思いついたままに書き綴る千文字小説
1000文字小説01/28(木)
『あたらない天気予報』
本日の天気は晴れ、午後から少しだけ曇るでしょう。
俺の横を歩きながら、そうつぶやくのは幼馴染の美雨
肩まで伸びた茶色がかった髪を左右に遊ばせながら天気予報を放送する
俺にしか聞こえない、俺のためだけの放送だ。
嬉しいとかそういうわけではないけど……
しかし美雨の天気予報は全く当てにならない……
当たることより外れることのほうが多い。いや……
当てる気がないのだと俺は思う。
先日の話をすれば理解してもらえるだろう。
朝からひどい雨で傘をさしながら歩いているというのに
「本日の天気は快晴です。曇りのない清々しい晴れでしょう」
なんて言い出すのだから……
誰に説明しているのかと心の中で自分にツッコミを入れて美雨を見る
俺の視線に気づいた美雨が首を少し傾げてから「なぁに? 私の天気予報はまた外れるとか思ってるんでしょ?」少しムッとした表情で顔を近づけてくる。
頬を膨らませて「むーーー!」と言っている
「良いんだよ! 当たらなくて、ううん! 当たるんだよ。今日も」
言い終わると同時にそっぽを向いてしまった……
なんとかしないとと思っているうちに俺たちは学校についた。
『本日の天気は晴れ、午後から少しだけ曇るでしょう』
どうせ当たらない。
結局曇ることはなく快晴のまま昼食の時間になった。
やっぱあいつの天気予報は当てにならないな
誰にもばれないようにハハッと笑った瞬間
頭に衝撃が走る。
クラスメイトが投げたボールが俺の頭を直撃したのだ。
「わりー」と聞こえてくる声に「たくっ! ってぇなぁ! 気をつけろよ!」と不機嫌になりながらボールを投げ返してやった。
それからも曇ることはなく一日通して快晴だった。
放課後、美雨に「今日もお前の天気予報は外れたな」って言うと、また「むーー」とふてくされながら「当たったもん!」なんて言い返してくる。
まぁ、これ以上言うとまたムッとさせるだけだからそっとしておこう。
それから数日間、美雨の天気予報は尽くはずれ。
今日の天気は曇りのち大雨、雷にご注意ください。
これで何日目だ……流石に毎日毎日うんざりしてきた
美雨の意味のわからない天気予報にイライラしながら授業を終えた。
放課後、今日も当たらない天気予報にうんざりして「なぁ! この間から何なんだよ! 全く当たらない天気予報ばっかりさ! もううんざりなんだよ。やめてくれよ!」と美雨に怒鳴ってしまった……
気づいた頃にはもう遅い
美雨は小さくなり俺に怯えてしまっていた
そっと美雨が口を開く
「ほら……曇のち雨……雷にご注意ください……」
そう言うと走って帰ってしまった。