「松田直樹の死」の衝撃と専門誌連載の書籍化 宇都宮徹壱ブックライター塾(#徹壱塾)塾長ヒストリー<4/7>
写真家・ノンフィクションライターの宇都宮徹壱です。これまで27年の活動の間でノンフィクションを中心に、14冊の書籍を世に送り出してきました(参照)。
そこで培ってきたノウハウをメソッドとして体系化、2024年7月に「宇都宮徹壱ブックライター塾(#徹壱塾)」を開講しました。半年にわたる第1期を経て、2025年1月から始まる第2期の塾生募集を開始します。
当塾は「自ら取材して執筆する」ことで「書籍デビューを目指す」方に特化した講座となっております。第1期での実績を踏まえて、さらにブラッシュアップした内容で実施します。
2期生を募集の締め切りは12月15日。それまでの間、宇都宮徹壱の過去の作品を「塾長ヒストリー」として7回にわたってお届けしたいと思います(以前、掲載したもののバージョンアップ版となります)。
第4回は、JFL時代の松本山雅FCを追いかけた『松本山雅劇場』、そして週刊サッカーダイジェストの連載を一冊にまとめた『フットボール百景』です。
<3/7>はこちら。
2012年『松本山雅劇場 松田直樹がいたシーズン』(カンゼン)
現在J3で戦う、松本山雅FCの2011年シーズンを追いかけたノンフィクション。当時のカテゴリーはJFLでした。J3が創設される3年前なので、JFLの上はJ2。つまり、J2昇格を目指す松本山雅の激闘にフォーカスしています。版元は『フットボール批評』のカンゼンでした。
北信越リーグ時代から、地元サポーターが作り出す雰囲気の素晴らしさに定評があった松本山雅。そこに、横浜F・マリノスを契約満了となった元日本代表、松田直樹が加入することになります。発表された時は、クラブのサーバーがダウンするほどの話題となりました。
両者の邂逅から、どんな化学反応が起こるのか──。そうした素朴な好奇心から、2011年の松本山雅と松田直樹を追いかけていく、というのが当初の企画主旨。ところが8月4日、練習中に倒れた松田直樹がそのまま帰らぬ人となったことで、本書の企画は一時暗礁に乗り上げることとなります。
一方の松本山雅も、松田直樹を失った衝撃から勝てない試合が続き、J2昇格が極めて厳しい状況まで追い込まれます。同時進行での取材だったので、私自身「これからどうなるんだろう?」という不安を抱きながらアルウィンを訪れた日々を思い出します。
結果として想定を超える大団円を迎え、本書も3刷りを重ねることとなりました。この時の取材が縁となり、Jクラブとなってからも松本山雅を定期的にウォッチすることに。今週末のJ2昇格プレーオフ準決勝も、アルウィンでの取材を予定しています。
2013年『フットボール百景』(東邦出版)
これまでノンフィクションの作品がメインだった私ですが、本書は写真多めのエッセイ集。週刊サッカーダイジェストで連載していた「蹴球百景」というフォトエッセイの中から100編、描き下ろし1編を加えたものを1冊にまとめました。版元は東邦出版。
「蹴球百景」は隔週の連載で、1ページに横位置の写真、その下にテキストが入る構成となっていました。 当時の編集部から「何でも自由に書いてください!」と言われていたので、海外サッカーから地域リーグから女子からマスコットまで、縦横無尽に書かせていただきました。
書籍化にあたり、課題となったのが写真とテキストの配置。編集者の中林良輔さん、デザイナーの鈴木彩子さんと試行錯誤を重ねながら、写真とテキストを見開きで交互に並べる形に落ち着きました。352ページで1500円(+税)という価格設定に、版元の努力のあとが窺えます。
連載を持たせていただいた週刊サッカーダイジェストは、やがて隔週、さらには月間誌へと変わり、今はWeb版のほうに軸足を置いている印象。「蹴球百景」のような箸休め的な企画も、すっかり見られなくなって久しくなりました。あのタイミングで書籍化できたのは、本当に幸運でした。
14冊も出していると、書籍が生まれるためには、時代やタイミングなどの必然があったように感じます(それは『松本山雅劇場』に関しても然り)。運や偶然も大事だけど、必然も大事。「#徹壱塾」では、そのあたりのことについても、しっかりお伝えしたいと思います。
当塾は「自ら取材して執筆する」ことで「書籍デビューを目指す」方に特化した講座となっております。第1期は「対面での指導」にこだわってきましたが、第2期ではオンラインを併用してのハイブリッド型での講義を予定しております。
ブックライターになるメリットとは何か? 私の経験に基づいて断言できるのは、以下の4点です。
1️⃣ ライターとしてのステイタスが上がる。
2️⃣ 作品を通してファンを獲得できる。
3️⃣ 自分の仕事が読者の記憶に残る。
4️⃣ ライターとして息の長い活動ができる。
書籍を出せば、間違いなく書き手としてのステイタスは上がるし、ファンを獲得できるし、読者の記憶にも残るし、息の長い活動も可能になります。
そこに価値や魅力を見出だせるのであれば、ここはひとつ「3年後の書籍デビュー」という、やや高めの目標を掲げてみてはいかがでしょうか?
2期生を迎えての最初の講義は、2025年1月10日(金)18時30分。これまで4冊の書籍を執筆してきた、東京・西荻窪のコワーキングスペース「factoria」でお待ちしています。
塾長:宇都宮徹壱(写真家・ノンフィクションライター)
「#徹壱塾」に興味を持たれた方、あるいは入塾をご検討されている方、下記の記事にアクセスしてみてください。
主な内容は以下のとおりです。
■「どんな人に向けた講座ですか?」
■「どんな学びが得られるのですか?」
■「どんな特徴があるのですか?」
■「どんな効果が期待できるのですか?」
■「6カ月で学ぶ11のメソッドとは」
■ よくある質問にお答えします
■. 宇都宮徹壱ブックライター塾(#徹壱塾)第2期概要
<5/7>につづく。