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【短編怖い話】昔のお引越し

【短編怖い話】昔のお引越し
昔ね、うちの家族が新しい家に引っ越したんだ。引越し先の家は安かったし、広々としてて本当に素敵な家だったんだけど、何か変なウワサがあって、前の住人の一家がなんと自殺してしまったらしいのよ。

最初は、まあ、古い家だから何かの間違いだろうと思ってたんだけどね。でも、住み始めてから夜な夜な奇妙なことが起き始めた。特に夜中の3時ごろ、子供たちの部屋の方から足音が聞こえてきたり、微かに泣き声がするんだ。

もともと私たち家族は仲が良くてさ、こんなことくらいでびびるタイプじゃないんだけど、毎晩のように繰り返されるその現象に、さすがに気が滅入ってきたんだよね。

ある晩、父が突然「もう耐えられない」と叫び、外に飛び出して行ったんだ。あとで知ったんだけど、あの家の裏庭には古い井戸があって、その井戸の中からは過去に住んでいた一家の声が聞こえるらしい。それを聞いた父は、絶望してしまったのか、その井戸に飛び込んでしまったんだ。

母はその後、気が動転してしまい、毎晩夜な夜な家の中を彷徨ってた。私は毎晩のように母のことを見守ってたんだけど、ある日の夜、彼女もまた家を飛び出して、どこかへ消えてしまった。

最後に私一人になって、その家に住むのは本当に怖かった。もうあの家には何の愛も温もりも感じられなくて、ただただ寂しいと感じるだけだった。そしてある晩、私も家族の元へ行くことを決意したんだ。まあとはいえ今生きてるからこうやって文章書いてるんだけどね。

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