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【メイレビュー】6/12(Mon)「ドイツの10部クラブから日本サッカー界が得られる〝学び〟とは?」中野吉之伴(サッカー指導者&ジャーナリスト)〜#ハフコミ 隔週報 vol.55

 みなさん、こんにちは! 毎月ハフコミウェビナーのレビューを担当しているライターの五十嵐メイです。

 毎月1回、zoomを使用して開催されているハフコミが主催するウェビナー。今月の特別講師は、ドイツ在住の指導者でジャーナリストの中野吉之伴さんです。ドイツ発のレポートやコラムで「この記事、読み応えがある!」と思ったら、ほぼ間違いなく中野さんの手によるものだったりします。

 今月のテーマは「ドイツの10部クラブから日本サッカー界が得られる〝学び〟とは?」です。中野さんから、どんなお話が聞けたのでしょうか? それでは今月の「メイレビュー」スタートです!

■数字で見るドイツと日本のスポーツ環境の違い

 中野さんのお話は、実際の数字を用いて日本とドイツのスポーツ環境を比較していたので、具体的でわかりやすいのが特徴です。たとえば、こんな感じ。

 日本の総合型スポーツクラブの総数が、およそ3500。これに対して、ドイツは8万8000。国土も人口も日本の4分の3ほどのドイツですが、この数だけでもスポーツに対する熱量の差が、はっきりと現れていますね。そして驚きなのが、ほぼすべてのクラブが、自前のグラウンドやクラブハウスを持っているということ。

 どうしてそんなに環境が整っているのかというと、当時の西ドイツが国民の健康増進のため、1959年からスポーツのハード面の整備にかかる費用を国や地方自治体が負担をする国家プロジェクトを推進していたからだそうです。それもトップアスリートの育成・強化とは別に、一般国民へのスポーツ普及を推進するためのプロジェクトも同時に進めていたそうです。

 さらに驚いたのは競技者の人数。JFAの登録選手数は約78万人で、そのうち成人登録者数は15万人。対するドイツは約720万人で、成人登録者数は480万人だそうです。

 登録しているからといって、必ずしも毎週末にプレーをしている人数ではないそうですが、それにしてもすごい人数ですね! しかも「趣味でサッカーをしている人」を除いた数だそうですよ。

■どんな小さな街にも必ずスポーツクラブがある!

 ヨーロッパでは下部カテゴリーでも盛り上がっている話は、わりとよく耳にします。それでも登録者数を比較すると、よりインパクトが感じられますよね。

 ハード面や競技者数の視点から見ると、ドイツの人たちにとってサッカーはブンデスリーガだけではなく、本当に身近な存在であることがわかります。さらに驚かされるのが、どんな街にも必ず存在する「スポーツクラブのあり方」。

 引退したメンバーがボランティアでクラブハウスの修復を手伝ったり、芝生を敷く下準備を自前で行うことで予算を削減したり。それぞれのクラブが、地域住民のコミュニティや生きがいとなっていることが、中野さんのお話から十分に伝わってきました。

 ドイツの育成現場に長く携わってきた、中野さんだからこそ語れる現地の「スポーツクラブのあり方」。理念的な話だけでなく、クラブの収支に関する具体的な金額など、日本ではなかなか入手できない情報が詰まった120分でした。

■さまざまな国の事情を知ることができるハフコミ

 今回はドイツの事例でしたが、過去にはフランスで育成に関わる樋渡群さん、ご自身がイングランドの下部組織でプレー経験のある幸野健一さんが特別講師として登場しています。

 それぞれの回のテーマは違いますが、各回には国の特色が出ていると感じました。日本にいながら、さまざまな国の話を聞くことができるのは、ハフコミの強みと言えるでしょう。

 ハーフウェイカテゴリーに所属する、すべてのクラブがJリーグを目指すというのは、なかなかに難しい話です。今回の中野さんのお話は、そうしたクラブがどこを目指して行けばいいのか、というヒントがたくさん含まれていました。ハーフウェイクラブに関わる、より多くの皆さんに今回のお話を聞いていただきたいです!

 ハフコミでは、すべてのウェビナーのアーカイブを残しています。これから会員になっていただいた方も、過去のアーカイブをご覧になることが可能です。レビューを読んで、興味を持っていただいた方は、ぜひハフコミの仲間に入ることをご検討ください! 

 なお、これまでのハフコミウェビナーについては、こちらからご確認いただけます。

■次回は7月10日! 気になる特別講師は?

 消費者の趣味が多様化したことで、昨今、サッカー人気の低迷が嘆かれています。でも、それは日本に限ったことではなく、サッカーに携わる人やスポーツクラブの数が多いドイツでも、人々の興味が分散されているとか。

 ですので、現状のままでクラブが存続できるという保証はなく、より自分たちがアクティブになっていかなければいけないという危機感は、中野さんご自身も抱いているそうです。

 そういった世の中の流れに、抗う重要な要素となるのが「地域密着」ではないでしょうか。これまでも感じてきたことですが、今回の中野さんのお話を聞いてあらためて、その思いを強くした次第です。

 次回のハフコミウェビナーは、7月10日(月)20時に開催。最近、素晴らしいスタジアムを建設した、某Jクラブの関係者を特別講師をお招きする予定です。notetwitterであらためて告知させていただきますので、ぜひハフコミのアカウントをフォローしてくださいね。

 それでは来月の「メイレビュー」も、お楽しみに!

<この稿、了>


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宇都宮徹壱
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