17w3d 安産祈願
4月末の大安吉日に、夫と私、そして私の実母の3人で安産祈願に行った。
平日の昼時、都内某所でのお参りは清廉な空気が漂っており、心地よい森林の中で心身ともに癒しの時間を過ごすことができた。
通常安産祈願の時期としては、安定期に入ってから最初の戌の日が良いとされている。もちろん妊婦の体調や状況によってはその限りではない。
ただ2022年には、戌の日と大安が重なる日という特別な吉日が何日か存在する。
そして幸いにも私が安定期に入った最初の戌の日は大安であり、しかも2022年内では大安と重なる戌の日はその日が最後という状況だった。
そのため多少の体調不良ならば目を瞑り行こうと心に決め、結果的になんとも日程に恵まれた祈願となった。
まだ4月だというのに、大安と戌の日が重なる日が来年までもう来ないというのは不思議である。
そもそも私は長年妊娠に縁がなかったので、あくまでも、〈戌の日というものに安産祈願に行く妊婦が多い〉という情報のみしか知らない状態だった。
妊娠したり子供を産んだりした友人同士が、そういった話をしているのを耳にしたり目にしたりことがある、程度の認識だ。
なので自分がこんなに安産祈願というものに熱心になるとは思わなかったが、妊婦になった今ならわかる。安産祈願は心の救いである。
なぜなら妊娠初期に関しては、神頼み以外にできることがマジでないからだ。
本当にない。母親は胎児を入れるための袋にしか過ぎないので、袋にできることは神への祈りを捧げて健康と無事を願うのみだ。
祈祷してもらう予定の腹帯にのしまでつけて持参し、一万円を包んで神社へ向かった。我ながらスピリチュアルな行動だと思う。
無事に祈願を終えて帰宅した後、人生で初めて腹帯を巻いた。
妊娠5ヶ月になりたての腹はそう大きくはないが、膨らんでいることがはっきりわかる程度には妊婦の腹である。
そこを掬い上げるようにして腹帯を巻くと、腰痛がすっと楽になった。
まだまだ小さい赤子とはいえ、膨らんだ子宮や羊水・増えた血液の量を思うと、改めて腰にも負担がかかっていたことを実感する。
私は利便性重視で選んだので、昔ながらのサラシではなくベルトタイプを購入した。これがなかなか正解だったと思う。
マジックテープで着脱可能なので、巻く手間が非常に少なくトイレが楽だった。
余談だが私たちが安産祈願に行った都内の神社は、水天宮のように安産祈願の有名な聖地というわけではない。某天皇の神宮である。
一体なぜこの場所を選んだのかというと、話は年明けの1月頃にまで遡る。
私は今年(も)厄年である。
女性は30代のほとんどを厄年として過ごすと思うのだが、私は実際にここ数年の厄年でさまざまな不幸を経験した。
不幸自慢をしたいわけでは決してないのだが、父親がステージ3の癌を患い、さらにその後医療ミスにより病状が悪化し、母親は居眠り運転の軽トラに轢かれ、腰の骨を折り半年寝たきりとなった。私自身も持病の痛みで苦しみ、年収が20万円(!?!?)にまで落ち込むほどに働けずにいた期間もあった。
しかし不幸中の幸いというべきか、父親は転院により癌から奇跡的に生還し、母親は無事に歩けるほどにまで回復した上裁判で多額の慰謝料を獲得し、私自身は尊敬する先輩が立ち上げた会社に引き抜かれ今では楽しく働いている。という不幸だか幸だかわからないオチではあるのだが、とにかく、厄年に厄が本当にあったという事実が私のトラウマとなり、同い年の友人と年明け3人で厄祓いに行ったのだ。(なおこの友人たちも同じ厄年の中で、実父を亡くしたり不妊に苦しんだりしている。)
その厄祓いに行った神社が、今回安産祈願を受けた神社と同じなのだが…
日付から計算するに私のお腹の中の子供は、厄祓いを受けたその日に着床している可能性が高いのだ。
私は厄祓いを受けている間お腹をさすりながら、「高額な不妊治療をしなくても済みますように」とも祈っていたから本当に驚いた。
赤ちゃんは授かりものというが、まさに授かってしまったという感覚が強いのだ。
なので一方的にご縁を感じ、私はこの場所で安産祈願を受けようと決め、実際に足を運ぶことができたわけである。
災い転じて福となす、という見方もできるが、厄年はまだ終わっていないので…とにかく無事に健康な子供が生まれることをただただ願っている。
やっぱり、神頼み以外にできることがマジでない。
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