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サッカー本大賞受賞、そして10冊目で感じた新たな課題 宇都宮徹壱ブックライター塾(#徹壱塾)塾長ヒストリーー<5/7>

 写真家・ノンフィクションライターの宇都宮徹壱です。これまで27年の活動の間でノンフィクションを中心に、14冊の書籍を世に送り出してきました(参照)。
 そこで培ってきたノウハウをメソッドとして体系化、2024年7月に「宇都宮徹壱ブックライター塾(#徹壱塾)」を開講しました。半年にわたる第1期を経て、2025年1月から始まる第2期の塾生募集を開始します。

 当塾は「自ら取材して執筆する」ことで「書籍デビューを目指す」方に特化した講座となっております。第1期での実績を踏まえて、さらにブラッシュアップした内容で実施します。

 2期生を募集の締め切りは12月15日。それまでの間、宇都宮徹壱の過去の作品を「塾長ヒストリー」として7回にわたってお届けしたいと思います(以前、掲載したもののバージョンアップ版となります)。
 第4回は、JFL時代の松本山雅FCを追いかけた『松本山雅劇場』、そして週刊サッカーダイジェストの連載を一冊にまとめた『フットボール百景』です。

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2016年『サッカーおくのほそ道 Jリーグを目指すクラブ 目指さないクラブ』(カンゼン)

 著者の似顔絵がカバーに描かれた本書。サブタイトルの「Jリーグを目指すクラブ/目指さないクラブ」が示すとおり、本書は『股旅フットボール』の続編的な位置付けでありつつ、同作品ではカバーできなかった「上を目指さない」クラブや企業チームにもフォーカスしました。版元はカンゼン。

 日本サッカーのピラミッドのハーフウェイ(中腹)、とりわけJFLや地域リーグにはさまざまなクラブやチームがあり、地域性も存在意義も異なります。われわれはつい「Jリーグを目指す」クラブに注視しがちですが、JFLにとどまり続けることを選んだチームも存在します。

 たとえば、JFLのHonda FC。上を目指すクラブにとっては「門番」の役割を担ってきた企業チームの雄も、かつてはJクラブを目指していた時代があったことは、あまり知られていません。さらにはJリーグ開幕前夜での、鹿島アントラーズとの知られざる関係性についても。

「Jリーグを目指すクラブ」がそうであるように、「目指さないクラブ」にも興味深い歴史や物語や人物が存在する。そうした、普段なかなか光が当たらない存在を浮かび上がらせたのが本書。おかげさまで重版がかかり、この年の「サッカー本大賞」も受賞することとなりました。

SAGAWA SHIGA FCが本拠地としていた佐川急便守山陸上競技場での試合風景。

2017年『J2・J3フットボール漫遊記』(東邦出版)

 本書はスポーツナビで連載していた「J2・J3漫遊記」を書籍化したもの。これまで国内サッカーについて書く時は、地域リーグやJFLといったハーフウェイカテゴリーに限られていましたが、本書では初めてJリーグに所属するクラブがテーマ。版元は東邦出版です。

 スポーツナビでの連載は、当時のJリーグ広報の方からの「J2の全国露出が少ない」というお悩み相談がきっかけだったと聞いています。そこで「天皇杯漫遊記」のJ2版として2012年に連載がスタート。さらに2年後に開幕したJ3も取材対象となりました。

 旅先の土地に根差したクラブについて、歴史や風土や人物を絡ませてながらストーリーを紡いでゆく。そうした自分のスタイルを確立させた作品であり、なおかつJリーグに到達した「股旅」クラブとの再会が感慨深くもありました。その反面、新たな課題も見えてきた作品でもあります。

 当時の私は、書き手としての「芸風」が固まってしまうことに、漠然としたもどかしさを感じていました。読者やメディアが期待する、文体やスタイルというものが固定化されてしまって、無意識のうちに新しいチャレンジができなくなってしまっているのではないか。ちょうど10冊目の著書ということもあり、そんなことを考えていました。

 ブックライターのキャリアを積み上げていく中で、知らず知らずのうちに成功体験を模倣してしまうリスクについては、注意を払う必要があると感じています。私自身、10冊目という節目を超えたあたりから、型から抜け出すための模索が始まりました。その具体的なプロセスについては「#徹壱塾」の中でもお伝えしていきたいと思います。

ギラヴァンツ北九州のサポーター。新スタジアムができる以前、本城陸上競技場にて。

 当塾は「自ら取材して執筆する」ことで「書籍デビューを目指す」方に特化した講座となっております。第1期は「対面での指導」にこだわってきましたが、第2期ではオンラインを併用してのハイブリッド型での講義を予定しております。
 ブックライターになるメリットとは何か? 私の経験に基づいて断言できるのは、以下の4点です。

1️⃣ ライターとしてのステイタスが上がる。
2️⃣ 作品を通してファンを獲得できる。
3️⃣ 自分の仕事が読者の記憶に残る。
4️⃣ ライターとして息の長い活動ができる。

 書籍を出せば、間違いなく書き手としてのステイタスは上がるし、ファンを獲得できるし、読者の記憶にも残るし、息の長い活動も可能になります。
そこに価値や魅力を見出だせるのであれば、ここはひとつ「3年後の書籍デビュー」という、やや高めの目標を掲げてみてはいかがでしょうか?

 2期生を迎えての最初の講義は、2025年1月10日(金)18時30分。これまで4冊の書籍を執筆してきた、東京・西荻窪のコワーキングスペース「factoria」でお待ちしています。

塾長:宇都宮徹壱(写真家・ノンフィクションライター)

プロフィール:
1966年生まれ。東京出身。東京藝術大学大学院美術研究科修了後、TV制作会社勤務を経て、1997年に「写真家宣言」。以後、国内外で「文化としてのフットボール」を追い続け、積極的な取材活動を展開中。
2016年より個人メディア「宇都宮徹壱ウェブマガジン」をスタート。
著書多数。2010年に『フットボールの犬 欧羅巴1999‐2009』(東邦出版)で第20回ミズノスポーツライター賞最優秀賞受賞。2017年に『サッカーおくのほそ道Jリーグを目指すクラブ 目指さないクラブ』(カンゼン)でサッカー本大賞受賞。
近著『異端のチェアマン 村井満、Jリーグ再建の真実』(集英社インターナショナル)。

「#徹壱塾」に興味を持たれた方、あるいは入塾をご検討されている方、下記の記事にアクセスしてみてください。

 主な内容は以下のとおりです。

■「どんな人に向けた講座ですか?」
■「どんな学びが得られるのですか?」
■「どんな特徴があるのですか?」
■「どんな効果が期待できるのですか?」
■「6カ月で学ぶ11のメソッドとは」
■ よくある質問にお答えします
■. 宇都宮徹壱ブックライター塾(#徹壱塾)第2期概要

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宇都宮徹壱
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