東北6県スタジアムめぐりの旅〜宮城・山形・秋田篇
今回も、9月15日から19日まで東北6県を取材で回った、旅のエピソードを披露することにしたい。前回の福島・青森・岩手篇に続いて、今回は宮城・山形・秋田篇。本題に入る前に、なぜ今回は試合がないスタジアムにも、あちこち訪れているのかについて、説明しておく必要があるだろう。
実は11月半ばに発売される新著とは別に、来年「サッカーがある日本の風景」というテーマで写真集を出す計画がある。これまで撮りためた写真に加え、新たに撮影するスケジュールを立て、本来ならば年内に完成させる予定だった。しかしながら、このコロナ禍により、計画は大幅な軌道修正を迫られることとなった。
ただ単に、サッカーと移動が制限されただけではない。コロナ以前と以後とでは、世界中でサッカーをめぐる風景が大きく変貌してしまった。ならばいっそのこと、かつて訪れたスタジアムを再訪して「コロナ以前/以後」を表現するというのは、どうだろう──。
ところが私の思惑は、いささか当てが外れたものとなってしまった。というのも、試合がないスタジアムでは「コロナ以前/以後」の風景は、ほとんど変わらないことに気付かされたからだ。結果として写真集の企画は、再び軌道修正を求められることとなったのだが、東北の旅そのものがまったく無意味だったわけではない。さっそく、旅の思い出を振り返ってみることにしよう。
宇都宮徹壱ウェブマガジン
盛岡から仙台まで新幹線はやぶさで40分。そこから脇目も振らず、市営地下鉄南北線に乗り換え、16分で終点の泉中央駅で下車する。さっそくベガッ太さんがお出迎え。ここを訪れるのは、2年前の天皇杯準決勝以来である。
目的地に到着すると、ここでもベガッ太さんがお出迎え。何度も訪れているユアテックスタジアム仙台だが、いつもと何かが違う。よくよく考えてみれば、私は日中にここを訪れたのは、実はこの日が初めてであった。
私がユアスタに来るのは、Jリーグではなく天皇杯の取材ばかり。しかもキックオフぎりぎりに到着して、そのままメディアの受付に直行というパターンが常であった。この日は試合もないので、周辺をそぞろ歩きながら周囲を撮影。ユアスタがこんなに豊かな、緑い緑に囲まれていたとは知らなかった。
くしくもこの日、ベガルタ仙台の今年度の決算で3億5000万円の債務超過となる見通しであることが報じられていた。それだけに「共闘」の二文字が書かれた懸垂幕に、ことさら強いメッセージ性を感じずにはいられない。あれから1カ月。クラブとサポーターは、本当の意味で「共闘」できているのだろうか。
急ぎ足で仙台駅に戻り、そこからJR仙山線に乗車。17駅先の羽前千歳駅でJR奥羽本線に乗り換え、天童駅に到着する。改札を抜けると、次回のモンテディオ山形のホームゲーム案内が掲げられてある。この街にも、フットボールの日常が戻っていることを実感。
この日は天童に宿泊。夕食は、駅前のホテルから15分ほど歩いた、居酒屋宝にて。メインは刺し身だが、どの料理もボリューム感が半端ない。こちらは肉豆腐だが、使っている肉は牛ではなく豚。そういえば芋煮も、こちらは豚肉を使っていたことを思い出す。
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