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「恐竜軍団」の面影を求めつつ、北信越リーグとローカル線と東尋坊を愉しむ〜福井フットボール紀行異聞〜

 間もなくお盆休み。皆さんはどちらに旅行されるのだろうか。私は先月末、少し早い夏休みを満喫するような取材に行ってきた。場所は福井。今回は北信越リーグ所属の福井ユナイテッドFCの取材が目的である。そう、間違いなく仕事。とはいえ非常に旅要素が色濃い仕事で、取材の手応えを感じつつも福井の魅力を存分に味わうことができた。これこそ、フリーランスによる現場取材の醍醐味と言えよう。

 おそらくサッカーファンにとって、福井は馴染みの薄い県であろう。なぜなら、全国リーグで戦うクラブがない、数少ない県のひとつだからだ(あとは和歌山県と高知県のみ)。JクラブやJFLクラブのサポが、これらの県に赴くチャンスは基本的に天皇杯しかないわけで、しかも水曜開催だと観光する時間も限られる。その意味で、これらの県はドメサカファンにとって、ある意味「秘境」扱いとなっている。

 もっとも「秘境」であるがゆえに、福井には知られざる魅力に事欠かない。北信越リーグは現地でしか見られないし、ローカル線に乗ってあちこちの観光スポットに足を伸ばせるし、食べ物も酒も驚くほど美味しい。そして何と言っても、福井といえば「恐竜」。福井は、日本が世界に誇る恐竜王国である。今回の取材の成果はこちらに記したとおりだが、本稿では福井での旅の日々を写真とともに振り返ることにしたい。

 福井には7月27日に到着。おりしも台風6号が三重県南部に上陸する中、東京から米原経由で福井を目指す。道中の車窓はずっと雨模様だったが、幸いにも台風の直撃は避けることができた。駅前では、県を挙げて推している恐竜たちがお出迎え。

 さっそく、ユナイテッドのオフィスにて取材。ウェブマガジンでも書いたとおり、このクラブは今年になって運営会社が変わり、クラブ名がサウルコス福井から福井ユナイテッドFCに、そしてクラブカラーもグリーンからブルーに変更になっている。今回の取材は、地域リーグファンに馴染み深い「恐竜軍団」の面影を求める旅でもあった。

 1日目の取材が終了して、再び駅前へ。夕暮れ時の中、実物大のフクイティタン、フクイサウルス、そしてフクイラプトルが、ゆさゆさと動きながら唸り声をあげている。こちらはフクイラプトルをキャラクター化したラプト。サウルコスがマスコットを作っていたら、こんな感じになっていただろう。

 日本海と若狭湾に面した福井は、とにかく魚が安くて美味い。とりわけ冬に採れる寒ブリは有名だが、こちらのお店で頼んだブリカマは尋常でない美味さ。日本酒も『黒龍』や『九頭龍』といった銘柄を試し飲みすることができた。実に幸せな気分で、福井での初日は終了する。

 福井取材2日目。ユナイテッドのホームゲームが行われる、テクノポート福井に向かう。ここは九頭竜川の河口近くにある福井臨海工業地帯に作られた、県民のためのレクレーション施設のひとつで、1994年のオープン。2万人収容の球技専用なので、ユナイテッドがJに昇格してもスタジアム問題で苦労することはなさそうだ。

 11年ぶりに取材する北信越リーグ。ユナイテッドの相手は、FC上田ジェンシャンである。アウェイの上田は、サポーターもいなければベンチに交代選手もいない。前半だけでユナイテッドが7点リードというのも頷ける。

 結局、試合は11−0でユナイテッドの勝利。行きは芦原温泉駅からタクシーだったが、帰りは三国神社駅からえちぜん鉄道三国芦原線に乗ってゆっくり福井駅に戻る。第三セクターによるこのローカル線は、わずか2両編成ながら女性アテンダントがいて、何だか不思議な乗り心地であった。

 2日目の夜は、ユナイテッドのサポーターが集まるお好み焼き屋で「グループインタビュー」という名の飲み会。なぜ、サウルコスはユナイテッドとなったのか。サポーターとして、どんな思いでそれを受け止めたのか。今後、クラブにはどうあってほしいのか。延々5時間のロングラン。最後までお付き合いいただいた皆さんには、本当に感謝である。

 福井取材3日目。この日はアポイントがなかったので「周辺取材」という名の観光に充てる。えちぜん鉄道勝山永平寺線に乗車し、1時間弱揺られながら勝山駅へ。勝山といえば、新種の恐竜の化石が5種類も発掘されたことで知られる。駅からバスに乗って、向かう先はもちろん、福井県立恐竜博物館だ。

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