リアルストーリーを見せていく。
超久しぶりのnote投稿です。
コロナ禍やらなんやらを経て自社のコーポレイトメディアKnowledge&Insightを立ち上げたりしていた都合でそちらへの投稿がメインになっておりました。
改めてですが、さらに外伝的なかたちで時折note投稿も進めていきたいと思っています。
新しいコレクションへの取り組み
『コロナに負けちゃなんねー(NHKの渋沢栄一風)』ということでこの一年まあ色々な取り組みに着手したわけですが、そのひとつとして自社でやっているオーダーメイドの結婚指輪工房ith(イズ)で、この度新しいコレクションを発表しました。
今回の新コレクションではこれまで鋳造という有機的な造形に適した製造方法を採用していたのですが、新たに鍛造(たんぞう)という製造技術を使うことにしました。
鍛造のリングの開発にあたっては、東京の三軒茶屋で50年以上の歴史を持つ工房を営むフジモリさんの協力を得ていますが、製法のあれこれや特徴があれこれ、という話は別のところで見ていただくとして、ここでは今回の取り組みの経緯的なものを紹介したいと思います。
コストで買い叩かれる世界
ものづくりに世界には業種問わず元請けとか下請けとかそういった業界構造があるのですが、事業者が利益を確保するためには、できるだけ高く売って、できるだけ安く作るという極めてシンプルな方程式が存在することから、往々にして下請けする側はコストを下げろ、安くしたら買ってやるというようなかたちで、継続的な値下げ圧力にさらされる傾向があります。
ジュエリーの世界でもやはり同じ構造があり、鍛造コレクションのパートナーさんであるフジモリさんも、自社の直営ブランドも、他社ブランドを下請け製造する両方をやっておられる工房ですが、下請けとしての仕事のなかにはあまりに強い値下げ圧力がかかるケースもあり経営者としてその対応に苦慮されているという話がありました。
技術や努力に適切な価値を
私たちも多くの製造パートナーさんとお付き合いするなかで発注のコストにシビアにならざるを得ない局面が多々あるのですが、適切な技術や努力に適切な値付け(=価値づけ)がなされるべきということを原理原則として守りながら事業を行いたいと思っています。
そんな思いで互いに協議を重ねて、それぞれのストロングポイントを最大限活かせるところでやりましょう!ということで生まれたのが今回の新コレクションです。
顧客視点で技術の価値を伝える努力
会社のブログでも書いたのですが、日本のものづくりが欧米のブランドから学ぶべきは、自分たちがやっていることをいかに価値として変換し、世の中に認めさせるかという作業だと考えています。
昨今の世の中においては、顧客視点で技術の価値を伝え、認めてもらうためにはできるだけ、裏表なくダイレクトに生産者と顧客が結びつくという状態が望まれています。
いわゆるD2Cの動きがこの潮流に乗ったひとつの現れでしょう。
リアルストーリーを見せていく
今回あえてフジモリさんとithのコラボレーションとしてコレクションを発表したのも、私たちなりにそのあたりを意識したうえでのことです。
ジュエリー業界的にもいわゆる下請け、OEM製造という場合、通例は製造業社を公表したり、その名前を全面に出すことは滅多にありませんし、当然互いの名前を出して事業を行うことにはメリット/デメリットが伴います。
ですができるだけ裏表なくリアルを見せていく、そのうえで価値を認識してもらう、ということのほうが、裏側を隠して価値を増幅させるよりも根本的な時代のニーズに適っているのではないかなと思うのです。
もちろん現実としてケースバイケースなのですが、できるだけ見せてもいい状態に自分たちの事業を組み立てていく、磨いていく。
このアプローチがブランドとしてのものづくりの強くするように思っています。
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