「杜の都」からあえて寄り道してみる〜フットボールの白地図 by OWL Magazine【第16回】宮城県
<宮城県>
・総面積 約7282平方km
・総人口 約229万人
・都道府県庁所在地 仙台市
・隣接する都道府県 岩手県、秋田県、山形県、福島県
・主なサッカークラブ ベガルタ仙台、ソニー仙台FC、コバルトーレ女川、マイナビ仙台レディース
・主な出身サッカー選手 加藤久、鈴木淳、加藤望、大槻毅、千葉直樹、今野泰幸、萬代宏樹、小畑裕馬
「47都道府県のフットボールのある風景」の写真集(タイトル未定)のエスキース版として始まった当プロジェクト。前回は「中心がない」ことに独自性が感じられる滋賀県を取り上げた。今回フォーカスする宮城県は、その真逆。県庁所在地の仙台市は宮城の中心であり、さらに言えば東北を代表する都市として、強烈な磁場を発し続ける存在だ。
県と県庁所在地の名前が一致しない場合、多くのJクラブは後者をクラブ名に選択する。名古屋グランパス(愛知県)、ヴィッセル神戸(兵庫県)、ヴァンフォーレ甲府(山梨県)、ツエーゲン金沢(石川県)、そしてベガルタ仙台。もちろん、愛媛FC(県庁所在地は松山市)や栃木SC(同宇都宮市)といった例もあるにはある。が、少なくとも政令指定都市であれば、そちらの方でアピールするのが必定。逆に「愛知グランパス」とか「ベガルタ宮城」だと、ピンと来ないだろう。
われわれサッカーを取材する人間にとっても、宮城県で訪れる機会があるのは仙台、あるいは代表戦が行われる利府くらいだろう(私自身がそうだった)。しかし、翌11年に発生した東日本大震災によって、多くのサッカーファンは仙台以外の土地にも目を向け、足を運ぶ契機となったように感じる。石巻、女川、閖上、そして牡鹿──。おりしも今年は、震災から10年。「杜の都」だけではない、宮城県のフットボールのある風景をご紹介することにしたい。
とはいえ、旅の基点となるのは、やはり仙台市。そしてベガルタのホームスタジアムである、ユアテックスタジアム仙台となろう。仙台駅から地下鉄南北線で9駅目の泉中央駅で下車。そこから徒歩5分で目的地に到着する。ただアクセスが良いだけでない。周辺を流れる七北田川と豊かな緑地、2万人弱のスタンドと四方を囲む屋根、そして何といってもピッチの近さ。誰もが羨むスタジアムが、杜の都にはある。
ベガルタほど全国的には知られていないが、JFL所属のソニー仙台FCもまた、震災ではさまざまな苦難と支援のドラマがあった。多賀城市にある本社が甚大な津波被害を受け、まさに「サッカーどころではない」状況。それでも特例で後期リーグからの途中参加が認められ、アウェーの際には対戦相手のサポーターから歓迎と励ましの拍手を受けていた。その年はかろうじて残留を決定。以後の10シーズン、ソニー仙台はJFLを代表する企業チームであり続けている。
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