小さくなったテーブル
結婚したときに、家具を買い揃えた。2人きりで始めた暮らしに、様々な家具は大きく感じられた。
借り上げ社宅の部屋は3DKでも、お客さんが来たときのために使おうなどと、部屋が余っていた。
しかし、子どもが生まれたとたんに、生活は一変した。
一番小さな赤ちゃんの荷物がどんどんと増える。服だって小さいのに、タンスひとつ追加になった。
でも悪いことじゃない。
部屋の中には、赤ちゃんの泣き声や笑い声が響き、幸せな空気が広がった。
ベビーベッドが置かれたとたんに、寝室も狭くなった。ダイニングテーブルに、赤ちゃん用の席を追加した。
そうやって家族が増えていく。
2人目が生まれてから、家を買った。
その時に思った。後残り50年生きるとしても、我が子と暮らせるのはせいぜい20年なのかなあと。
どのくらいの広さがあればいいんだろう。
子どもたちと一緒じゃない方が長いんだろうなあ。
子どもたちはすくすくと育った。ダイニングテーブルにも、たくさんの料理を並べきれなくなりそうだった。でも、全て平らげる食欲に圧倒された。
そのうち、並んで座ることも窮屈になってきた。
でかくなったなあと思うと同時に、テーブルが小さくなったと感じた。
その後、長男は就職して家を出た。
次男ももう少しで出ていくかもしれない。
そうしたらまた、テーブルは適当な大きさになるのだろうか。広すぎるように感じられるのだろうか。
部屋もまた余ってしまうのだろうか。
いや、きっと今度は新しい家族をつれて、賑やかに帰ってきてくれる日が来るだろう。
今はそれが、楽しみだな。そしたらきっとまた、窮屈になるだろう。
テーブルも小さく感じられるだろう。
それがいい。