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ミズノスポーツライター賞最優秀賞受賞と新書による新たな挑戦の蹉跌 宇都宮徹壱ブックライター塾(#徹壱塾)塾長ヒストリー<3/7>

写真家・ノンフィクションライターの宇都宮徹壱です。これまで27年の活動の間でノンフィクションを中心に、14冊の書籍を世に送り出してきました(参照)。
 そこで培ってきたノウハウをメソッドとして体系化、2024年7月に「宇都宮徹壱ブックライター塾(#徹壱塾)」を開講しました。半年にわたる第1期を経て、2025年1月から始まる第2期の塾生募集を開始します。

 当塾は「自ら取材して執筆する」ことで「書籍デビューを目指す」方に特化した講座となっております。第1期での実績を踏まえて、さらにブラッシュアップした内容で実施します。

 2期生を募集の締め切りは12月15日。それまでの間、宇都宮徹壱の過去の作品を「塾長ヒストリー」として7回にわたってお届けしたいと思います(以前、掲載したもののバージョンアップ版となります)。

 第3回は、ミズノスポーツライター賞の最優秀賞を獲得した『ディナモ・フットボール』、そして2010年ワールドカップ・南アフリカ大会を活写した『日本代表の冒険』です。

<2/7>はこちら

2009年『フットボールの犬 欧羅巴1999‐2009』(東邦出版)

 欧州フットボールの辺境地を「犬のように地を這う視座」で取材を続ける、という姿勢がそのままタイトルになった本書。サブタイトルにあるよう、1999年から2009年までの取材を1冊の書籍にまとめたもので、前作につづいて東邦出版から上梓させていただきました。

 訪れた国は、イタリアやオランダといったメジャーな国もありますが、基本的には「なぜそこ?」という国ばかり。スコットランド、アイルランド、ポーランド、トルコ、ウクライナ、フェロー諸島、マルタなどなど。今から読み返してみると、よくぞこれだけの国々をほっつき歩いてきたものだと、われながら感心します。

 2000年代を振り返った時、スター選手や戦術だけでない「文化としてのフットボール」を扱うメディアが、まだまだ健在だったように思います。「今度、フェロー諸島に行くんだけど」「じゃあ、ウチで出しましょう!」といったやりとりができた、私のような書き手にとっては幸福な時代でした。

 この『フットボールの犬』は、2009年のミズノスポーツライター賞の最優秀賞を受賞(優秀賞は『1976年のアントニオ猪木』などの作品で知られる柳澤健さんでした)。2011年には幻冬舎で文庫化もされています。その意味で、書き手としての視界が一気に広がるのを実感できた作品でした。

マルタリーグの試合会場。55万人の小さな島国ながら1部・2部・3部リーグがあります。

2011年『日本代表の冒険 南アフリカからブラジルへ 』(光文社新書)

 初めての新書、初めての版元、そして初めての「日本代表」というテーマ。さまざまなチャレンジを試みることができた本書は、2010年のワールドカップ・南アフリカ大会での取材の日々を綴ったものでした。版元は光文社新書。先方からの提案で当企画はスタートしました。

 ベースになったのは、スポーツナビで連載されていた「日々是世界杯2010」。初めてアフリカ大陸で開催されたフットボールの祭典の裏側、そして岡田武史監督率いる日本代表の戦いぶりなどを毎日更新していました。

 ネットメディアが初出の書籍化というのも、この時が初めて。単にテキストを流し込めばいいという話ではなく、横書きを縦書きにすることの難しさと面白さを実感できたのは新鮮な経験でした。また、写真も意外と豊富。南アフリカのビビッドな色彩が、ある程度は再現できていたと思います。

 ただ、残念ながら本書は、増刷には至りませんでした。理由は大きく3つ。まず、ワールドカップネタは熱しやすく冷めやすい傾向があること。次に、ネットで無料で読めた内容を書籍で読みたがる人は多くなかったこと。これらに加えて、出版直後に起こった東日本大震災の影響も大きかったように思います。

 名のある賞を受賞したからといって、その後のライターのキャリアが順風満帆というわけではありません。私の場合、その後もたびたび失敗を経験しています。「#徹壱塾」では、ただ単にブックライターとなるためのノウハウだけでなく、こうした失敗の数々もお伝えしていきたいと思います。

ヨハネスブルクのサッカー・シティ・スタジアム。最も楽しめたワールドカップでした。

 当塾は「自ら取材して執筆する」ことで「書籍デビューを目指す」方に特化した講座となっております。第1期は「対面での指導」にこだわってきましたが、第2期ではオンラインを併用してのハイブリッド型での講義を予定しております。
 ブックライターになるメリットとは何か? 私の経験に基づいて断言できるのは、以下の4点です。

1️⃣ ライターとしてのステイタスが上がる。
2️⃣ 作品を通してファンを獲得できる。
3️⃣ 自分の仕事が読者の記憶に残る。
4️⃣ ライターとして息の長い活動ができる。

 書籍を出せば、間違いなく書き手としてのステイタスは上がるし、ファンを獲得できるし、読者の記憶にも残るし、息の長い活動も可能になります。
そこに価値や魅力を見出だせるのであれば、ここはひとつ「3年後の書籍デビュー」という、やや高めの目標を掲げてみてはいかがでしょうか?

 2期生を迎えての最初の講義は、2025年1月10日(金)18時30分。これまで4冊の書籍を執筆してきた、東京・西荻窪のコワーキングスペース「factoria」でお待ちしています。

塾長:宇都宮徹壱(写真家・ノンフィクションライター)

プロフィール:
1966年生まれ。東京出身。東京藝術大学大学院美術研究科修了後、TV制作会社勤務を経て、1997年に「写真家宣言」。以後、国内外で「文化としてのフットボール」を追い続け、積極的な取材活動を展開中。
2016年より個人メディア「宇都宮徹壱ウェブマガジン」をスタート。
著書多数。2010年に『フットボールの犬 欧羅巴1999‐2009』(東邦出版)で第20回ミズノスポーツライター賞最優秀賞受賞。2017年に『サッカーおくのほそ道Jリーグを目指すクラブ 目指さないクラブ』(カンゼン)でサッカー本大賞受賞。
近著『異端のチェアマン 村井満、Jリーグ再建の真実』(集英社インターナショナル)。「#徹壱塾」に興味を持たれた方、あるいは入塾をご検討されている方、下記の記事にアクセスしてみてください。

 ご興味を持たれた方は、下記のnoteもご覧ください。

 主な内容は以下のとおりです。
■「どんな人に向けた講座ですか?」
■「どんな学びが得られるのですか?」
■「どんな特徴があるのですか?」
■「どんな効果が期待できるのですか?」
■「6カ月で学ぶ11のメソッドとは」
■ よくある質問にお答えします
■. 宇都宮徹壱ブックライター塾(#徹壱塾)第2期概要

<4/7>につづく。



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宇都宮徹壱
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