【#応援したいスポーツ】野球に興味のない私が、野球を応援する理由とは?
私が応援したいスポーツは、プロ野球だ。
この上なく、ベタだけれど。
しかし、私は野球にまったく興味がない。
(関係者の方々、申し訳ありません!)
興味がないのに応援したい理由は、母のためだ。
私と正反対で、母はプロ野球が大好きである。
母というのは何かと忙しい生きものなので、球場に足を運ぶことはめったになかったが、シーズン中はずっと、テレビで野球を観ていた。
興味のない私には、この数ヶ月がたまらなく苦痛で、当時はスマホもなく、テレビが唯一の娯楽だったというのに、チャンネル権は一切与えられなかった。
ある日突然、母が地元球団の年間指定席を買ってきた。
私が大学を卒業する直前のことだった。
「やっと高い学費も払い終わったし、思いきって買ってきた!!」
その思いきりが、現在に至るまで、約20年続いている。
「球場に行くより、テレビの方が観やすいわ!」と豪語していたのに、ホーム試合は毎回、観戦に行くようになった。
最初はひとりで静かに応援していた母だったが、通い続けているうちに常連さんと仲良くなり、しまいには球団関係者や選手の奥様とまで顔見知りに。
ただ野球を観るだけではない、特別な場所となっているようだった。
話が少し戻るけれど、私は大学を卒業後、実家を出て、社員寮に入ることが決まっていた。一人っ子なので、家に残るのは父と母、二人きり。
あの頃、自分のことしか考えていなくて、二人の心情をこれっぽっちも想像したことがなかった。いま、私自身も親になって、一人娘が家を出ていく気持ちを少しは理解できる。
母があんなに野球観戦にはまっていったのも、おそらく、最初はさみしさを紛らわせるため。野球に夢中になっている間は、いろんな想いを手放せたのではないかなと思う。
そして、いつしか、母はそこに自分の居場所を見出した。
野球を中心に世界が回っている母に対して、たまに文句を言ったりもするが、内心では本当によかったと思っている。
野球が母のすべてを受け入れてくれたからだ。
だから、これからもずっとずっと、プロ野球が続いていってほしい。
母のために。
母と同じく野球に救われた人たちのために。
6月19日、今年度の公式戦がようやく開幕する。当面の間は無観客試合らしいが、近いうちに、母がまた球場に通えるようになることを心から願っている。
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