大鉱物〜緑と青と、時々紅〜
※この記事は、2024年度アドベントカレンダー(その1)12月24日の記事です。
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ーーーーー以下記事ーーーーー
私は通名を栗田、AG名をVISTORONと名乗っているしがないエージェントである。
唐突だが、私は石が好きだ。
特に青くて透明なやつ。
ストーリーや設定を知るにつけて鉱物感のあるオブジェクトを見ながらニヤニヤしてみたり河口湖にある宝石博物館で数々の石を見ながら「XM出てる」とか呟いてみたりするタイプの限界オタクなので、少々ここで可視化してみようと思う
はじめに
なぜこの記事を書くに至ったかを話そう。
12月も半ばに差し掛かったある日の事であった。
Ingressのバックストーリーを考察したりする日本語コミュニティProject Lycaeumでお世話になっている白ヤギ氏からメンションが飛んできていた。
モノはオシリスストーン。
なるほど興味深い事を聞いてくるではないか、鉱物好きとして答えねばならない。
藍銅鉱with孔雀石のアズルマラカイトの見た目が似ているとして回答したものである。
会話ログでは言わなかったが、オブシディアンを薄くカットして研磨すると、虹色の模様が浮かび上がる。これを思い出してオブシディアンを引き合いに出した。
そしてIngress的には、アノマリーのタイトルにもなっている縁の深い鉱物である。
1. Ingressの三陣営とその思想的背景
まず基本のキをおさらいしよう。
Ingressは、Nianticが提供する拡張現実ゲームで、世界を舞台にした陣営間の競争が特徴である。
プレイヤーは「エージェント」と呼ばれ、地球上に点在する「ポータル」を巡り、リンクを引き、コントロールフィールドを張ることで成る勢力拡大を主たる目標とする。
作中には現在、以下の3つの陣営が存在する。
エンライテンド(Enlightened/緑)
覚醒派閥。シェイパーと呼ばれる未知の存在を受け入れ、人類の進化を促すことを目指す陣営である。テクノロジーと未知の力が調和する未来を理想としている。指導者はローランド・ジャービスやアコライト。
レジスタンス(Resistance/青)
抵抗派閥。シェイパーの影響を拒絶し、人類の自由を守ることを目的とする陣営である。外的干渉を排除し、独自の進化を選び取る姿勢が特徴である。指導者はADAやKLUE。
マキナ(Machina/紅)
作中に後から登場した陣営で、無機的な機械の意志を持つ勢力である。人類やシェイパーの枠を超えた自律的存在として、自己増殖と拡張を続けている。
筆者は最寄りポータルがマキナになった(´・ω・`)
これらの陣営の思想は、人類の未来に対する異なるアプローチを象徴している。
エンライテンドは「共存と進化」、レジスタンスは「独立と自由」、マキナは「自己増殖と異質性」といったテーマを持っていると言ってよいと考える。
2. 緑・青・紅の色彩の象徴性と陣営との関連
それぞれの陣営の色は思想や本質を示していると思われる。
以下考察を示す。
緑(エンライテンド)
緑は生命や自然の色であり、成長や調和を象徴する。
エンライテンドの「進化」や「調和した未来」という思想に通じ、また、未知の力を受け入れ、新たな可能性を模索する姿勢は、自然の中に隠された多様性と調和に似ている。まさに人類の進歩と調和。
次元の名にもなったオシリス神の顔も緑であり、もみの木もいつもみどりである、Oh Christmas tree(季節感)
自然界に緑の物はとても多い。
青(レジスタンス)
青は冷静さや安定を意味し、自由と独立の象徴でもあり、レジスタンスの慎重な態度や自己防衛的な思想と関連している。
青はまた、無限の空や海を連想させ、未知の可能性を拒絶するわけではなく、外的干渉から自分たちを守りつつ自分たちの未来を築こうとする姿勢を示している。
自然界において青いものは、空と海等を除いては実はあまりなく、青い花や石、鳥、眼はとりわけ珍重される傾向にある。筆者も色としての青が大好きである。
紅(マキナ)
紅は警告や危険、あるいは破壊的な情熱を象徴している。マキナの無機的で予測不能な動きや、自律的に成長し続ける性質を反映すると同時に、紅は機械的なエネルギーや力強さを暗示し、自然や人間を超えた存在としてのアイデンティティを表現している。
自然界に於ける紅は、花や果物、生き物に満遍なく存在し、人間を含む多くの生き物の体内にも血液として流れている。
表記は赤でも紅でも良いのだが、紅の方がマキナの底の知れなさを感じられて筆者は好ましい。
3. 鉱物との関連性:緑、青、紅の象徴的な鉱物
それぞれの陣営は、象徴的な色を持つ鉱物と結びつけて考えることができる。鉱物はその色彩や性質から、陣営の思想や本質を表すメタファーとなり得ると筆者は考える。
以下に考察若しくは妄想を示す。
エンライテンドと緑の鉱物
エメラルドやマラカイト、翡翠などの緑の鉱物は、自然や再生、成長を象徴する。
これらの鉱物は、未知の力を受け入れるエンライテンドの「生命の進化」と共鳴(レゾネート)を思わせる。
マラカイトは上記の写真にもあるように銅の二次鉱床として共存して産出されるが、アズライトが空気に晒されて酸化すると出来る鉱物である。
レジスタンスと青の鉱物
青を示すサファイアやアズライト、ラピスラズリは、知性や冷静さ、守護の象徴である。
これらの鉱物は、レジスタンスが追求する「自由と安定」を表していると考える。深い青は、外的影響を拒絶し、内なる強さを育む姿勢を思わせる。
アズライトは銅の二次鉱床として共存して産出される。(ちなみにアズライトを長期間空気に晒しておくと酸化してマラカイトになる)
マキナと紅の鉱物
紅を代表するルビーやガーネットは、エネルギーや情熱を象徴する鉱物であり、マキナの「自己増殖」、「破壊的な進化」を示す存在として、紅い鉱物はその本質にふさわしい象徴と言える。
さらにもう一つ紅い鉱物を挙げるとすれば辰砂であるが、辰砂は強い毒性と美しい色を呈し、マキナを表すに相応しいものと考える(辰砂を挙げてくれたNikakor君ありがとう)
引き合いに出したマラカイトとアズライトの成分はほぼ同じであり、銅の二次鉱床として一緒に出てくる事が多い。
銅が還元したものがアズライトで、空気に触れる等して酸化したものがマラカイトである。
ここで注目すべきは、元々は銅という一つの成分から酸化と還元という異なる現象を経て、緑(マラカイト)になるか青(アズライト)になるかが決まるということだ。(銅板を加熱すると酸化皮膜を形成し紅色を呈するが、文章を書き切ってから気付いたのでここに追記しておく。なお銅は赤銅色という色名もあり、"あかがね"とも呼称する)
まとめ
思い返すに、元々はXMという一つのエネルギーを思想の違いで緑と青に分けたことで生まれる対立、対立は洗練を生むのだ。
そして、緑と青と紅は光の三原色である。
元々白であったXMは、触れるモノにの振る舞いよって緑になり、青になり、紅になり、また白くなる。
我々の世界にXMをもたらした存在は、この世界の美しい鉱物の姿も参考にしたのかもしれない。
ここまでのご精読に感謝する。
栗田樹(VISTORON)