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絵本の読み聞かせ い・ろ・は

 私の宝物の絵本は、「つるの恩返し」。これは私が子どもの頃に、祖母がよく読んでくれた絵本です。今でもこの絵本をめくると、祖母の顔はもちろん、着物や部屋のようす、ぬくもりまでもが鮮やかによみがえります。結婚して娘が生まれたときに、祖母が表紙の取れたその絵本を送ってくれました。私も娘に読んで聞かせ…、次は孫への出番を待っています。

大人の表情も子どもは見ている

 よく「絵本はいつから読んであげたらいいの?」と質問を受けますが、生後2、3カ月頃からでも読んであげていると反応します。ママの優しい声とページをめくる姿が、絵本のファーストステップになります。最近は、絵本に親しむパパもふえているようですね。
 
 言葉を話せない赤ちゃんでも、絵本のどこに興味をもっているのか、反応をよく見ながら心をこめて読みましょう。そして、子どもは絵だけでなく、読んでいる人の顔も見ているものです。大人が感情をこめて読んでいる表情を見て、子どもの表情もしぜんに豊かになっていきます。

気に留めたいいくつかのこと

 絵本を読む上で大切なのは、“心”ですが、次の点にも気を配ってみると、より一層子どもたちとイメージを広げることができます。

  • メリハリ
     重要な箇所や伝えたい事柄を意識して、強調したい言葉は少し高い声でゆっくり読みましょう。


  •  どんどん読み進めるのではなく、聞いている子どもが意味を理解して消化する時間を取りましょう。

  • 息づかい
     登場人物の話し方を想像するのは楽しいことです。「やさしい」「うれしい」「かなしい」「びっくり」など、登場人物が各場面で、どんな息づかいをするのか、ちょっと意識して読んでみます。

  • 最初の音をしっかりと
     絵本を読むときだけでなく、普段の会話でも最初の音をしっかり発音すると、聞いている子どもにしっかりと向き合えます。毎日の「おはよう」「ありがとう」「いただきます」で練習を。

  • オノマトペ
     特に赤ちゃんとは、言葉の音、擬音を一緒に楽しみましょう。「さらさら」「ふわふわ」といった情景が浮かぶ音や「とんとん」「ぽっぽー」「がたんがたん」などのリズミカルな音や言葉の楽しさを声に出すと、親も子も気持ちが高揚してきます。
     また、3 歳頃までは、絵を一緒に指さしたり、身振り手振りしながら読むのもよいです。

 絵本を選ぶときに「ためになる絵本は?」「頭がよくなるのは」などと考えがちですが、乳幼児への読み聞かせは、子どもと一緒に「ことば」と「絵」を楽しむ時間だと考えてはいかがでしょう。子どもにとって大切なことは、大好きな人の膝の上で、大好きな人のぬくもりを感じながら、大好きな人の声を聞いて、大好きな人と一緒の時間と世界を共有できることです。
 
 絵本を通して、人とつながる力や感情を表現する力を親子で豊かにしていけるといいですね。

飯島晶子( VoiceK代表・NPO日本朗読文化協会理事)
出典: 乳幼児だより 第703号 2021年2月

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