備忘録11-③「夜勤の看護師さんに協力を」
私がお世話になった脳脊髄腫瘍科は小児病棟も併設されていたからでしょう。他の病棟に比べ先生も看護師さんも多く、日中は20~30人くらい。大所帯の病棟でした。
でも夜になり消灯時間が過ぎると、夜勤の看護師さんたちはわずかな人数で病棟の全患者を一手に引き受けていました。自力で歩けない、トイレの介助を必要とする高齢者も多かったので、ナースコールが複数の部屋で同時に鳴ると、看護師さんはあっという間にキャパオーバーしてしまいます。患者の私がみても過酷なお仕事なのは一目瞭然でした。
ですから私は、自身の点滴が終わり自由に行動できるようになると、看護師さんの負担にならないよう、出来るだけ協力しようと決めていました。
相部屋のお婆ちゃんは寝る前に睡眠導入剤や痛み止めを使っていたらしく、熟睡してしまうと点滴のエラー音が鳴っても気付きません。鳴り続けると、折角寝ている相部屋仲間が起きてしまうのが気の毒です。私は「よしきた!」っと代わりにナースコールを押していました。お婆ちゃんのナースコール係を自主的にやっていたのです。
すると暫くして看護師さんが来てくれ、エラー音に気付き止めてくれます。次に私の部屋にも来てくれます。私はぺこりとお辞儀をします。そうすると看護師さんは、豆球の暗がりの中でも私ではなくお婆ちゃんのためにナースコールを押したのだと察してくれるんです。
日夜問わず、相部屋仲間の誰かがトイレやベッドで動けなくなったり、助けを呼ぶ声が聞こえると、私がナースコールを押し、場合によっては病室の外に飛び出し、看護師さんのいるナースステーションに助けを呼びに行きました。
私は自分で言うのも恥ずかしいのですが、相当おせっかいな患者だったと思います。それは娘の幼稚園や、小学校のPTAの役員活動で助け合いの精神が育まれたおかげだったのかもしれません。困っていたらつい声をかけ、何かお手伝いできることはないかと声掛けせずにはおれなかったのです。
そのせいか、相部屋仲間とも看護師さんとも関係は良好で、次第に仲良くなっていきました。先生の巡回タイムが近づいてくると、
「テテマリさん!もうすぐ先生が診察に来るから、何か教えてほしい事があったら聞いておくといいよ!」ってね。看護師さんたちが教えてくれる事が増えたんです。信頼されていると感じる、何とも嬉しい瞬間です。
看護師さんは身の回りのお世話から、ときには落ち込んでいる患者の心のケアまで、患者と先生の架け橋になってくれる大切な存在です。患者さんが倒れたり、様子が変だと思ったら、押せる人がナースコールを。もしくは大きな声で看護師さんを呼んで下さい。
患者同士、お互い助け合えれば看護師さんの負担も減るし、何より自分自身の命を救う事にもなると思うのです。どうかご協力をお願いします。
(続く)
夫の監修後の採点)「私が」という言葉が連発したのと、句読点を若干修正したそうです。90点以上頂きましたー!