11. 声 ききとりから        主婦 四十二歳

 「この人、アイヌだ、ヘビ食ってる」

 こんなことも、いわれたりしていたんです。

 もう自分はアイヌだから、だめな人間なんだ、とすっかりおじけてしまったんです。

 アイヌには、生活の楽な人いないです。貧乏なうえにアイヌなんです。そこで、金、金金で、金をためることだけ考えて、がんばってみたんですが、学校へ行っていないから無学でしょう。どうしようもないのです。みんながいじめるから、それが恐ろしくて学校へ行けなかったんです。

 今もときどき思うのですが、このことは、政治をうらんでよいのか、って。とにかく、苦しい毎日でした。


*** 1 今日まで生きてきて

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