夢幻星#18
麦くんと付き合うことが決まってから今日は初めて美咲と会う日だ。
一応LINEで付き合うことになったことは報告してるけど、会うのは初めてだ。言ってしまえばなんだかんだ言って、この恋のキューピットは美咲だったような気がする。
待ち合わせしているカフェの前まで来たら、結構な人が並んでいた。さすが人気店。若い女性客で賑わっている。
私はこういったお店にあまり来ないから緊張するな〜
お店に近づいていくと見覚えのある顔がキョロキョロしていた。美咲だ。
やばっ!また遅刻しちゃった。
駆け足でお店に近づくと、美咲がこちらに気がついて手を振ってきた。
「真珠こっちこっち。また遅刻〜遅いよ〜」
「ごめん美咲また遅刻しちゃった」
急いで美咲のもとへと駆け寄った時には少し汗ばんでいた。早速お目当てのカフェに入るとひんやりとした空気が気持ちいい。こういったお店は1人で来ることないからなんか新鮮だなぁ。それに比べて美咲はこういったお店によく来るのかとてもイキイキしている。あ、でもイキイキしている理由は他にあるのかも。
「真珠あの席空いてるから座ろっ」
「うん」
混んでいる店内で唯一空いている席に腰掛けると、早速カフェらしくお互い飲み物を頼んだ。
「いや〜それにしても真珠は付き合うの早かったよね」
「うん。自分でもびっくりしたよ」
「麦くんってどんな人なの〜今度会わせてよ」
「え〜いいよ〜」
やばい。顔が少しにやけちゃってたかもしれない。こういういわゆる女子トークみたいなことを生涯でやってこなかったからどんな顔して話せばいいのかわかんないや。
「真珠〜顔にやけてるよ〜。かわいいなぁ」
「うるさいよ」
口ではそう言ってるけど、内面は嬉しくて仕方がないからにやけちゃうんだろうなぁ。
「で、麦くんにはいつ会わせてくれるの?」
そんな私の心情を知ってか知らずか美咲は相変わらずぐいぐいくる。今思えば私たちが仲良くなったのは美咲がぐいぐい来てくれたおかげなのかも。
「うーん、そんな焦んなくてもちゃんと紹介するって。」
「オッケー!分かったら連絡ちゃんとしてよ」
こんな性格が真逆な私と美咲だけど、真逆だからこそなのか美咲の性格が羨ましいと思う時がある。このぐいぐいくる感じ?相手の懐に一気に入り込むこの感じは私には絶対できない。これだから美咲は私とは違って交友関係が広いんだろうなぁ。
そんなことを考えていると、いつの間にか美咲と私がお互い頼んだ飲み物は空になっていた。
「店内混んでるし、そろそろ出よっか」
私がそういうと、うーん、、とまだ話したい様子を見せながら美咲が立ち上がりレジへと歩き出した。
レジへと歩く途中隣にいた女性客の会話が耳に入ってきた。
「最近また行方不明者が出たんだって。最近多いよねそういうニュース」
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