは直訳で50年前の人間となります。この訳がでてきた時点で、曲がフォーカスする可能性がある時間軸は3つ存在します。現在、50年前、そして50年後です。
ヒューマンが視聴者のことを指しているとすると、曲の世界内部の時間は現在(2022年)から計算して2072年となります。もしくは、曲と現代が同じ時間軸で、ヒューマンは半世紀前の人、つまり1972年のことを指している可能性もありますが、視聴者に向けてのメッセージ性があると考えると、やはりヒューマンは視聴者のことを指していて、曲内部の時間が2072年と考えるのが妥当ですね。少しややこしくて申し訳ありません。
「反転した世界で」
反転という歌詞が持つ意味については解釈が様々だと思いますが、僕はケモノと人間の”概念”が反転した世界、という解釈をしました。つまり、2072年の世界は、我々人類が知的生命体の頂点にいる時代から移り変わり、ケモノが人間に取って代わって暮らしている未来の世界です。どうしてそのような考えに至ったのか、それは次の歌詞が関係してきます。
「同じような夢を見てるの」
どんな夢で、誰と誰が同じ夢を見ているのでしょうか。ヒューマンという歌詞が前置きとしてあることから、一方は聞き手であることが分かります。そうなるともう一方PRIMEですね。
そして「夢」とは、メタ的に(メッセージ性があると考えて)”ケモナーがケモノになりたい”という夢のことだと考えました。
ケモノ着ぐるみとは、現実に生きる人が3次元でケモノと触れ合いたい、ケモノになりたい、そんな夢を突き詰めた努力の結晶だと僕は考えています。
この部分の歌詞では、PRIMEが視聴者に語りかけてきている形になっています。「僕たちと同じような姿になってている、そんな夢を見ているの?」と。
(※ここの考察はかなり無理がありますので、どうか暖かい目でご覧下さい)
ここまでを踏まえてまとめます。
「半世紀前のヒューマン 反転した世界で 同じような夢をみてるの?」
曲の世界は2070年代の近未来です。その未来では何かしら歴史を変える大きな出来事によってケモノが人間にとってかわり生活しています。地球の派遣を握る存在が反転した世界が舞台となり、現在を生きる僕たちに言葉を投げかけている。という構図になっています。
テーマ
ここまででコンセプトや世界観について固めてきましたが、結局この曲が伝えたいことって何?(テーマってなに?)ということをお伝えしていきます。
結論として、僕の考えたズットキット・プライマリのテーマは
「繋がり」
です。このテーマは多くの人が感じたのではないでしょうか。これがテーマだと考える根拠がいくつかあるので挙げていきます。
まずは歌詞に頻出する”一緒”という単語、これはPRIME(ひいてはプロダクション体育館)と視聴者の繋がりのことであり、SNSでの繋がりでもあり、友達同士の繋がりことでもあると考えています。つまり本人と周囲の関係の繋がりです。そういった一期一会の大切な関係がずっと続きますように、終わらないように、と願っています。
次の根拠は特集メイキング・オブ・ズットキット・プライマリのあお丸Pのセリフにあります。あお丸Pは「今この関係性が一生のものだという保証はどこにもないからこそ、今がとても大事なんだ(要約)」と話しています。このあお丸Pの想いから、今ある繋がりを大事に、壊れないようにして欲しいという思いが歌詞に込められていると判断できます。
また、これは根拠としては弱いのですが、コンセプトにはPRIMEの強い思いが反映されているとの事で、センターであるリオンはこのようなツイートをしており、執筆時(2023年)でも固定されています。
”明るく楽しく元気よく!
一緒がずっと続きますように!”
このツイートはズットキット・プライマリがアップされる前にツイートされたものであり、歌詞が抜粋されている粋な演出でありながら、リオンの伝えたいことであることがはっきり伝わってきます。このツイートからも繋がりを大事にしていることが伺えますね。
さらに、作曲者であるささくれさんは曲に対しての一言でこのように語っています。
この一文にまさかの曲名が全て入っています。考察大サービスです。素敵な想いというのは恐らくリオンくんがツイートしたような想いのことで、それがズット続くことが大切なアンサー、ひいては本当の意味でのプライム(プライマリ)である、ということです。プライムとは、もちろんユニットとしてのPRIMEでもあるでしょうし、「最も大切な」「1番目」という意味も込められているそうなので、根拠として十分に成り立つのでは無いでしょうか。
これで世界観とテーマについての考察は以上になります。最後に全てまとめておくと、ズットキット・プライマリはPRIMEのテーマ曲であると同時にケモナー(ケモナーではない人も)へのメッセージ性を含んだ曲です。
世界観は2070年代のケモノが一般人と入れ替わっている(反転)世界です。
テーマは「繋がり」
この点を意識しながら次の章では歌詞を考察していきます。
歌詞考察
僕の考察した世界観・テーマがはっきりしたところで、いよいよ歌詞の考察に入ります。基本的には歌詞をAメロ、Bメロ、サビなどのセクション事に分けて考察していきますが、小ネタが多く、回収しきれてないものや謎のままのものもありますのでご了承下さい。
イントロ
ズットキット・プライマリでは「あい」というワードが「相・会い・愛・アイ」と4種類出てきます。
「相」「会い」「愛」
この3単語は全て対象が存在して初めて成り立つ単語であり、テーマである繋がりを強調する効果を持っていると思われます。
最後の「アイ」は根拠に乏しいですが、ダンス振り付けからPRIME自身だと思われます。(アイ、primeの歌詞に合わせて自分を親指で指差し)
その後「プライドはあっちいって」「サイコウはこっち向いて」という歌詞に続きます。この歌詞は対のイメージを持つ単語となっていて、マイナスがプライド、プラスがサイコウに当たります。対の歌詞に関しては今後も頻出します。
イントロに関してはつかみのメロディが大事で、歌詞に書かれている以上の意味は特に汲み取れませんでした。
1Aメロ-1
世界観考察で結論を出しているので置いておいて、次に進みます。
1Aメロ-2
僕が考察した世界観に当てはめて意味を考えていきます。
ここでの”簡単なこと”とは、ケモノ好きというジャンルに属する者の抱える悩みです。自身がケモノになりたいという夢、周りと自分が決定的に違うという事実に対する不安や葛藤にあたります。
PRIMEはケモナーが持つ夢や悩みを知っています。歌詞の”簡単なこと”が持つ意味が周りと自分との齟齬に苦しんでいることだとすると、歌詞が持つ意味はこうなります。
「好きに正直に生きるって、周りと自分が違うことって、そんなに難しいことかな?難しく考えすぎてため息が出ちゃってるよ」
そんな風に解釈できるのでは無いでしょうか。
ただ、僕はこの曲が持つ意味がそんなに限定的なものでは無いとも思っています。世界観に囚われずに考えると、”簡単なこと”の内容は聞き手に委ねていることができ、各々が抱えている悩みを当てはめてみて読み進めることが出来ます。
世界観を考慮せずに考えると、仮に「大人になるにつれて複雑化する人間関係のことを指している」等の解釈も可能です。
この後の歌詞解釈は、歌詞の意図を広く捉えるという意味で基本は世界観に囚われない考察で進めていきます。(世界観を考慮してしか説明できなかった部分は使っています)
1Aメロ-3
「無限に終わらない不安定な未来と、いつまで経っても出ない人生の答えを探し求めて、がむしゃらに試行錯誤を続けるモンスターのよう」
モンスターはケモノと比喩表現のダブルミーニングだと思われます。
序盤の歌詞に関しては深い意味を持つ部分は少なく、このセクションは聞き手に不安や悩みなどのマイナス印象を与えているということを伝えたいのだろう、と考察しました。
1Aメロ-4
どことなく寂しさを感じさせるこの歌詞は、曲の雰囲気を作り出す重要なワードです。
「マタアシタネ」は、放課後友達と遊んだ日の夕暮れ時に、手を振ってお別れする。そんな情景が目に浮かびます。”また明日”というお別れの挨拶は、明日会えることを確信しているからこその挨拶であり、それに対しての「モウアエナイ」は真逆の言葉です。そんな相反する光と闇、そのふたつが”今夜一緒になって踊る”という歌詞です。
「一緒になって踊る」の意味は後程記述するので一旦置いておきます。
1Bメロ
ここでは上手くいかない現実をリズミカルに表現しています。
「昨日も明日もどうせうまく行かないんだと嘆いてしまい、絶望で目の前にあるはずのしあわせが見えなくなって逃してしまわないように」
1サビ-1
サビも歌詞を素直に受け取ります。
「何が起こるか分からない、自分に自信が持てなくなるような不安定な世界でも、自分を見失わないように。どんなに大変で何もかも投げ出したくなるようなことがあっても、今この歌を聞いてくれている”君”とのつながりがずっと続きますように」
1サビ-2
冒頭でも出てきたフレーズで、PRIMEと聞き手の繋がりを強調する歌詞になっています。プラスとマイナスを交互に歌っていて「プライド↔サイコウ」に続く新たな対義語「ライト↔クライ」が出てきます。
ダークではなくクライにしているのがPRIMEの可愛らしさを表現していて、なおかつCryとの掛詞とも取れて言葉遊びが巧みです。
2Aメロ-1
これまでの歌詞は、こじつけも含めてそれらしい考察になっていたと思うのですが、このセクションに関しては殆ど解析出来ませんでした。辛うじて分かるのは、ニューマンが人名か、もしくは「Neumann(ノイマン)」(ドイツ語で新しい人、新しい男)という意味があるということだけです。30秒前なのに新しいとはこれ如何に。ここの意味がわからなければ”なんだかんだで不満?”の意味も分かりません。
”終わりそうも無いストレス等”に関しては文脈的に「不満」に付随する感情で間違いないと思われますが、残念ながら僕にはパーツを分解するので精一杯でした。力不足を嘆きながら次のセクションへ。
2Aメロ-2
”分かってしまうこと”とはなんなのでしょうか。流石に30年後に確定している未来はないのではないかと考えていましたが、僕の中で1つの可能性が浮かび上がります。それは
「実際のケモノになる夢は叶わない」
という事実です。
歌詞が「分かること」ではなく「分かってしまう」と表現していることから、自分にとって良くない出来事であることだと想像できます。感情や考え方は30年の間でいくらでも変化しますが、どうしようもない事実は必ず存在していて、曲の世界観と照らし合わせるとこの考察に落ち着きました。
一応世界観に囚われない考察として、「恋愛感情」もあるのではないかという案も出ました。”分かってしまう事”が、文脈から考えると感情である可能性があるため、こちらの線も残しておきます。恋愛感情は不確定な要素のため、30年後に”分かっている”かは定かではありませんが、恋愛対象は30年経ってもきっと変わらない、そのような考えを持っている人は多いのではないでしょうか。(重ね重ねになりますが、独断と偏見による自論であることをご了承ください)
2Aメロ-3
個人的な話になりますが、僕はこのセクションが1番好きです。ここは結論から言うと”PRIMEの日常”です。
「転んでケンカして でもちょっと笑って だって“思考と錯誤のモンスター…”」の歌詞について、ろっ太がMVでそれ僕のこと?聞いていますが、”いや皆のこと!”と否定されています。しかし、実は「チューリングラブ」の撮影小話で歌詞に似たような出来事がろっ太に起きています。
撮影シーンで丘を使う際、雨で濡れていたせいで思いっきりろっ太がコケてしまい、泣いてしまったというなんとも可愛らしい裏話です。
(倉庫のラジオ#11 2:02:10大変だった撮影 より)
「転んで喧嘩して~」を歌っているのはリオンとろっ太で、喧嘩したのはこの2匹になります。それに対して
「だって“思考と錯誤のモンスター…”」の歌詞を歌っているのはノクスです。リーダーポジションの彼の歌声が少し低めのテンションなのは、客観的にその光景を眺めていて、やれやれといった呆れ笑いを表現していると考察しました。
それでも話の雰囲気から、撮影現場は終始良いムードだと判断できますので、喧嘩してもついクスリと笑ってしまうのでしょう。
しかし、前述の通りこの出来事は否定されています。とは言っても完全に否定している訳ではなく、「ろっ太だけじゃなくて、見てくれている皆にも言えることだよね!」との語りかけだと感じました。
”いや皆のこと!”のフレーズで視聴者との距離をグッと縮め、そのまま手を引くように一緒に踊ろうと誘ってくれています。
ここの歌詞がろっ太の撮影裏話を意図して作成されたものかは分かりませんが、もしそうだとするとささくれさんのPRIMEへの理解が深すぎてスタンディングオベーションです。
2Bメロ
1番Bメロと同じメロディで歌詞も似ていますが、少し異なる部分があります。1番では明日がそっぽを向いたり、昨日のシッポが染みたりと踏んだり蹴ったりでしたが、2番では”消えない 消えない光はあるんだって”という歌詞で希望が顔をのぞかせています。
また、1番で「しあわせの行方が ヒトリボッチにならないように」と歌っていたのに対して、2番では「うれしいも かなしいも ヒトリボッチにならないように」と、プラスの感情だけでなく、マイナスの感情もヒトリボッチにならないように願っています。この変化は終盤の歌詞に繋がっていきます。
2サビ-1
この歌詞も1番に類似していますね。混沌とした世界で足掻いたり叫んだりと苦労が耐えませんが、それでもみんなの繋がりを信じているPRIMEの強さが垣間見えるシーンです。
2サビ-2
1番と完全に一致しています。2回繰り返すことによる強調効果があるかまでは僕には分かりませんでしたが、この歌詞に強いメッセージが含まれていることは間違いありません。
Cメロ
最も大事なセクションです。僕が考察内で何度も使用していた「プラス」と「マイナス」はここに繋がってきます。これまでに登場したプラスは
「マタアシタネ」「サイコウ」「ライト」などで、
「モウアエナイ」「プライド」「クライ」などがマイナスにあたります。
このセクションでは、プラス・マイナスがどちらもライト・ディライトであると伝えています。ライトは歌詞にも出てきた通りプラスの感情です。「ディライト」は、”喜ぶ,楽しむ”といった意味を持ち、これもプラスの感情です。
そして「イマだけ“クラヤミ”もトモダチ」と続きます。これを要約すると以下のようになります。
「プラスとマイナスどちらの感情も自分の中にあるもので、なくてはならない大事なもの。自分の中にある嫌な部分、そんなクラヤミを遠ざけて卑下するんじゃなくて、目を背けないで歩み寄ってあげて。きっとその影と友達になって、自分のことを認めてあげることができたなら、そんな輝くセカイに生きる君は”ムテキ”なんだ」
PRIMEは、これを聞いてくれている人がそんな強い気持ちを抱いてくれることを信じたい、夢見たいと願っているのではないでしょうか。
また、1Aメロ-4の「一緒になって踊るよ 今夜」はCメロを考察した後で見直すと意味を理解出来ます。マタアシタネも モウアエナイも、ふたつの感情は今日ここでは1つになれるんだよという語りかけだと解釈できます。
ラスサビ-1
ラスサビで他のサビと違う部分は、1番のサビ第二小節では「君」、2番が「みんな」ラスサビでは「僕」と、人称が変化しているところです。「君」と「みんな」はこちらに語りかけていると考えると、「僕」はPRIMEの3匹自身ということになります。この事から、未来は現在と根本的には変わらず、今も未来も、一緒が一生割れないようにと願う気持ちはずっと変わらないことが分かります。
ラスサビ-2
「アンナコンナソンナドンナ」と、最初の不安を表現した歌詞は、”ムテキ”になったみんなの想いを歌詞に乗せて「アンナワンダーソンナアンサー」へと変化します。
1Aメロ-3では
「果てしないのワンダー 完成しないのアンサー」
というフレーズが登場していて、ラスサビ-2の
「アンナワンダーソンナアンサー」
と関連しています。
どちらのフレーズも具体性のある歌詞ではなく、解釈は聞き手の判断に委ねられます。一見どちらも大差ないように見えますが、この曲は聞く人の心境に応じて意味合いが大きく変化します。
1番は世の中の理不尽や悩みをについて触れているため、マイナスの感情を表現していると受け取りました。そんな心理状態の「果てしないのワンダー 完成しないのアンサー」は、不確定な未来に悲観し、正解が見えないことへの苛立ちを感じさせる解釈になってしまいます。
それに対して”ムテキ”のセカイを信じることができた「アンナワンダーソンナアンサー」では、無限の可能性がある未来に期待し、自分だけの答えを見つけられた、というふうに解釈することができます。
そんなサイコウは”まだまだ”終わりません。明日も明後日も、一生この想いが続きますように、との願いは最初から最後まで変わらず、「まだまだ!」の歌詞では、飛行機のフライトを見上げるような振り付けになっていて、羽ばたくような軽やかな気持ちを表現しています。
明日もこの最高に出会えると信じているからこそPRIMEは”またあした”と手を振っています。
ラスサビ-3
このお馴染みフレーズに毎回登場していたマイナスの感情は残っていません。「プライド」「ライト」「クライ」「サイコウ」全てがずっと”ワンダー”で、”プライマリ”、それこそがキットこの曲の”アンサー”だったんです。
あとがき
いかがでしたでしょうか。僕の独りよがりにここまでお付き合い頂いて、本当にありがとうございました。
まとめになります。
ズットキット・プライマリという曲が伝えたかったのは、PRIMEというユニット自体と、どんなに大変なことがあっても、自分の中にあるヒカリを、繋がりを信じることで、セカイをきっとワンダーに出来るんだという強い想いです。
何度も繰り返しになりますが、この考察はあくまで僕の個人的解釈です。聞き手の生み出す解釈で正解は無限にあると思っていますのでこの記事は、理解して欲しいと言うよりも、こんな視点もあるんだ!と楽しんで読んでもらう事が僕の本意です。
この記事で新たな気づきを得たよという方はぜひ今1度新しい視点をもって「ズットキット・プライマリ」を楽しんでみてはいかがでしょうか。
それではまた次の記事で。
おまけ
ここからは「本編には不要だけど色々考えたことまとめてるから暇な時にでもみてみて」のコーナーです。
きっかけについて
僕がこの曲の考察を始めた最初のきっかけは「半世紀前のヒューマン〜」の歌詞があまりにも意味ありげで、どう言った意味を持つのだろうという興味から始まりました。
最初にその歌詞から世界観を考察した所まではよかったんですが、歌詞考察を進めていくうちに、この曲はほぼ世界観がなくても成立する曲だということが分かってきてしまいました。
そのせいで、世界観ありきで組み立ててきた考察を1から作り直したほうが良いのでは無いかとの葛藤で、世界観にはかなり足を引っ張られることになります。
最終的に世界観ありきの考察と、歌詞そのままで考察するという2パターンの考察をしてしまったりと、伝えたいことを詰め込みすぎたせいで分かりづらい文章になってしまいましたね。申し訳ないです。
考察方針の変化について
お気づきの方はいらっしゃるかもしれませんが、歌詞序盤は出来るだけロジカルな考察で進めていたのに対して、終盤で感情気味になってしまったのには理由があります。
「曲の解釈は人それぞれだということに気づいたから」
です。今更何を当たり前のことを、と言いたい気待ちは分かります。考察はそれを行った人の中での回答であり、解釈は無数にあるという単純なことを僕は知っていたようで分かっていなかったんです。
ささくれさんの曲には、ズットキット・プライマリに限らず「ワンダー」というワードが頻出します。ワンダーは直訳で「不思議」という意味なんですが、『じゃあワンダーは不思議という意味で考察を進めよう。』ではダメなんです。すみません、ダメは言い過ぎでしたが、20点くらいの回答だと思っています。
ワンダー以外の歌詞にしても、僕は直訳して歌詞を軽く解いてから具体的に意味を読み取ろうとする癖があります。そうすることで伝えたいことが見えやすくなることもあるんですが、直訳は歌詞が伝えたい想いを限定する作業になります。
僕が考察を進める上で、例にも出した「ワンダー」という歌詞について、僕の中で納得のいく回答を出せず、ささくれさんの曲を聴いたり調べたりする時期がありました。
そんな折に読ませていただいたこの記事は「プロジェクトセカイ」という音楽ゲームの書き下ろし曲「トンデモワンダーズ」のメイキング特集です。この記事でもワンダーについて語っていらっしゃるんですが、その中の1部を抜粋します。
考察とは、歌詞原文に込められた意図を読み解く行動なんですが、それを公開することで、見てしまった聞き手の自由な発想を奪ってしまうことにも繋がることを僕は意識できていませんでした。
僕は最近まで、ズットキット・プライマリには世界観があって、伝えたいことははっきりしているのだから、答えがあるに違いないと信じて考察を進めていました。しかし、伝えたいことがひとつでは無い歌詞も存在するということに気づき(特に曲の終盤には)、直接的な表現は避け、歌詞をそのまま軽く解く程度に抑えることに注力しました。特に1番最後のセクションではもう考察では無いほどの簡素な物にまとめてしまい、「ひとつの答えを出さないことこそが答え」という回答に着地しました。
なので、僕の考察は無限にある回答の中のひとつであると思って楽しんで欲しいです。
まとめの繰り返しになりますが、この記事を読んでくれた人が「ここは違う、自分はこう思った」と思ったらそれが正しい答えですし、あくまで僕はこう思ったという答えを覗き見する感覚で楽しんで頂けたら幸いです。
繋がりというテーマ
僕はズットキット・プライマリ(以下ズットキット~)が持つテーマを「繋がり」として考察を進めてきました。しかし、体育館本のメイキングを読んでいてずっと引っかかっていることがあります。あお丸Pは撮影地の羽田空港について、
「出会いや別れに対して繊細なこの時代で、そのモチーフとして空港が使えるならかなりパワーがある」
と語っています。つまり、出会いや別れもPRIMEが表現したい事のひとつということです。
しかし、テーマである繋がりは出会いとは取れても、別れと取るには今ひとつピンときませんし、歌詞にも別れに対する言及はありません。どちらかと言えば、今の関係がずっと続くことを願っているため、別れは寧ろ逆のテーマです。それでは果たしてPRIMEの伝えたい別れの表現は失敗に終わっているのか。答えは否です。
確かにズットキット~では別れに対して重きを置いてはいませんが、PRIMEの次のユニットダンスである「時よ」この曲でズットキット~とは別角度のPRIME、つまり「別れ」について深堀りしている彼らを見ることが出来ます。曲と曲との繋がりを通してPRIMEが伝えたい想いは引き継がれれいるんですね。「時よ」のテーマについては、せるろさんという方の記事でとても詳しく掘り下げていらっしゃるので、見たことのない方はぜひご覧ください。(ステマじゃないよ)
小ネタ集
言葉遊び
ズットキット・プライマリには言葉遊びとして韻や掛詞、対義語が頻出します。とても面白いので、僕が気づいたものを記載しておきます。
韻(もしくは掛詞)
・「相 アイ 愛 会い」
・「プライム プライド」
・「果てしない 完成しない」
・「簡単 感嘆」
・「試行錯誤 思考錯誤」
・「ワンダー アンサー モンスター」
・「そっぽ シッポ」
・「アンナコンナソンナドンナ 暗な混な損な曇な」
・「ヒューマン ニューマン」
・「アアダコウダナンダカンダ 嗚呼だcoda難だ咬んだ」
・「割れない 終わらない」
対義語
・「プライド サイコウ」
・「マタアシタネ モウアエナイ」
・「ライト クライ」
・「うれしい かなしい」
完全な対義語
「サイコウ」と「プライド」2単語がイメージ的には対になっているのですが、完全な対義語にはなっていないように感じます。サイコウの反対はサイアクなので、「サイアクはあっちいって」でも良かったのではないかという疑問が残ります。辻褄を合わせるとプライムとプライドで韻を踏みつつマイナスイメージが取れる単語をチョイスしたのではないかと考察しました。
シッポ
「昨日のシッポが染みたって」という歌詞、普遍的な作品に落とし込むことに注力したこの曲では数少ないケモノ要素で、違和感なく取り入れているこの表現が本当に素晴らしいと感じました。シッポが染みるという表現に相応しいのは”雨”か”泣き跡”だと僕は思っているのですが、皆さんはどう思われましたでしょうか。雨が心の曇り空を表現していると考えることも出来ますし、尻尾で顔を覆って静かに泣いているというシーンとしても想像できますよね。
歌詞表記の違い
「あんなこんなそんなどんな」という歌詞について、カタカナ表記にすることで言葉のイメージが抽象的になって、”世界”という大きなくくりに適切な言葉になっています。
逆に漢字表記はより言葉の具体性を増してマイナスなイメージを視聴者に与えることが出来るので、”事態”の前置詞として違和感なく聞くことができるように感じました。完全にフィーリングです。根拠はないです
数字の意味
30秒や30年など、2番では30という数字が使われています。1番では半世紀、つまり50年でしたが、どうして違う数字になっているのでしょうか。明確な根拠はありませんが、3も5も素数です。PRIMEを象徴する数字として使用されていたら粋な演出ですね。
試行錯誤
「しこうと錯誤のモンスター」という歌詞のしこうについて、漢字が2種類あることに気がつきましたか?僕は最近まで全く気づきませんでした。「思考と試行」です。
試行錯誤という言葉については、思考錯誤は誤った使い方なので、2番の「思考と錯誤~」はささくれさんのミス表記……
な訳がありません。1番はそのまま試行錯誤で意味を捉えるとすると、2番はどうして”思考”なのでしょうか。これは
PRIMEの性格を表している
のでは無いかと考えています。ズットキット・プライマリはPRIMEのテーマ曲ですので、メンバーイメージの歌詞が存在してもおかしくはありません。ノクスは2匹の喧嘩を客観視していたつもりが、実は自分もうっかりしてしまっていることを表現したお茶目なミスだと考察しました。つまりPRIMEは可愛いということです。
coda
2番サビで唯一異彩を放っている”coda”という単語、何故唯一漢字表記ではないのでしょうか。一見実況者のCO-DAさんオマージュのように見えますが、実は関係ありません。
CO-DAさんのプロダクション体育館との初コラボはズットキット・プライマリ公開後であり、仮に公開前にコラボ情報を知っていたとしても、※この配信以降に企画が立てられたと考察できることと、ダンス原案が2021年には既に出来上がっていた事から全くの無関係であることが予想できます。
(※ マグーダマージャンクラブのこの回の11分辺りで、CO-DAさんとのコラボ企画の元になったと思われるやり取りを見ることが出来ます)
また、マイナスの印象を持つ「嗚呼」「難だ」「咬んだ」と同じ位置づけにあることからも、体育館メンバーであるコーダくんのことを指しているとは考えにくいです。色々と調べた結果、音楽用語での「締めくくり」や「終わり」という意味以外に、codaには「(Children of Deaf Adults)耳が聞こえない、または聞こえにくい親のもとで育つ子どものこと」という意味をもつことが分かりました。僕の中ではこのcoda説を推しています。
しかし、これをマイナスと捉えるのは差別的意味合いではなく、あくまで僕が持つケモナーなどと同じで、少数派であるが故に苦労する可能性がある点を持つという意味合いで捉えている、ということを留意して頂けると幸いです。
答えが出なかった考察集
30秒前のニューマン~
本文でも説明を入れていましたが、このセクションは謎のままでした。凝り固まった思考では出せない答えがあるのかもしれません。
「あい」に関連するフレーズ
「相 prime プライドはあっちいって~」
イントロやサビで歌われるこのフレーズ、実は「あい」の歌詞表記に特定のフレーズが対応していることに気が付きましたでしょうか。具体的には以下のような組み合わせになります。
相
↕️
プライドはあっちいって
ずっとずっとワンダー
愛
↕️
ライトにもっと光って
きっときっとアンサー
会い
↕️
クライのはちょっと待って
ずっとずっとワンダー
アイ
↕️
サイコウはこっち向いて
きっときっとアンサー
イントロでは「相」と「アイ」しか使用していないので「プライドはあっちいって」と「サイコウはこっち向いて」が対応フレーズになっています。この関連性は最後まで謎のままでした。
割れる
1番の歌詞で「“一緒”が一生、割れないようにー」と歌っているのに対して、2番では「“一緒”が一生、終わらないように」と変化していますが、繋がりが絶たれる表現として「割れる」と表現するのには違和感があります。また、割れるという言葉からプロダクション体育館やPRIMEに連想できる言葉を僕は考えつかなかったので、歌詞考案段階では”終わらないように”というフレーズを先に作曲して、韻を踏む単語として”割れないように”が出来たのではないかと考えています。が、考察が後付けすぎて納得はいっていません。
グダグダとした思考の羅列まで読んでいただいて本当に感謝しかないです。
回答は無数にあってそれぞれが答えを持つことが大事だと考えてはいますが、僕とは全く違う考えを持つ人のアイデアも是非聞いてみたいので、感想や意見等々いつでもお待ちしています!
ありがとうございました。