義母の生霊と闘う話①
生霊(いきりょう)
それは人の恨み辛み、妬み嫉みが知らないうちに空気をつたい、相手の心身に影響を及ぼす呪いや祟りのようなもの。
誰かをうらやむ気持ちがあれば誰でも知らずに作り出してしまうという…ひとりでに動く心の闇。
みえない世界のウソみたいなホントの話。
これは霊感のない手相占い師安藤が、ある日突然取り憑いた生霊を相手にガチでシャーマンファイトを仕掛けていく様を記録したルポルタージュである。
11月6日『宣告』
『間違いありません。生霊です。』
正直確定診断のためにお願いした霊視鑑定。
しっかり断定されたことにより、この日は私の中で開戦記念日となった。
まずは生霊に宣戦布告することとなったこの日のことを記録していくこととする。
もう知っているはず
突然だが『あなたに恨みを持っている人』に心当たりは無いだろうか?
大抵の人はわからないとか、いないと答えるだろう。
しかし私には思い当たる人がひとり、それもかなり強烈な人がいた。
だからこそ生霊なんて非現実的なものにとてつもない納得感を抱いたわけなのだが。
ここ2ヶ月弱悩まされてきた体調不良と決別するため私は占い師仲間でチャネラー(霊視ができる人)の愛さんに連絡を取った。
愛さんからの返信によれば『見ることはできるが、生霊の程度によっては祓えない』とのこと。
最悪祓えなくてもいい。今憑いているかどうかと現時点でできる対処法について教えてほしいとお願いしたところ、快く引き受けてくださった。
霊視は通話で行うため、私は愛さんにラインで電話をかけた。
『こんにちはぁ!』愛さんの可愛らしい声が聞こえてきて一気に緊張が解けた。
チャネリング(霊視)に限らず、通話で行う占いやサービス全般は声が大切だと改めて思う。
『安藤さん、もう思い当たる方居ますもんね?ハイヤーがその人で合ってるよって。安藤さんはわかってて答え合わせにきてるって言ってます』
ハイヤーとはハイヤーセルフ、つまり高次元の自分を表すスピリチュアル用語だ。
私なりの解説をすると、誰もが普段使っている「肉体に宿る自分」の他に「魂に宿る自分」というものが存在していて、この魂に宿る自分の声を聞く手法がチャネリングである。
ハイヤーセルフは魂の世界にいるため同じ次元にいる魂とは会話ができるが、次元の違う世界にいる私たち肉体を持つ者に音声という形でメッセージを送ることはできない。
その間に立ってハイヤーセルフのメッセージを肉体を持つ私達にわかるような形に変えて伝えてくれる変電所のような役割を果たしてくれるのがチャネラーと呼ばれる人たちだ。
シャーマンキングの世界観が身近にあるということ自体がワクワクする。
(※シャーマンキング…武井宏之さんの漫画&アニメ。現在30代半ばのオタクの性癖はこの作品によって大きく歪められ、銀髪✕赤眼✕少女✕イバラが大流行した。日本の神事や神職者についての知識もふんだんに盛り込まれており、素直に勉強になる部分も多い)
本題に戻り。
私がもう知っているということはあの人しかいない。
「お義母さんだと思います」
私が伝えると愛さんは少し驚いた様子で
『え?!小さい男の子連れてるところが見えてたのでママ友さんかと思ってました!じゃあこの子、旦那さんってことか…』
愛さんのハイヤーセルフが伝えてきたのは5、6歳くらいの少年を連れた女性だったようだ。
『でもこの人がお義母さんで合ってるんでしょうね。安藤さんが思ってる人で合ってるということは』
「つまり…結局祓えてないってことでしょうか…」
恐る恐る聞くと
『間違いありません。生霊です。憑いてます、お義母さん。…あと…』
あと??!!!
『もうひとり…もうひとり居ます!』
祓えていないどころか、もうひとり憑いているという新事実が発覚!
私にはもう思い当たる人はいない。
しかし、私に恨みをもっている人はまだいるということだ。
生霊。それは生きた人間の心の奥の黒いところ。
祓えども祓えども、恨まれていれば飛んでくる。
そう、恨みを抱えたその人が 生きている限り。
第二話はこちら▽
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