【短編怖い話】亡き所有者の怨念
【短編怖い話】亡き所有者の怨念
昔ね、知人の男性が町外れの古びた家を手に入れたんだ。
彼は古さを感じさせる家だけれど、リノベーションの計画を立てて、新しい生活を始める気満々だった。
でもね、入居初日から、何か変な雰囲気が漂っていたんだよ。
たまに、部屋の隅や窓の反射で、ぼんやりとした人の姿を見かけることがあったんだ。
それに、静かな夜には、遠くの声や物音のようなものが響いてきて。気のせいだと自分に言い聞かせていたけど。
徐々に彼の友達たちも、その家に遊びに来るのをためらうようになった。
夜になると、何かが彼の周りをうろつくような感じがして、家の中のどこかで囁くような声が聞こえることが増えてきた。
彼が家の中の古い鏡を見ると、前の住人のようなぼんやりした姿が映っていて、何かを訴えかけるように彼を見つめていた。
彼はその姿にとりつかれるように、自分が何をしているのかわからない時間が増えていったんだ。
次第に彼の行動はおかしくなり、近所の人々もその家に近づかなくなった。
ある日、彼の姿が町から消えた。友人たちが心配して家に足を運んだけれど、彼は家の中で、何かに取り憑かれたような静かな姿で座っていた。
その後、その家は手放され、また誰かに購入されることなく、静かに時が流れている。でも、夜になると、今もその家からは奇妙な声が聞こえてくるらしい。