口内炎の功名
歯列矯正の話です。
今年の五月に、とても嬉しい出来事があった。
それは、一年九ヶ月続いた歯列矯正のブラケットを外したこと。
経験者は分かるかと思うが、着けた次の日から、何を食べてもズキンズキンと痛く、
特にキュウリなどは鋼鉄でできているのかと思うほど痛いので、サラダを食べるのも拷問だった。
つらかった…
しかし歯が動くこの痛みはワイヤーを調整してから一週間ほどで治まる。
全期間を通して辛かったのは、食べ物がワイヤーの間にみっちりとつまること。
葉物
肉類
ゴマ、ナッツ
麺類
パン
詰まりやすく取れにくいのはこの辺りかな。
そう、ほとんどの食べ物は詰まるので、
食事のたびに口内の大掃除をしないといけない。
その後の歯磨きだって大変。
若いお嬢さんなどは、見た目もさぞ気になることでしょう。
私は白いブラケットだったけど、それでも結構目立つ。
極めつけは、何度もできた口内炎。
ただでさえ痛いのに、刺々したブラケットやワイヤーで何度もこすられ、これはいったい何の拷問かと、矯正を始めた自分を呪った。
ただ、それもこれも、終わってみれば懐かしく、
「前からここに生えてましたよ」と言わんばかりに違和感なくピッチリ並んだ歯は、見るたびに満足感を与えてくれる。
そして、矯正には思わぬ副産物があった。
学生時代の持久走が好きだった人はいるだろうか?
好きという人より、苦しかった、サボりたかったという人が多いのでは?
でも、大人になると、その嫌さをアテに盛り上がれる。
それと同じことが矯正経験者にもあって、
苦労を共有した絆のようなものができるのだ。
詰まりやすい食べ物などの矯正あるあるで盛り上がったりできるのも、辛い思いをしたお陰だ。
接客業では、こういった絆はとても大切。お互いの距離がぐっと近くなるからだ。
一兎を追う予定で二兎を得たのだから、苦労もあながち悪くない。
ただ、マスクを外せない昨今、せっかくきれいになった歯並びを誰にも見せられないのが残念だ。
最後まで読んでくださいましてありがとうございました!
またー
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