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数多のライティング講座では(たぶん)語られない「台割の作り方」と「制作スケジュール」【#徹壱塾2024年9月レポート】

 写真家・ノンフィクションライターの宇都宮徹壱です。このたび「3年後に書籍を出すための11のメソッド」を提供する「宇都宮徹壱ブックライター塾(#徹壱塾)」を開講。前回のセッションは8月11日、このような内容で開催しました。

 当塾では、毎月6回のセッションごとに、2つのメソッドを1時間ずつ講義。これに30分の課題講評を加えて、2時間30分行われます。また、毎回のセッションにマッチしたゲストを招聘。その後の打ち上げにも参加していただき、塾生との交流の場も設けています。

 1期生との講義の模様については、こちらのnoteにて(ネタバレしない程度に)レビュー記事をアーカイブしていきます。次回の募集を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

 今回の募集に間に合わなかった方、あるいは踏ん切りがつかなかった方、ご安心ください。今年の12月には、2期生の募集を開始予定です。

■まずは「台割って何?」という話から

 9月のセッションは、事前に出しておいた課題「企画書を作ってみよう」について講評を行ってから、以下のメソッドについて講義しました。

メソッド⑤:入稿まで手放せない台割の作り方
メソッド⑥:失敗しないための制作スケジュール

 今回のゲストは、海外マラソンコレクターの鈴木ゆうりさん。鈴木さんは昨年12月にデビュー作となる『わたし、世界を走ってます』を上梓したばかり。今月のセッションの内容にぴったりと思って、お声がけしたところ「面白そうですね!」と、ふたつ返事で参加表明していただきました。

 台割というのは、書籍を作る上での「設計図」。たいていの場合、書き手ではなく、版元側が用意することが多いようです。けれども私は、ある理由から一貫して、自分で台割を作るようにしてきました。面倒と思ったことはなく、むしろ本の仕上がりを想像しながらワクワクして作ったものです。

 世の中には数多(あまた)のライティング講座があるわけですが、台割や制作スケジュールのメソッドを伝授しているのは、極めて稀だと思います。このユニークさは、当塾の強みとしていきたいところ。果たして、塾生はどう受け止めたのでしょうか。今回も、セッション後の感想を掲載します。

■気になる塾生の感想は?

 塾長の過去の作品を手本にしながら、実際にどのように台割やスケジュールが進んでいったのかを学べたことで、具体的なイメージが頭の中に鮮明に刻まれていきます。
 こうして実際の書籍づくりのプロセスを目の前で学べる機会があることは、本当に貴重で、身が引き締まる思いです。
 もちろん、書籍を作るプロセスを知っているだけでは、まだまだ完璧にはできません。しかし、いつかその日が来たとき、今回学んだことを思い出しながら、一歩ずつ着実に前に進めるという安心感があります。(眞木優さん)

 眞木さん、ありがとうございます。当塾は小手先のテクニックよりも、将来的に書籍を作りたい野心を持つ人に、イメージしやすいカリキュラムを心掛けています。今回のセッションが役立つであろう「いつかその日が来たとき」が、1日も早く訪れることを願っております。

「制作スケジュール」については、テーマやスタイルによって、さまざまなバリエーションがあることを学びました。塾長の経験に基づく実感のこもった説明で、各スケジュールの一長一短がよく理解できました。
 特に印象的だったのは、塾長の「本ができあがってみると、自分だけではない“力”に突き動かされていたことに気づいた」という言葉です。
 取材中に起きる想定外のアクシデントは、一見、偶発的に起こったように見えます。けれども、後に必然だったのでは、と感じられることもあるのだそうです。こうした境地を味わい、書き手として使命感のようなものが芽生えてくるのも、ノンフィクションライティングならではの醍醐味なのだろうと思います。(松本佳世子さん)

 松本さん、ありがとうございます。「自分だけではない“力”に突き動かされていた」という感覚。これは言語化が非常に難しい体験なんですよね。いつか、ご自身が書籍を形にした暁には、きっと「これがそうなんだ!」と思えるはず。その日が来るまで、受講後も応援させていただきます!

■ハーフタイムを迎えた徹壱塾

 セッションは21時に終了。今回も撤収作業後、会場のすぐそばにある台湾料理のお店で打ち上げを開催しました。ここのお店は値段のわりには美味しく、つい写真を撮り忘れることが多かったのですが、今回ようやくアップすることができました。

 今回の打ち上げは、私と塾生2人、そして鈴木さんの4人という小ぢんまりとした構成。しかしその分、密度の濃いディスカッションができたと思います。とりわけ、鈴木さんの海外マラソン体験談は面白かった! 今後のnoteの更新も楽しみです。

 最後に、塾長の雑感など。

 2024年7月から12月までの第1期ですが、ちょうど半分のセッションを終えたことになります。サッカーでいえば、1点決めたけれど1失点して、1−1の状態で45分を戦ってハーフタイムを終えたところでしょうか。

 サッカーがそうであるように、当塾でもハーフタイムを終えたこのタイミングは、極めて重要であると考えます。1失点の原因は何だっのかを精査しつつ、1得点を得られた自信を後半にも繋げられるようにしたい。その意味で次回は、より塾長の強みを発揮できそうです。

 次回のセッションは10月11日。メソッド⑦の「インタビューの技術(取材依頼と準備)」、そしてメソッド⑧の「インタビューの技術(質問力と写真撮影)」について学んでいただきます。セッションの模様については、後日こちらでレビュー記事を掲載予定。どうか、楽しみにお待ちください。

<次回につづく>

 

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