「目のつけどころ」のいい人に 【山﨑美津江さんの “家の整理は心の整理”】
「目」は脳とつながっているので、考えていることは言葉よりも「目」に表れることがあります。子どもに「ダメ」と言うとき、
目を見開いたり、目配せして「怒っているよ」と伝えることがありますね。
以前、孫が1歳ぐらいのとき、台所のすみに座り込んで、ひき出しから小麦粉をまいて遊んでいました。私が背後から見ていると気づいたとたん、目をそらしたのです。こんな小さい人でも、目で心の動揺を表すのだと感心しました。
ふだん私たちは、たくさんの情報を目から脳に送りこんでいますが、価値があるものを見ても受けとる人の心が動かなければ、豚に真珠で意味のないもの。「見極める力」は、日々の行いにしっかり向き合うことで、ついていくのではないでしょうか。
失敗を肥やしに
以前、どこかで聞いたこの話をよく夫とするのですが、あるお母さんが買いものから帰ると、子どもたちが激しい兄弟げんかをしているので思わず買ってきたねぎで叩いたそうです。その後、「なんで叩かれたかわかる?」と聞くと、子どもは「ねぎ!」と答えたというのです。思わずねぎで叩いてしまったお母さんと、言葉をそのまま受けとった子どもたちに笑ってしまいますが、お母さんが言おうとしていることは、まったくこの兄弟には届いていませんでした。お母さんは方法を、子どもたちは「目のつけどころ」をまちがえたのです。
私たちは大小さまざまな失敗をし、反省をしながら前に進んでいます。失敗を次の肥やしにするには、行動を省みて、自分はどの部分を変えるべきなのかを見極めることです。それが「目のつけどころ」。これは、生活の工夫や楽しみ方、アイディアの出し方にも通じるところがあります。ときどき、自分の「目のつけどころ」はどうかな? とふり返ってみましょう。
脳を鍛えて「目」を育てる
〈何ごとも「やってみる」〉
〈アイストップを意識する〉
〈「目」は大切〉
〈使いやすさの追求〉
〈記憶をよびもどす工夫〉
〈読書で脳トレ〉
出典:『かぞくのじかん』(休刊中)2022 冬 Vol.58