「旅が自分を成長させてくれる」という幻想
■コロナ後、私が再び旅に出るまで
2024年5月、コロナ禍から一転、世界中の人たちが競うようにして再び海外に出始めた。
周りがそんな風にいろんな場所へ行き始めると、当然自分も行きたくなった。
自分にとっては、実に4年ぶりの海外だ。まずは近場で慣らす必要があった。
とはいえ、ガチガチに固めた”安心・安全な”旅にはしたくなかった。そんな旅をしたって、きっと面白くない。
トラブルや困難があろうとも、それをどうにかして乗り越える、そんな旅がしたかったのだ。
今回の旅は、ここはこうしたい、というこだわるポイントをいくつかだけ決めて、それ以外は現地で赴くままに、という割と凹凸のあるものに仕上がった。
一番の目的である九份へのアクセスは、直前まで悩んでいた。ツアーに乗っかっていけば、確実なのかもしれない。
さらにその先のツアーで十份まで行って、ランタンを上げる体験も魅力的ではあった。
でもそれをやると、一から自分で調べて、自由にみて回れない。ツアーの料金が自力で行くのに比べて相当高いのもある。なので今回は、自力で行く醍醐味、という言い訳をつけながらなんとか行くことにした。やってみたら意外となんとかなることがわかった。というより、なんとかしなくてはいけない状況になるからやらざるを得ない。そこで、あらゆる手段を調べて検討することになるのである。
そうすると、ふとしたときに一筋の道すじが見えてくる。それをたどると、自然と旅が進んでいた。
ツアーだと連れまわされることになる余計な場所には、今回、一切行かなくてよかった。割高なお茶のお土産も、タイミングが違うマッサージも、しなくていい。ゆっくり見たい寺院だってあった。
思うままに作る旅は、自分だけのものになっていった。
実際にはそこまで詳しく事前の下調べもできなかったが、行った先でよく検討した。その上で決めた。すべて一つずつ選んで、納得のいく旅を作り上げた。それが面白かったのだ。
「旅が自分を成長させてくれる」というのは、幻想でしかなかった。
旅に行けば必ず成長するのか?答えはノーだ。旅の中で、何をどうして行きたいかによる。人にすべて任せるツアーで行けば、楽なのかもしれない。
それが成長につながるか、と言われれば違うかもしれない。人によるのかもしれないが、少なくとも自分はそれをしたくなかったのだ。
自分から行動しなかったら、何一つ手に入らない。それを実感するために今回の旅が始まったのだ。
気が付いたことがある。行動につながるまでには、ある程度の時間が必要だ。立ち止まる時間。たぶん今の現代人の多くは、それが足りていない。
次々とくる現実に、よく練りもせず決めなくてはならないことが多すぎる。
旅の途中、小さなことで失敗したこともある。だがこれも大局で見ると、貴重な経験となった。予定を変更したり、やり直したり。
結果的に、自分だけの思い出ができた。
新しい旅に行ける喜びを感じている。
ここからは具体的な旅記録です。
■旅の記録
【0日目】前日の準備
まずは荷物のパッキングから。ろくろく準備も出来ていない中、日は確実に流れていき、とうとう前日になった。
今回は、この旅行用に、と小型のスーツケースを買った。
表のダイヤルを設定することで鍵がかけられるタイプだ。
迷った末に、自分にとって一番好きなものを想像する番号にした。
そして日数分の着替えを入れ、それぞれ袋に小分けした。
また、コード類をまとめてコンパクトにした。
【1日目】空港/出国/到着/天天利/夜市
朝起きたら、とりあえず動くための軽めの食事はとることに決めていた。
手早くごはんを食べて、その後最後にスーツケースの中に入れるものを確認し、手提げとして持っていくものを準備した。
いざ出発。
京急線から、初めて羽田空港第3ターミナル駅に降りた。
旅行のために作られたと言わざるを得ないツルツルの道路を、悠々とスーツケースを転がしていく。
この、日常から非日常へと進んでいく瞬間こそが、もっとも好きな時間の一つだ。
空港に着くと、ツアー客だったり、外国人だったり、実に様々な人がひしめき合っていた。彼らの会話を少し覗き見ると、大なり小なりこれから旅に出ることへの開放感を見てとれて、実に楽しい。
自分はまず、いの一番にトイレに向かった。活動の第一歩はしっかりお通じをした後じゃないと落ち着かないのだ。
次に向かったのは自分が乗るエアラインのカウンターである。とにかく早く荷物をドロップして、身軽になりたい。事前にオンラインチェックインは済ませてある。これからカウンターに並ぶ人に比べたら、おそらくかなり短縮されるはずである。
さて、そこまで済ませると、もうワクワクが止まらなくなる。一刻も早く出国手続きに進みたくなってしまう。
制限エリアに進んでも、こちらほど見るところが無いと分かってはいるのだけど、はやる気持ちが抑えられない。
手持ちのお金を少しばかり下して補充するのも忘れて、出国してしまった。
自動化ゲートというのが出来ている。だがその登録はしていない。
うっかり出国スタンプがもらえないと困るので、今回は慎重に様子を確認した。
よく見ると、出国後、右横に事務室のようなところがあった。
目立たないが、「スタンプ(証印)を希望される方はこちらまで」という張り紙がしてある。
スムーズなのは、自動化ゲートを通り、かつ、この事務室でスタンプを押してもらう流れだろう。
今回で理解できたので、次回はもう大丈夫な気がする。
さて、出国後はどう考えてもやることがない。
免税品店はたくさんあるが、どの店構えを見ても、高価な化粧品やお酒しか置いていなさそうだ。
そんな場所でウインドウショッピングを楽しめるとは思えず、必然、お土産店に足を運ぶことになった。
いかにも日本らしい、和のテイストのお土産が置いてある。
欲しかったが、やめた。
ふと、出国前にお金を下すのを忘れていた。
インフォメーションに聞く。口座を持っていない銀行から、手数料を支払って引き出すしか無さそうだった。
また、これを外貨両替で少しだけ替える。
現地でもできると思うが、気持ちの上ではやっていた。
時間になり、搭乗していく。今回は窓側の席なので、景色が楽しめそうだ。
日本人乗務員と、台湾人乗務員がそれぞれいた。
さすがに、離陸前の段取りはどこも同じなため、(いつものことだな・・)と思いながら過ごしていた。
入国カードを配っていたのでそれをもらう。
機内食のサービスのとき、隣の中国人男性がCAの言うことをヒヤリングしてくれて、自分の希望するメニューを伝えてくれた。ありがたかったのだが、どうにか自分で伝えたいなとも思った。
単純に、2種類の中から選ぶだけだったようだ。
慌ただしく食事をいただく。熱いお茶までついてきた。
なかなか嬉しい。
モニターの配信で「すずめの戸締まり」が入っていたのでそれを見ることにした。
フライト時間が短く、全部を見ることはできなかったので、帰りに続きをみよう。
松山(ソンシャン)空港に着いた。軍用空港を兼ねているため、写真の撮影は出来ない。
アナウンスは特になかったが、カメラを向けている人はいなかった。
飛行機を降りて、すぐに入国審査場へ進んだ。
台湾人は自動化ゲートもあるようだ。
入国審査で指の指紋をとって、話すことはほぼなく無事入国した。
大きく目立つところに両替カウンターがあったので、そこで両替をする。
その近くに、SIMカードカウンターがあったので、3日間使えるSIMを購入した。「すぐ使う?」と聞かれたので「そうだ」と答えた。
日本語ではなかったが、こういうとき不思議と言っていることはわかるので楽しい。
次にコンビニを探した。セブンイレブンがあったので、そこに行くと、各種カードが置いてあった。Easyカードを買い、チャージもお願いした。
とりあえずネットがつながっていることの安心感は半端ない。
あらかじめ調べておいたおみやげ用のパイナップルケーキを買いに、南京三民駅を目指す。
降りたら、ちょっと地図ではわかりにくく、何度かうろうろした挙句、人に尋ねた。
冷汗が出ていたが、目的のものを見つけて安堵する。
お土産を買って、台北車站駅まで行った。
ホテルはカジュアルな感じだった。パスポートとともに、プリントした予約書を見せる。登録したクレジットカードを出してほしいと言われたので渡した。どうやらそれで決済したようだ。
フロントのそばにあるソファについての説明を受けたが、ふわっとしたことしか理解できなかった。たぶん途中でここに寄ることはないだろう。
ルームキーをもらった。普段使いしているポーターの鍵入れに収納した。
EasyCardも見えるところに差しはさんだ。
部屋に荷物を置き、持っていくものを少し整理して出発した。
まずは、先週緑黄色社会のメンバーが訪れたという、ごはん屋さんに立ち寄ることにした。
西門駅を目指す。
MRTの車内では、ガムや食べ物・飲み物が一切禁止されている。
そのため、うっかり口につけてしまわないようにかなり気を付けた。
西門駅を降りると、そこは繁華街だった。雰囲気としては渋谷のような感じだった。
駅を出てすぐ見えるアーチの門をくぐって、中に進んでいくと食べ物屋さんや、携帯ショップ、雑貨屋さんが並んでいる。スマホのナビを見ながら歩くと、メインストリートと思われるところで大道芸をやっていた。
その横をすり抜けていくと、目的のお店があった。
「天天利」というごはん屋さんで、時間は少し早かったがガッツリ食べることにした。4人組バンドの緑黄色社会が訪れたごはんやさんだ。
ルーロー飯と、ビーフンを頼んだ。スープもほしかったが、どれか分からず断念した。
台湾ドルで支払うと価値がわかりにくくて仕方がない。
とりあえず脳内で、レートをざっくり変換して食べているが、気が付いたらあっという間に使ってしまいそうで怖い。
お腹いっぱいになったところで、次にどこに行こうか思案した。
先に、日のあるうちに中正紀念堂を目指した。
広々とした敷地の中に建っていた。前回も訪れたが、もう一度来てみようと思い立ち寄ったのだが、公園のところで音楽イベントをやっていた。
騒がしいので、ざっと見るだけにして、その場を離れた。
台北101と、新北投温泉で迷ったが、温泉に行くことに決めた。
MRTを乗り継いで40分くらい。あたりはちょうど薄暗くなっていき、それらしい雰囲気がよく出ているところに着いた。
聞けば日本統治時代によく整備されたところらしく、看板に「熱海」とか見慣れた文字が見える。
ガイド本をみると、日本の旅館の支店のようなところもあるという。
馴染み深い場所だった。
温泉街を奥へ進んでいく。あらかじめ調べておいた、立ち寄りできる温泉にたどり着きそちらに入った。
ホテルを出るときあわてて準備したので、タオルを持ってくるのを忘れた。というか着替えも何もかも忘れてしまった。
こういう凡ミスは凹むが、気を取り直して温泉を楽しむことにした。
中に入ると、さすがに日本のような富士山の絵の壁面は無かったが、ランプの宿のような薄暗さの中に温泉があった。普通の銭湯と変わらないたたずまいだ。最初は気が付かなかったが、温度設定が熱めの浴槽と、通常の浴槽に分かれていた。さすがに熱めの浴槽だけだと長く入れないので、気が付いてよかった。
そのうち、台湾人のおじさんに話しかけられた。
おじさんは、同じくそこにいたアメリカ人にも話していた。
台湾ネイティブで、英語が話せるから英語で話していて、自分が日本人であることを伝えると「ニホンゴ、スコシダケネ」と言った。
自分もたどたどしい英語で話した。
現地の人と話せるのは単純に嬉しかった。
温泉を出て、駅近くのコンビニでアイスを買って食べた。
再びMRTに乗り、西門駅を目指した。
一度降りたが、気が変わって夜市に行くことにした。
松山駅まで行く。
饒河街観光夜市は、台北で最も賑わう夜市として紹介されている。
そこを練り歩くだけでも、けっこう楽しかった。
屋台がいろいろあったし、日本ではみたこともない食べものを扱っている。
簡単な仕掛けのテーブルゲームで遊んでいたりする。こういう雑多な感じ、活気があってとても力をもらえる。
パイナップルのカットや、ウインナーを食べた。
お腹いっぱいで腹がはちきれるかと思った。
十分楽しんだところでホテルに戻った。コンビニに寄ってビールと、スナックを買って帰る。
初日、結局遅くなったが就寝した。
【2日目】朝食/故宮博物院/九份/士林夜市
6時半ごろ起きた。お腹が空いているが食べものがないため、早々と支度して出る。通りに面したところで朝から湯気が立ち上っていた。ごはんものもあるし、テイクアウトのサンドイッチもあった。
こういうのはありがたい。おいしそうだったのでサンドイッチを買った。
MRTでは飲み食いできないので、道端に腰かけて頬張る。
めちゃめちゃ美味い。
名のある名店ではない、何でもないごはんが、一番おいしい。
こういうのでいいのだ。
9時半に間に合うように士林駅に着いた。EVANさんと待ち合わせている。
EVANさんはちょうどくらいに来た。ひさびさの再会を喜ぶ。
そして故宮博物院まで行くバスに乗るためバス停まで歩く。
バスはすぐに来た。
日本のように大きくはなかった。マイクロバスで、座る人が座ったら後は立つ人がギュウギュウで詰めなくてはいけなかった。
乗ってすぐ気が付いたが、運転が荒い。それはそれで楽しかったが(笑)、つり革を一生懸命持っていても振り回される。
故宮博物院に着いて、中に入った。
初めて来たような感覚だったが、前にきたときのことを少しずつ思い出した。今回はオーディオガイドも借りた。実際はあまり使えなかった。
EVANさんの荷物が館内に入るには大きすぎて、ロッカーで荷物を預けて来いと言われたようだった。いったん預けに行って、それを待って再度合流して入った。
とりあえず3階から見ていくことにした。
EVANさんが時々、日本語説明のない展示品の前で解説してくれたりした。
博物院の目玉のひとつである、肉形石をついに観ることができた。
肉形石は、かなり小さかった。
白菜のほうは出張中だった。
観覧できない代わりに、電子掲示板に映る白菜の写真を撮っている人がたくさんいた。
展示は3階から見ていき、順に降りていくようにした。
歴史的な展示物をみたり、綺麗な白磁・青磁の壺をみたりした。とても一度では観ることができないほどの量があった。そのため、EVANさんと真綾トークもしたかったので、途中で一度出ることにした。
再入場ができるということなのでありがたかった。
少し離れたところにあったレストランを覗いてみると、お値段がけっこう高かった。そのため、戻ってすぐ隣にあるカフェのほうに入ることにした。
注文をEVANさんがしてくれて、代わりに支払ってくれたため、自分は彼に支払いをした。
スマホで真綾さんのライブのことなどを調べたりしながら、思い出話に花を咲かせた。といってもお互いが共通する思い出ではなく、あくまでも自分が参加したライブなどについて、お互いが話すという形だった。
それでも十分楽しかった。
話をしていると、どうも彼は大学の教授か何かのようだった。そしてゼミ生を連れて6月に関西を訪れるらしかった。
残りの展示を見て、そろって博物院を後にした。
再びバスで士林駅まで戻り、電車に乗る。
その後は、それぞれ別の駅で降りることで解散となった。
とてもいい時間を過ごすことができた。
台北駅に戻った自分は、駅の券売機でゆっくりと次の行き先をみていた。
博物院に行く前に、朝方たしかめたものをもう一度みてみる。
目指す九份への行き方をガイドブックでも確かめて、駅の券売機だとどれを買えばいいか確かめた。
日本語で表示できるボタンがあったので、迷うことはなかった。
台北駅から瑞芳駅まで電車で行き、そこから乗り換えてバスで行くことにした。
電車にはまだ乗ったことがなかったから、これは初めての経験としてふさわしいと思った。
時間指定の切符を買った。乗車時間まで、駅の構内をぶらぶらすることにした。といってもその辺をうろうろするだけである。駅弁を売っていたので、せっかくだから買うことにした。
九份へ着いたらしっかり食べることができないかもしれないと思ったのもある。
そうして、電車に乗り、弁当を食べ、瑞芳駅で目的地までのバスが出ているバス停をなんとか探し、バスにもちゃんと乗ることができた。
行き先案内を慎重に見ながらではあったが、すべてしっかりと進んでいけたのはとても大きかった。
そして、ついに九份へ着いた。
10年前は、ツアーで連れてきてもらったときは、台湾人のガイドさんのお話が楽しかったのを覚えている。だがしかし、今回、自分の足で来れたというのが感動もひとしおだった。
カメラを準備して道を進む。いい景色をどんどん撮影する。
そして、台湾に着いてから慌てて調べた真綾さんの訪れたお茶屋さんを探して行き着いた。
入口でお姉さんの説明を聞く。価格表を見せてもらったら、びっくりするようなお値段だった。お茶一杯だけ飲んで帰るというのがなかなか難しいようで、しかも一人しか来ていないのにこれだけの金額を出すのはとてももったいないような気もしたが、ここまで来ておいてそこだけ外すのも考えにくかった。
ほんの少しの茶葉とケーキのセットで、7千円超の出費となった。
九份茶坊で、ゆっくりお茶をして、真綾さんの台湾訪問地を撮影したりした。
実はあまりゆっくりもしていられなかった。
というのも、いちばん見たい景色のお昼の姿をしっかり写真に残しておきたかったからだ。ちょうど日が落ちる直前だった。
九份茶坊からほど近いところにあるお茶屋さんが、今回の主な目的地だ。
『千と千尋の神隠し』のイメージの元となったロケーションを撮影した。真綾さんのアクスタを入れたり外したりしながら、存分に撮影した。さすが人気の場所とあって、観光客がたくさん来ていた。日本語を話す人もたくさんいた。十分心行くまで撮影した後は、少し何か食べることにした。
通りの端まで歩き、賑わいから外れたところを確認してまた戻る。
そろそろ帰ろう。
帰りのバスは、やはり混んでいた。といっても、帰れないわけではない。少し待てば、台北行きのバスはちゃんと出ていて、乗ることができた。
逆方向のバス停でうっかり待ちぼうけになりそうになって、無事乗れた。後は帰るだけだ。
話す声から日本人と思われる人がちらほらいる。
疲れているからか、あまり話は弾まなかったが、日本人というのは安心する。
バスのアナウンスが台北市内に入ったことを告げると、なんとなく安堵した様子が広がった。そして、隣の日本人女性2人組となんとなく話した。
そしてバスは、忠孝復興駅前まで着いた。どうやらそこが終点のようだ。
ぞろぞろ降りて、それぞれ散らばっていった。
夜ごはんをどこで食べようか考えていたが、結局、士林まで行くことにした。饒河街夜市は初日に行ったので、違う夜市を体験してみたかったというのもある。台北101にも心惹かれたが、やはり屋台ごはんを食べるのににぎわったところへ行きたいと思ったのが大きかった。
着いてみると、駅のすぐ近くは少し寂しかった。歩いて先まで行かないとにぎわっていない。スマホを頼りに歩いて、その通りに出た。規模は饒河街夜市よりも小さかったが、なんとかごはん屋さんを見つけて夕ご飯にありついた。
ごはんを食べて満足したので、戻ることにした。さすがに食いだおれをしに饒河街夜市まで再度足を運ぶ元気はなかった。終電も気になるところだ。
台北駅を降りて、やっぱり最後はマッサージだろう、ということで調べて近くのお店に入った。
男性店員が汗をかきかきマッサージをしてくれた。
歩き疲れていたのでこれはアリだなと思った。
昨日寄ったコンビニに再度足を運んで、台湾ビールとスナックを買って帰る。
部屋の中で食べる、夜更けのスナックも、旅をしている感じがしてよかった。
部屋に帰ると、連泊するからか、デフォルトではベッドメイクはしない様子だった。「ベッドメイクをしてほしい」というプラカードを下げておいたらよかったかもしれない。中国語をちゃんと把握しておけばよかった。
シャワーを浴びて、荷造りをした。
落ち着いてからビールをあけた。
【3日目】最後の日の朝/台北101/萌えポスト/帰国
朝。チェックアウトのため6階へ。鍵を返した。
連日お世話になっているサンドイッチを買って食べる。やっぱりおいしい。
これが最後かと思うと寂しかった。
台北駅から、MRTに乗り台北101を目指した。
コインロッカーを使って荷物を置いてから、ゆっくり回ろう。
そう思って意気込んでいたら、まさかの開店前だった。
お仕事のためにゾロゾロ台北101へ向かう人に遭遇したが、11時から開くため何にも見れなかった。
仕方がないので予定を変更することにした。
ガイドブックを調べたら、昨日のバスで話した女性が言っていた、龍山寺があった。そこに行くことにした。
持ってきた荷物のことでけっこう時間を食ったが、古き良きお寺を楽しんだ。
最後に、松山空港からも近い、萌えポストを見に行くことにした。
今の今まで忘れていたのだが、たしかに当時少し話題になった。それも台北であることも、奇跡的に最後に思い出した。
そばの公園のゆっくりとした空気も味わって、今回のところは思い残すことはない、とばかりに空港を目指していった。
ふたたび空港に着いた。最初にWi-Fiを買ったブースに寄って、帰ってからのSIM差し替えをしたいがどうしたらいいか、と相談した。そしたら、ゼムクリップをくれた。最初に相談しておけばよかったが、話も通じたし親切すぎた。
Easy-Cardのチャージ分が微妙に余っていた。これを使い切るには、サブウェイしかなかった。
お店の前には写真もあり、たぶんそれで伝わるだろうと思ったが、注文やトッピング自体は問題なかった。
問題は、Easy-Cardに残っているチャージ分を使い切り、さらに足りない分を現金で支払いたい、というのを伝えようとしたときだ。
日本語でつい「ひゃくにじゅう・・」と言ったら、すかさず「(ごめん!!私は日本語わからない!!)」と言われた。英語で言われたけど伝わった。
ああ、そうなんだね。じゃあ端的に「カードの中にチャージが入ってる。残りは現金でいいかな?」と幼稚な英語で伝えた。店員は上機嫌で「そうなのね!!大丈夫よ!!!じゃあ、あなたの欲しい飲み物を、そのクーラーボックスから取ってきてちょうだいな!!」と言われた。
テキパキ仕事する彼女に、「すごいなーーー」とびっくりしていた。
もらったバンズを食べずに、そのままいったん持ってエバー航空のカウンターに並んだ。荷物をドロップするためだ。
今回も、電子チケットを取得していた。帰りは通路側をとった。
チェックインが済んでいる人の列は、とても早かった。オンラインチェックインは、チケットの券面がスマホに残るし意外といいなと思った。
荷物を預けた後、再度サブウェイに戻って急ぎ気味でサンドを食べた。
ふと気になって、国内線の様子を見に行ってみることにした。
歩いて足早に向かう。200mくらい離れたところにあった。ざっと見たら、長栄航空(エバー航空)と書いてある。台湾人向けとしては、その表記のほうが馴染みが深いのだろう。電光掲示板で、ここ松山からの行き先を✔した。
桃園に比べたら、そこまで便数は多くなかった。
戻ったら、やることもないし出国することにした。
出国審査の担当の方は、入国のときにも見た顔の女性だった。
まだ時間的に早かったようで、空いている審査場で、担当に「チョイチョイ」と手招きされて、「マツオサン、hands please」と言われて指の指紋認証台に載せるよう言われた。混雑していたらそんな感じではなかったと思うと、ちょっと嬉しかった。
無事出国となり、制限エリアに入った。
広めのスペースを取っているお店は、化粧品かお酒を扱うところばかりで、あまり賑わっている様子はなかった。
端から端まで広いフロア内を歩き回る。あまり面白い動きではない。
土産物屋を一通りみて、カフェでカフェオレを頼んだ。
日本人の乗客もいた。
時間になり、機内へ。行きの際に途中まで観ていた「すずめの戸締まり」をつけて、離陸直後から見始める。
機内サービスもおいしかった。
税関申告カードを書いた。
そうこうしていると、あっという間に帰国した。
ちゃんと映画も全部見終わった。
最後に、SIMを差し替えたらエラーでつながらなかった。家に帰ってエラーメッセージを検索すると、必要なファイルがないことがわかりダウンロードした。これで再度つながった。冷汗をかいたが、これで万事問題なく、旅を終えることができたのだと実感した。