【メイレビュー】3/18(Mon)「広島のEピースも採用 世界に影響を与えるMLSスタイルとは?」小堀徹(元日建設計取締役常務執行役員、構造設計者)〜 #ハフコミ 隔週報 vol.71
みなさん、こんにちは! 毎月ハフコミウェビナーのレビューを担当している、ライターの五十嵐メイです。
月イチで開催されるハフコミウェビナー。3月の特別講師は、元日建設計取締役常務執行役員で構造設計者の小堀徹さんにご登場いただきました。
サッカーのコミュニティなのに、なぜ構造設計者の方が特別講師なのか? 実は小堀さんは日建設計に入社後、多くのスポーツ施設の構造設計に携わってきました。そして在職中、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修士課程を修了。修士論文のテーマは「MLSスタジアムの変遷」でした。
今回のウェビナーは、今シーズンから新しくサンフレッチェ広島のホームスタジアムとしてオープンした、エディオンピースウイング広島(Eピース)の話題からスタートします。
このEピース、MLSのスタジアムを参考に設計されているのをご存じでしょうか? Eピースに影響を与えたMLSについて、スタジアムという視点から小堀さんに解説していただくのが今回のハフコミウェビナー。というわけで、今月のメイレビュー、スタートです!
■なぜ欧州ではなくアメリカを参考にしたのか?
本題に入る前に、Eピースとはどんなスタジアムなのか、見てみましょう。
Eピースは、日本で初めての都心交流型スタジアムパークとして誕生しました。サッカースタジアムとしてだけでなく、公園など多目的な機能を融合させることで、街の盛り上がりにも貢献できるスタジアムとなっています。
サッカーはヨーロッパが中心ですが、このスタジアムはなぜ、アメリカのスタジアムを参考に設計されたのでしょうか。第1部では、MLSの歴史を振り返りながら、リーグコンセプトに合わせたスタジアムの変化について、小堀さんにお話いただきました。
Eピーススタジアムが建設された広島には、カープが使用しているMAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島があり、アメリカのボールパークを参考に建設されたことで知られています。
野球観戦だけではなく、さまざまな楽しみ方ができるボールパーク。そこには、ショッピングセンターや飲食店、子供たちが自由に遊べる空間が併設されています。最近でいえば、エスコンフィールドHOKKAIDOがある、北海道ボールパークFビレッジが話題になりました。
■ライト層をリピーターにする「ボールパーク」のメソッド
小堀さんによれば、アメリカではスポーツ観戦だけを目的としたスタジアムではなく、多目的な施設にすることで街とのつながりも重視したスタジアムが主流になりつつあるとのこと。野球(MLB)がそういった文化を作り上げ、それをサッカー(MLS)が受け入れたそうです。
集客強化の面では観戦だけではなく、他の楽しみを混ぜ込むことが重要視されている昨今。新しく建設されたスタジアムが、ボールパークのような形を目指すのも、自然な流れなのかもしれません。
サッカーの競技面では断然ヨーロッパですが、ライト層をリピーターにするメソッドであればアメリカ。EスタがMLSのスタジアムを参考にしたというのは、とても納得感のある話ですね。
ところで先週、サッカーとは別のイベントで広島を訪れる機会がありました。その際に訪れた、お好み焼き屋さんのおばあちゃんが、Eピースのことを話題にしていたんです。
「4点も入っちゃって、すごかったのよ!」
興奮しながら、楽しそうに話すおばあちゃん。これまでサッカーにはあまり興味がなかったそうですが、新しいスタジアムに行ってみたいと思い、サンフレッチェの試合に足を運んだそうです。
試合の勝ち負けだけでなく、感動的な体験をすることができれば、2回目、3回目と足を運んでもらえるようになるかもしれない。新しいスタジアムの好影響が感じられる場面に立ち会えて、私はとても嬉しく思いました。
■次回のハフコミウェビナーは「メンタルトレーニング」がテーマ
世の中に娯楽が溢れる中、集客に苦心しているJリーグ。ただ見やすいだけのスタジアムを作るのではなく、スポーツ界のトレンドを読み、ビジネスの面でもプラスの要素を取り入れて、スタジアムを設計していく。そのことの大切さを今回のウェビナーで、あらためて知ることができました。
ハフコミでは、こうしたウェビナーを月イチで開催しています。今回のテーマはスタジアムでしたが、サッカーに関わるさまざまなテーマについて、素敵な特別講師をお招きしてきました。これまでのウェビナーについては、こちらをご参照ください。
次回のハフコミウェビナーは、4月22日の月曜日。テーマは「メンタルトレーニング」です! 詳細につきましては、noteやXで告知させていただきますので、ぜひハフコミのアカウントをフォローしてくださいね。
それでは来月の「メイレビュー」も、お楽しみに!
<この稿、了>
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