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長野県岡谷市 岡谷蚕糸博物館

新年は青春18きっぷの旅からスタート。前日は新年会でタクシー帰りのため朝寝坊してゆったり9時出発。新宿から中央線で高尾まで行き、そこから中央本線小淵沢行。だんだんと山の景色にかわっていき、一番遠くの山に雪が積もっているのが見えるようになった頃、耳がキンとなる。けっこう高いところまできているみたい。乗客はどんどん減っていくのでちょっと寂しい。遠くに目をやる。いい天気だ。
13時03分に小淵沢駅着。次の松本行まで1時間ほどあるので近くのそば屋で昼食。肉そばを頼んだあとあらためてよくメニューを見たらとろろそばが名物とあった。こっちにすればよかったかあ。。。今年も優柔不断。。。私からは見えない奥の席からいい感じに酔っぱらったおじさんの声が聞こえる。「焼酎くれ」と大声だすおじさん。お店のおばさんが、「そば食べ終わったらね」と子供をあやすような優しい笑顔で対応している。話相手がほしかったのか、濃紺のジャンパーを着たおじさんが奥から現れた。間違いなくコートでなくジャンパーとして売っているやつ、北の国からの五郎さん風だ。「お客さんどっからきたの?」頬っぺた赤くてちょっとろれつまわってなくて加藤茶みたい。「東京からです」「東京のどこ?江戸?」「そう、江戸から来ました、、」。。。「話しかけないの!」おばさんに一括されて五郎さん風の加藤茶退場。おばさんが戻ってきて私に水をついでくれる。「すみませんね、お客さんよっぱらってて」、とまた笑顔なおばさん。そろそろ会計。レジの表示を見ると「1,500,800」!!。前客の1,500円のあとに私の肉そば800円を続けて打ってしまったよう。あら~、とまたまた笑顔なおばさん。昭和な正月のワンシーンへエキストラ参加したひとときでした。
14時05分の松本行に乗って14時41分に岡谷駅着。そこから岡谷蚕糸博物館まで徒歩20分ほど。道路にはちょっとだけ雪が残っている。風がめちゃくちゃ冷たい。そうだ、ここは岡谷だ!「あゝ野麦峠」で読んだ岡谷。そして今日は1月4日。正月を故郷で過ごした工女さんが再び岡谷に帰ってきた時代はもっと寒かったんだろうなあ。遠くを見ると雪をまとった山並みが見える。細い山道を一列に並んで雪を踏みしめながら進む工女さんたちの姿が浮かぶ。「あゝ野麦峠」に出てくる工女さんの証言は、過酷な労働についてのつらい話が大半だったが、最後のほうに「それでも青春だった」というような言葉もあった気がする。つらいときもたくさんあったが笑顔のときもあった、みたいなことをちゃんと分かりたい。
博物館到着。「日本・岡谷の製糸業のあゆみ」のパネルで、1932年に世界一の生糸供給国となった製糸業の歴史を学び、そのあと、その歴史を支えた歴代の繰糸機を実物で見ることができます。これだけ多くの貴重な繰糸機を実物で見れるのはおそらく日本でここだけ。技術革新が産業の発展に不可欠なことがよくわかりました。

日本が生糸輸出で獲得した外貨で軍備を増強していったという意味でも、その生産をになった岡谷は、日本近代史においてとても重要な場所です。東京から鈍行で5時間半ほど。静かな田舎町ですが、間違いなく今の東京と密接につながっています。


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