見出し画像

東北6県スタジアムめぐりの旅〜福島・青森・岩手篇

 今月は久々に、リアルな旅の話をすることにしたい。9月15日から19日まで、取材で東北を旅してきた。きっかけは9月16日から始まった天皇杯である。

 今大会のレギュレーションは、こちらのコラムでも書いた。今大会はコロナ禍の影響で、参加チームは当初の88から52に縮小。47都道府県代表+アマチュアシード(Honda FC)+J2とJ3の上位1クラブずつ、そしてJ1上位2クラブである。今季のJリーグは超過密日程であるため、J2とJ3の上位1位クラブは準々決勝から、そしてJ1の1位・2位クラブは準決勝からの出場となる。

 天皇杯については、毎年可能な限り1回戦から取材している。だが、今大会は例年以上に特別だ。まず第100回の記念大会であること。そしてコロナ禍での大会であること。ゆえに準々決勝までは、JFL以下のアンダーカテゴリーのみの大会となること。長年、このカテゴリーを取材している立場からすれば、これは1回戦からガッツリ取材するほかないだろう。

 そこで注目したのが、水曜日の13時にキックオフを迎える青森県八戸市のプライフーズスタジアム(青森県代表のラインメール青森vs北海道代表の札幌大学)。ヴァンラーレ八戸のホームスタジアムは、工事中の状況しか見ていなかったので、この機会にぜひ訪れておきたかった。さらに週末には、J3で首位を走るブラウブリッツ秋田のホームゲームもある。この機会に、東北6県をめぐるのも悪くない。

宇都宮徹壱ウェブマガジン

画像1

 というわけで天皇杯前日の9月15日、10時36分発の東北新幹線に乗車して出発。東京都民ゆえ、GoToトラベルの恩恵を受けられないのは残念だが、フットボールを口実に久々に遠出ができるのはやはり嬉しい。

画像2

 八戸に直接向かわずに、まずは福島で途中下車。駅前にはNHKの朝の連ドラ『エール』の看板が迎えてくれた。主人公のモデルとなった作曲家の古関裕而は、福島市の出身。震災以降、ずっと「原発事故」の記憶がつきまとう当地に、ポジティブなイメージが加わったように感じる。

画像3

 昼食は、以前から気になっていた丸信ラーメン。透き通ったスープの下に醤油が仕込まれている「二層仕立て」が売りで、視覚と味覚の変化を楽しみながらいただく。ちょうど店内のTVは『エール』の再放送をやっていた。

画像4

 さくっとランチを済ませてから、30分ほどバスに揺られて向かった先が、福島ユナイテッドFCがホーム、とうほう・みんなのスタジアム。といっても、この日はゲームはない。アングルと構図にこだわりながら、誰もいないスタジアムを撮影する。

画像5

 今回の東北をめぐる旅では、ただ試合を取材するだけでなく、各県のスタジアムの「日常の風景」を切り取ることを自らに課している。加えてすべての移動は、公共交通機関を利用することにもこだわった。もちろん、地方都市のバスは本数が限られている。ゆえに撮影は常に時間との戦いであった。

画像6

 無事に福島駅に戻り、再び新幹線に乗車して八戸に到着。駅のコンコースには、八戸三社大祭の山車が飾ってあった。弘前ねぷた祭り、青森ねぶた祭りと並ぶ「青森夏の三大祭り」として知られているが、今年はコロナ禍によっていずれも中止となってしまった。

画像7

 初日の宿は、本八戸駅の近くに予約した。ホテルから八戸の屋台村『みろく横丁』までは歩いて20分弱。久々に訪れてみたかったのだが、狭い屋台で「東京から来た人間」であることばバレると、お店に迷惑がかかると判断。無難な居酒屋で刺し身をいただくことにする。かくして、旅の1日目は静かに終わった。

【以下、OWL magazine読者のみに公開】
OWL magazineでは、毎月12~15程度のサッカー記事や、旅記事が更新されています。Jリーグだけでなく、JFLや地域リーグ、海外のマイナーリーグまで幅広く扱っています。読んでいるだけで、旅に出たくなるような記事が盛りだくさん。すべての有料記事が読み放題になる、月額700円コースがおすすめです。

ここから先は

972字 / 8画像
スポーツと旅を通じて人の繋がりが生まれ、人の繋がりによって、新たな旅が生まれていきます。旅を消費するのではなく旅によって価値を生み出していくことを目指したマガジンです。 毎月15〜20本の記事を更新しています。寄稿も随時受け付けています。

サポーターはあくまでも応援者であり、言ってしまえばサッカー界の脇役といえます。しかしながら、スポーツツーリズムという文脈においては、サポー…

よろしければ、サポートをよろしくお願いします。いただいたサポートは、今後の取材に活用させていただきます。