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売れ残ってる『惣菜の値引き』はもの凄い失敗なのかも知れない【㈱ライフコーポレーションで思考体操】

こんにちわ。
ランデブーの田中です。飲食×ITのスタートアップをやっています。
日常に落ちてる気付きやトレンドを、マーケティングやサービス視点で考察して、サービスや組織に転用しています。通りすがった人はスキとかフォローしてね。

昨日、ふと近くのLIFEに行って惣菜コーナを見たらこんな状態でした。メチャクチャ残ってる!!!これ、21時時点です。

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物凄い量の惣菜が残っていて驚きました。そして、もう一つ驚いたのが、どの惣菜も一切値引きされていないことです。もちろん21時なのでお客さんはまばらにしかいません。

「?????」「なんで値引きしないんだ????」という問いが出たので、普段やってるように順序だって考察しているのをまとめてみました。
*これは趣味です

▍売り切るが「善」、売れ残りは「悪」という擦り込み

「こんなに惣菜残して値引きしないでバカだな!どんな経営方針だ!」と言う意見が多いと思います。世の中一般的には、売り切ることが『善(大事)』で、売れ残りは『悪(ダメ)』という風潮があります。その意見は物凄く理解出来るし、かくいう自分もそうです。

ただ、ファクトがなく決め込んでいることは疑うようにしていて、まさしくこれがその典型です。「LIFEほどの会社が値引きをしていないなら値引きをしない理由があるはずだ!」と考える癖をつけてます。
 *こんなすごい人がやってないわけないスタンス

■会社名 株式会社ライフコーポレーション
■資本金 100億4百万円
■株式 東証第1部
■沿革 明治43年 創業
■営業収益(連結) 7146億84百万円(20年2月期)
■従業員数(連結) 27,726人(20年2月期)
■HP:http://www.lifecorp.jp/company/info/about.html

どの会社も、どの経営者も、ひたすら頭を使って考えているのが当たり前で、こういう場合は「出来ない」のではなく「やってない」、つまり理由があってやらないと決断したことだと考えるようにしてます。

と、これがキッカケでリサーチしはじめるわけです。※今回のテーマでは『社会課題(フードロス)』のことは考慮しません。

▍とりあえず決算資料を見てみる

❶経営状態は良好!売上、利益共に増収増益!

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❷『惣菜部門』だけ売上が前期比割れ

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「やっぱり『惣菜』部門は落ちてる!」と確認。ただ、他の食品部の「農産、水産、畜産、加工・日配」は見事に(結構)伸びてる! *これはなんだか面白くなってきた

❸売上ダウンで粗利益アップ

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見逃していけないのはここ!売上が落ちてますが、粗利率が上がってます。しかも、売上0.9%ダウンに対して粗利率は1.2%アップ。これ計算してみると粗利額は約3億円上がってます。

❹客数が減って客単価が伸長

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客数減って、単価が上がって、売上も前期比109%。これだけ見たら凄いうまいこといってる会社です。ただ、このデータ気になりますね。なぜなら2020年はイレギュラーな年(コロナによる自粛影響)なので、下記は影響していそうです。

・【売上アップ】自宅で自炊する人が増えた(≒外食が減った)
・【客数ダウン】外出自粛で買い物頻度(回数)が減った
・【単価アップ】一回の買い出し量が増加

などが想定出来たので他社も見て確認。

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差分なく、ほぼ同じような結果。惣菜はダウンしていて、他の食材は伸長してます。スーパーマーケット事業が、コロナが関係して大きな伸長をしていることは間違い無さそうだ。 *上の考察は合ってたね

ただ、これと惣菜の値引きをしないのは関係ないよなー、と思って比べてみると、LIFEの惣菜粗利率は他社より10%も高い[40%と54%]ことに気付いたので、こっから仮設を立て考察します。

▍惣菜割引の目的を整理する

1つ目は「売れ残るくらいなら売ろう」です。古き良き『もったいない精神。』売上作りたいと考えるのは至極当然だし、原価は回収したい!って気持ちも凄くわかります。

2つ目の目的は「お客さんを店に呼び込む為」のフロントエンドの役割です。チラシのセールとかも一緒。マクドナルドでいうところの「100円マック」です。それと一緒に「コカ・コーラ」が売れて利益が取れるから「100円マック」で利益取らなくていいよね、という考え方。

利益は出ないけどお客を呼べる商品を『フロントエンド』
利益が取れるてよく売れる商品を『バックエンド』と呼んでます
よく使うので覚えておいて下さい。

一般的には上の2つが目的ですが、「惣菜の値引き」が目的を果たしているのか?を疑う必要がありそうです。

▍考察1:たくさん売れて利益が出ない、さらに言うほど売れない問題

結構ある間違いがこれ。「半額にして倍売れば良い」という考え方。

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上の図の通り、原価がかかるものは「半額にしたら倍売る」ではなくて、「半額にしたら2.7倍売らなきゃいけない」です。

「利益額」があがるのであれば、値引きをすることに異論はありませんが、値引きや安売りをする人の多くは『売ること』を目的にして利益額が疎かになっていることが多いです。付け加えるなら、仮に半額にして3倍売れとしても、『3倍分の工数』がかかります。利益額以上に負担がかかり、それは現場の疲弊に繋がります。

つまり、『半額にして3倍集客して3つ売る』よりも『今いるお客さんが購入しやすくして1つ買ってもらう』方が良いという判断です。

※数字はわかりやすく極端にしてます。

▍考察2:「惣菜」が売れると他の「食材」が売れない問題

惣菜が売れることで他の食材が売れなくなってるのではないかという仮設です。

仮に値引きをしたとしても、フロントエンド商品でバックエンド商品が売れて利益が出るのであれば『良し』です。ただ、考えなくてはいけないのは「惣菜の割引を狙ってくる人たちは、果たして他の商品買っていくんだっけ?」という問いです。

・自分で料理して食べる予定の時って惣菜買わない(よね?)
・また、惣菜買ってるときって、料理数が減るから食材減る(よね?)

(※これは人によって言い分は違いそう)
この仮設を考えると、惣菜を買っている時は「購入点数は変わらないけど、単価が高い」です。ただ、これは割引をしていないことを前提にしています。割引をしてしまうと単価も上がらずに購入点数も変わらないのであれば、惣菜を割り引くことで集客をした意味はほとんどありません。

つまり、「惣菜売るなら定価で売れ」が大事そうです。

▍考察3:「惣菜を売る」負担が大きい問題

スーパーマーケットでよく見かける惣菜の割引は、19時、20時、21時、と10%、20%、30%と、少しずつ値引きを行います。ただ、この作業してる人の負担を想像するだけでも大変ですよね。

しかも、考察の1と2も踏まえると、数もさほど売れなくて、かつ他の商材が売れていないなら全く意味がありません。それどころかやればやるほどマイナスが生まれます。だったら、その値引き対応をする人の負担を減らして、割引以外の販売を考えたほうがよほど効果はありそうです。

▍結論

惣菜を割引するのは

A)割引した以上に売れる
B)割引することで集客が凄く増える

この2つのどちらかの効果がない限り、惣菜の値引きは物凄い失敗なのかも知れません。というか、明らかに失敗です。

後は、このAとBをどれだけやり切れるかという問題もあります。これはエリアや立地による交通手段や他のお店の状況で大きく変わってくると思います。惣菜の割引で『遠いスーパマーケットを選びますか?』です。牛丼やマックなどのファストフードがあって、近くにコンビニがある場合、それらは全てが競合になります。そう考えると『ライフコーポレーションの割引しないことは』妥当な判断だと言えそうです。

上の3つの考察を踏まえれば他のスーパマーケットよりも粗利率が高いことの証明も出来ますね。

こんな順序で昔から思考訓練を続けています。

ちなみに、気になったのでそのライフを良く使っている人に聞いてみたら、食材によって割引きされているものもあるそうです。(※今日はローストビーフが割引になっていたそう)

割り引いても単価が高くなるものは割り引いていることがあるとのことでした。納得です。

▍最後に

最後まで読んで頂きありがとうございました!
思いっきり考察が間違えている可能性もありますが『問いを持って、仮設を立て、調べて、答えを出す』ことが大事だと思っているので、間違えていたらご愛嬌です。そして、間違えてたら教えて下さい。

こんな、思考の体操やマーケティング考察をしていますので、宜しければ一緒に続けてみませんか?こんな思考体操が好きな方はコメントやフォローをお願いします!

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