【短編怖い話】古道具屋の時計
【短編怖い話】古道具屋の時計
古い町である古道具屋をぶらついていた時のことだ。
僕はある古びた時計を見つけた。その時計は普通のものとは何か違う雰囲気を持っていて、店主に聞くと、それは亡くなった者の霊と繋がるという噂のあるものだと言った。
最初はただの迷信と考え、そのユニークな時計を自宅に持ち帰った。部屋の壁にかけてみると、何となくその部屋の空気が重くなった気がした。
毎夜、その時計の秒針が「カチカチ」と進む音が聞こえてきた。その音は、普通の時計の音よりも、なぜか耳に響くものだった。
ある夜、時計を見つめていると、突然、霧の中に浮かび上がるように、知らない老人の顔が映り込んできた。驚きながらも、それをただの幻覚と思い、時計を再び巻き上げた。
しかし、次第にそのビジョンは鮮明になり、死者たちの日常やその最期の様子を僕に見せ始めた。さらに、それが現実と重なって、近所の老人が亡くなったり、知り合いが事故に遭ったりすることが増えていった。
心理的なプレッシャーに耐え切れず、ある日、その時計を壊そうとした。しかし、その瞬間、僕の頭の中は白いノイズで満たされ、時計が示した恐ろしいビジョンが頭の中で再生された。
最終的に、僕はその時計の音と、死者たちの叫び声に狂わされるようになった。
そして、ある晩、突然の悲鳴と共に僕の人生は終わった。
近所の人たちは、僕の部屋に駆けつけると、時計の前でうずくまる僕の姿を見つけた。
時計はもう動いていなかったが、その秒針はずっと前から動いていないようだった。