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満足して遊ぶ・生活する 【シリーズ・共に育つ】

全部 いっぱい

 皆さんは、最近“ 満足した!” と思ったことはありますか。私は、何かあったかしら…と考えてしまいました。お子さんはどうでしょう。
 『乳幼児だより』(婦人之友社乳幼児グループ発行の冊子。ページ下部で紹介)の「成長のあしあと」欄で、“ 全部”“ いっぱい” という言葉に出合うことがあります。

  • どんぐりを拾いに行くと、集中してバケツいっぱい拾う。(2歳5カ月)

  • たたみ終えた洗濯物や、キッチンにしまってあるタオルを全部出すのがブームです。(1 歳5カ月)

 辞書で「満足」という言葉を調べると、「望みが満ち足りて不平のないこと」とあります。些細なことですが、子どもは何かをいっぱいにしたり空っぽにしたりして満足し、まさに心が満たされて次の遊びに移ります。

短くても濃い時間を

 子どもは、長く遊んだから満足するのではありません。どのようなことがおもしろいのか、大人の方が子どもの思いを感じ取りながら過ごすと、短い時間でも満足します。
 同じ遊びを何度も求められると、“また! ?” と思いますが、応答を変えてみたらどう反応するかなどと楽しむくらいの気持ちで一緒に遊んでみましょう。お買い物ごっこなら、「早く帰ってきてね」「何を買ってきたの?」「大好きないちご買ってきた?」とやりとりして、子どものようすをおもし
ろがって過ごしましょう。

子どもにとっては毎回が新しい

  • 効果音が大好き。食事に気が乗らない時、ひと口食べるごとに「パクパク!」と母が言うと喜んで食べる。(1歳4カ月)

 子どもは、自分が食べると「パクパク」と大人が言うことを発見すると、次の反応を期待します。「モグモグ」に変えると、変化に気づき次の反応を楽しみに食べます。自分がしたことで大人はどう反応するか、毎回新しい発見。大人には同じに思えても、子どもには一回一回が違う体験です。
 このようにして、子どもは自分の周りの世界を知り、その関係性を見出しています。そしてこのような経験から、脳内のネットワークがどんどん作られ、思考回路が蓄積されていきます。

子ども時代に心満たされる経験を

 2人目の子は、生まれた時から何でも半分こ。ある時、わが家の次女は、「丸いケーキをひとりで食べたい」と言い張りました。用意するとうれしそうに食べ始めましたが、食べきれません。一度は試したかったけれど、そんなによいものでもない…と思ったのでしょう。けれども、思いは十分に満たされました。ほしかったのはケーキではなく思いが満たされることだったのかもしれません。

 人生は思い通りにならないことがたくさんあります。子ども時代に、思いが受けとめられる、求めに応じてもらえて満たされる、この満足感はこれから生きていく上で、重要な礎になります。
 不満より満足が少し多い生活を目指し、まずは満足するまで遊べるように、大人の時間を少し子どもにあげて、一緒のひと時を楽しみませんか。
そして、子どものおもしろい!や、すごい!を発見してみてください。

榎田二三子 (武蔵野大学名誉教授・保育学)
出典: 乳幼児だより 第693号 2019年2月

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