誰の価値観で生きているか
去年の今頃、小さな離島に住んでいた。
夜に空を見上げれば、きっと何千年も前から変わらない無数の星空が見えた。昼間は、都会とは違う澄みきった青が見えた。
栄養抜群の野菜もとれるし、美味しい魚もとれる。何を食べても美味かった。
そんな田舎じゃ、遊び場もなく退屈でストレスが溜まるんじゃないかと、思う人がいるかもしれない。そこに以前から住んでいる人も、退屈すぎるから外に行きたいと言っていた。
でも、都会の混雑、冷たさ、寂しさを経験してきた俺にとっては、天国のように幸せな日々だった。
周りにたくさんの人がいることと、寂しくないというのは、繋がっているものじゃない。周りに人がいても寂しかったり、周りには誰もいなくたって寂しくなかったりする。
競わされ、揉まれ、苦しむ先に、幸せがあると思っていたけれど、そんなもの必要ない。
そう思った。
移り住んで、しばらくは変な感じだった。でも、次第に慣れた。
責められることがない。
ガツガツしなくていい。
自分が役に立ち認められる、無理をしなくても、飾らなくても。
きれいな空気、きれいな水、きれいな景色。
美味しいんだ、何もかも。
はぁ、幸せって何だろう。
そう思った。
しんどい想いをしなければ、手に入るわけがない。努力しなきゃ手にはできない。
ずっとそう思っていたんだけど。
そう教えられてきたけど。
他人の価値観に縛られてきたんだってことを、実感した。
世間体なんて気にするな!って言葉に対して、そうだそうだ!って思ってきたけれど、本当には理解出来ていなかった。
都会にいればたくさんの人がいて、それが常識だと思っていた。でもね、違った。それは狭い狭い常識だと。
もっと自由な人生を過ごしていいんだって。