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つまらない物語のつくりかた
今回は、つまらない物語のつくりかた、という内容です。
時間のない方のために結論を先にいうと、つまらない物語をつくりたいなら、主人公の目標は小さく、敵も弱く、立ちはだかる壁も低くすればいい、となります。
▼映画『ゴジラ-1.0』の強さは王道にアリ
さて。
先週公開された映画『ゴジラ-1.0』が話題になっています。
この作品の監督の山崎貴さんは『ALWAYS 三丁目の夕日』『STAND BY ME ドラえもん』などの大ヒット映画を手掛けた方。
もちろん『ゴジラ-1.0』も大ヒット中です。
僕は、ヒット作はなるべくチェックしておきたいので、早速見に行ってきました。
これまで見たゴジラ映画のなかで一番ゴジラが怖かった・・・。
以下、ネタバレが多少あるので、それがイヤな人はここまでで。
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一言でいえば、僕の大好きな超王道ストーリーといっていい展開でした。
というか、ほぼ全ての人が想像したとおりのストーリーだったはず。
いや、想像通りというか、期待通りですね。
最終的に主人公たちはゴジラを倒すし、その後にも1つ、多分そうなるよね、と思っていた出来事があり、ハッピーエンドで締めくくられました(最後の最後のアレも、お約束です)。
というように、想像したまんまの展開だったのに、それでもムチャクチャ感動したり、ちょっと泣けたんです。
ストーリーの話をもう少しすると、ゴジラがとにかく強いんです。
鉄砲、爆弾、砲撃、どれも全く効きません。
さらに、ゴジラが口から吐く熱線は圧倒的破壊力で、巨大な軍艦や軍隊が一発で壊滅させられます。
しかも、学者が考案した二段階の攻撃も、あまりダメージを与えられなくて、もうなす術なし、日本は終わる、というくらいになるんです。
でもそこで、主人公がゴジラの弱点を突いて捨て身の攻撃をしてゴジラを倒し、しかも捨て身かと思いきや、実は生きていた、みたいな展開になります。あまりくわしくは話せないんですが。
これって全部、ストーリーや脚本のつくり方を学んだ経験のある人にとっては、すごく王道というか、おもしろいストーリーをつくる教科書通りの展開だといえるんです。
なんですが、でもすごく感動的だったし、物語にのめり込んだし、やっぱり王道って強いなと僕は思ったんです。
▼もしも「ワンピース」でルフィがすぐに海賊王になれたら?
僕は小説の編集者もやっていたから分かるんですが、おもしろいストーリーというのは、主人公が達成すべき目標は大きいし、主人公を邪魔する敵はすごく強いし、壁は簡単に乗り越えられないくらい高くないとダメなんです。
たとえばマンガ『ワンピース』でいうと、主人公は海賊王になるっていうすごく大きな目標を掲げてますが、それがすぐに達成しないところがおもしろいんです。
すぐに海賊王になっちゃったら、全然おもしろくありません。
目標を邪魔する敵は強くてなかなか倒せないどころか、負けちゃって、また修行に戻ったりもするし、仲間たちと協力して助け合って敵を倒したりもするし、倒したらまた新しい敵が出てきて、また全然勝てなくて新しい仲間を見つけたりして、そうやって少しずつ目標に近づいていくから、ワンピースはおもしろいんです。
その反対に、目標がすぐに達成できたり、夢がすぐに叶っちゃう物語は、つまらないんです。
これは、マンガとか映画とか小説のフィクションに限ったことではありません。
現実世界の人生だって同じです。
自分の人生を物語として客観的に見たときに、目標がすぐに達成できたり、壁が低くてあっさり乗り越えられたりしたら、全然おもしろくない物語になってしまいます。
たとえば、プロサッカー選手になってW杯で優勝するという目標を立てたとします。
練習してないのにいきなり全国大会で優勝して、プロにもなれて、すぐに日本代表になれて、日本代表もラクにW杯で優勝したら、それっておもしろいのか、疑問ですよね。
そんなにファンも盛り上がらないし、もちろん本人もそこまで達成感もないと思います。
やっぱり血のにじむような努力をして、ケガもして、全然勝てないときもあって、それでも努力に努力を重ねてようやくプロとして花開いて、やっと日本代表になれて、でも、レギュラー争いでまた試合に出れたり出れなかったりして、日本代表もW杯に出られるかどうか分からないくらい負けたりして、なんとかギリギリで出場できて……みたいなストーリーじゃないと、おもしろくないんですよね。
そうなってはじめて、ファンも盛り上がってくるんです。
結局、目標をすぐクリアできてしまうストーリーは、つまらないんです。
▼アイドルのストーリーを見届けたい人へ
サッカーだとイマイチピンとこない人は、いきなりレベル99で始まるドラゴンクエストを想像してみてください。
そんなゲームをプレイしても全然楽しくないじゃないですか。
最初に戦うスライムも、最後のボスも、簡単に倒せてしまうんです。レベルアップなんてする必要もないんです。
多分、プレイしていても途中でつまらなくなって投げ出すと思うんです。
ゲームだろうと、フィクションだろうと、実際の人生だろうと、3歩進んで2歩下がり、2歩進んで3歩下がる、を繰り返しながら、少しずつ目標に近づいていくストーリーじゃないと、おもしろくないんです。
今回の話をまとめると、おもしろいストーリーをつくりたいなら、目標は大きく、敵は強く、立ちはだかる壁も高くしよう、というものになります。
で、僕は「二百度」というアイドルグループのプロデュースをしているんですが、アイドルというのも簡単に大きなステージに立てるわけではなく、少しずつ少しずつファンを増やしていきながら、少しずつ会場も大きくなっていくものです。
そんなストーリーを見届けたいという人は、まずは二百度のXアカウントをフォローして、6人いるメンバーのアカウントもフォローして、応援してもらえるとうれしいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。