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東京都大田区 日本航空安全啓発センター
1985年8月12日に起こったJAL123便の事故について、日本航空が事故の教訓を風化させてはならないという思いと、安全運航の重要性を再確認する場として、2006年4月24日に開設した施設です。通常は日本航空社員の研修施設ですが、予約すれば社員さんの解説付きで見学することができます。
施設内には、破損した後部圧力隔壁や後部胴体をはじめとする残存機体、コックピット・ボイスレコーダー、遺品遺書などが展示されていて、何が起きたのか、詳細に聞くことができました。事故原因は後部圧力隔壁の修理ミス。作業指示と異なった方法で上部と下部を結合したために強度が本来の70%ほどになってしまった結果、修理から7年後に大きな破損が生じてしまいました。修理したのはボーイング社ですが、そもそもJALは修理が必要となった尻もち事故をおこしていて、さらに修理後の7回の定期点検で、修理ミスに気づくことができていなかったため、事故はJALにも責任があると考えているとのことでした。
二度と事故を起こさないようにするためにJALが大切にしていることを2つ紹介いただきました。ひとつが三現主義。三現とは、現場、現物、現人。事故の現場、残存機体などの現物、そして事故にあわれた方とその関係者の方々を大切にするというものです。もうひとつが2.5人称で考えること。1人称はお客様、2人称はお客様にとって大切な方々。3人称はJALの方々。第三者としてのJALは航空について客観的に冷静に判断しつつも、当事者の目線もあわせ持った2.5人称で考えることを大切にするというものです。
展示の中で一番胸が詰まったのが、乗客の方々が座っていた椅子。前方にあった座席が特にぐちゃぐちゃになっています。事故が起こってから32分間、機体が上下左右に大きく揺れながらも、その席で酸素マスクを着け、死の恐怖に耐えながら遺書を書いたのかと思うと泣きそうになってしまいました。
今回センターを見学してみて、施設を訪問しづらいことと、内容が社員研修っぽくなっていることがもったいないなあと感じました。JALオフィス内に施設があるので仕方ないのですが、セキュリティーがしっかりしていることがかえって閉ざされた印象を受けてしまいます。また今回ガイドいただいた方は事故後に生まれた方で、現在、事故当時働いていたJAL社員は1%もいないということでした。もし元社員の方や、遺族の方のお話を聞くことができたらさらに事故について考えを深めることができるかもしれません。ただ520名の方が亡くなっている悲しい事故なので、関係者の方が事故について話すことはつらく難しいことであると承知しています。施設の目的である「事故の教訓を風化させてはならないという思いと、安全運航の重要性を再確認する」機会を、事故を知らない世代の方を含め、より多くの方がもてたらといいなと思いました。
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