
夢幻星#7
星野 麦から送られてきた動画を真珠は布団の中で眺めていた。
自分が憧れていた動画に自分が出ているなんて夢みたいだ。
また一緒に動画撮りたいなぁなんて思っていたら、LINEの通知音が鳴った。
【よければまた一緒に動画撮影しましょう】
わぁ!また一緒に動画撮りたいなぁなんて思っていたら、まさかまさかのあっちから言ってきてくれるパターンですか!
【ぜひぜひ!また一緒に動画撮りたいです】
その日はそう返信した。
あ、そういえば美咲に宮島での出来事のこと何も話してないなぁ
どうせ明日学校に行けば美咲に会えるけれど、この興奮を早く美咲に伝えたい真珠は、宮島での出来事を美咲にLINEした。
MuGi改め麦くんは、作る動画も素敵で大好きだったけど実際に見る麦くんも、動画のイメージ通りのすごく優しい人だったな。
その日は麦くんが作った動画を見ていたらいつの間にか眠りにつき、気がつけば学校に行く時間になっていた。
いつもより30分起きるのが遅くなってしまった真珠は、急いで準備をして学校へと向かった。
学校へ向かっている途中美咲と一緒になった。美咲が何か企んでそうな笑顔でこちらへと走ってくる。
昨夜美咲とのLINEの途中で寝落ちしてしまったため、絶対にそのことについて聞いてくることはわかっていた。
「昨日LINE途中で返って来なくなったけれど、あのMuGiっていう人に偶然会っちゃうなんてすごい偶然だね!私も行けばよかった。で、どうだった初めて生で見たMuGiっていう人は!」
まぁ美咲の何か企んでそうな笑顔を見た瞬間に、そのことについて聞いてくるのはわかっていたが、実際に聞かれると何と応えていいのか分からない。
すごく素敵な人だったと答えるべきなのだろうか?
いやそれじゃあ美咲が冷やかしてくるに決まっている。じゃあ別に普通の人だったと答えるべきなのだろうか?
いや、それはそれでなんか嫌だ。
「動画のイメージ通りすごく誠実でいい人だったよ」
いろいろ悩んだけれど、美咲には素直にそう答えた。
「ふーん、、そうなんだ〜」
美咲は何やらさっきからずっとニヤニヤしている。これは何かを企んでいる顔だ。
「さっきからニヤニヤして何よ〜」
そう言いながら美咲の肩を叩いた。
「だって真珠がものすごく幸せそうな顔してるんだもん。こっちまでニヤニヤしちゃうよ」
何も言い返せなかった。確かに昔から思っていることが顔に出やすいと言われた事がある。
だったらきっと今の私の顔は幸せそうな顔をしているに違いない。
美咲に全部見透かされてる気がしてなんか悔しかった。
「もしかして次会う約束なんかもうしちゃったりしてるの?」
相変わらず美咲はずっとニヤニヤしている。
「うーん、また一緒に動画撮る約束はしたよ!」
「えー!ちゃっかり次会う約束してるじゃーん!デートだね!!」
美咲のその言葉に少し考え込んでしまった。
「デート。。」
真珠は、次一緒に動画を撮ることをデートだと考えた事がなかった。
「真珠はすぐに顔に出るからね〜!さっきの顔見て確信したよ。絶対今恋してるでしょっ!」
「えっ」
突然の美咲の発言にびっくりし、否定も肯定もできなかった。
「私はそのMuGiっていう人と会ったこと無いから詳しくはわからないけど、こんな運命的な出会いなんてないんじゃない?」
美咲はそう言って真珠の背中を叩き、足早に教室の中に入っていった。
教室に入り授業が始まってからも真珠は授業に集中なんてできなかった。
一緒に動画を撮ることってデートなのかな?
側から見たらデートに見えるかもしれないけれど、デートしよって言われたわけでもないしなぁ、、
ただ単に麦くんは動画が撮りたいだけなんだろうなぁ。
私だけデートだと思って思い上がるのもなんか恥ずかしいし、ここはデートだなんて期待しないでおこう!