「EMOTION」と「時間」
こんにちは、「てし!」と申します。
この記事はわらみん(@WaraminLiver123)さんが主催する2024/09/06(金)公開のえいがさき第1弾に向けたカウントダウン企画「#これが私のトキメキ」で、アニガサキ楽曲についてブログリレーとなります。
私は前日担当の黒鷺(@AqoursJETpoke)さんによる「Infinity!Our wings!!」からバトンを受け取りまして、担当楽曲はアニガサキ2期7話挿入歌の三船栞子ちゃんによる「EMOTION」となります。
はじめに
企画のお話をいただいたい際に進んで「EMOTION」担当を申し出たわけですが、EMOTIONに対するクソデカ感情はアニガサキ2期でこの曲が披露された3日後に7話感想と合わせてインターネットの大海原に放出しています。
申し出たものの何を書こうかと考えた時に上記記事はアニメ尺の曲の初出から数日程度のありのままの感情を書き連ねただけでしたので、本記事では以前触れていなかったEMOTIONのFULLバージョンや、ライブでの披露に対する「感情」、他栞子曲に視野を広げた際にこの曲について感じたことを綴りたいと思います。
前回までのラブライブ!
EMOTIONの歌詞に入る前に、この楽曲が初めて披露されたアニガサキ2期7話「夢の記憶」について思い出してみましょう。(放送はもう2年以上前なの!?)
アニガサキ1期最終回で大団円を迎えたScool Idol Fetstival(SIF)の第2回開催の準備が進められ、1期の第1回開催とは異なりSIF単独のイベントではなく他校も巻き込んだ5校合同文化祭+SIFという超大規模イベントとなりました。2期6話ではこの5日連続イベントの前夜祭としてA・ZU・NAがパフォーマンスを務めていました。A・ZU・NAパフォーマンス直前の生徒会長ビデオメッセージにて虹ヶ咲学園生徒会長 中川菜々ちゃんがスクールアイドル同好会の優木せつ菜ちゃんであることを明かしたシーンは印象的でしたね。
この時の言葉を聞いた時に栞子ちゃんが何かに気づきます。
それは元々栞子ちゃんが「菜々=せつ菜」に気づいていたため、この場で正体を明かすのかと勘付いたからなのか、「大好きを隠す必要は無い」の言葉に少しでも自分を重ねる事があったからなのかは分かりません。
EMOTIONと時間
曲やMVの解釈に正解は無いと思うので、個人の妄想を膨らませた解釈となります。2年前に書いたEMOTION記事とも内容に一部重複ありですがご容赦くださいませ。
虹ヶ咲のソロ曲でたまに出てくるアイテム達(小道具)。
(あぐ姐さん「素材で勝負したわけなんですけれども」)
栞子ちゃんの場合、「栞」から連想される「本」や決意の光での「蝶」、翠いカナリアの「鳥籠」(余談へ)が登場するのはすぐに納得できますが、この曲で新たに登場したのは「機械仕掛けの時計」「懐中時計」「天球儀」。歯車なステージと機械仕掛けの時計のようなスチームパンク感漂う背景は真っ白の女優帽に白の手袋、淡い翡翠色のワンピースという上品なお衣装と意外にも調和を生みます。
「機械仕掛けの時計」「懐中時計」「天球儀」のように新たなアイテムが登場したわけですが、これらはまさにEMOTIONがスコープ(後述)とする栞子ちゃんの幼少期からこれまでの変遷を辿るように、その時間の流れを示唆する物だと私は考えています。
1. 天球儀
一見すると時計や時間とは関係無いように思えるかもしれませんが、扱いによっては間接的に時刻を示し得ます。天球儀とは地球から見える宇宙空間に広がった星が「天球」という仮想的な球体の内側に貼り付けてあるというように便宜的に考えたものです。これにより天球が動くと星も動くと考えることができ、星の動きを簡単に扱うことができます。ある星は地球に近くてまたある星は地球から遠いというような星の奥行き情報は、ぱっと星空を見る際には考える必要は無いですものね。このため、自分を含めた地球はこの天球の中にいることになります。
日本では下記gifのように北の空(北極星)を中心にして、時間が経つにつれて星々は東の空から上り、西の空(地平線下)に消えていくように見えます。
逆に言うと、天球儀を反対向きに(つまり星が西から東に動くように)回転させると時刻は巻き戻っていきます。今回栞子ちゃんは天球儀をこの図で言うと西から東向きに回していました(下記図参照)。つまり、時間は逆方向に進む=時が巻き戻ることを意味します。これにより、天球儀を逆回転して過去に戻り、過去の自分や思いと対峙しているのだと私は捉えています。
先述の通り天球儀という性質上、天球儀の内側に地球(私たち)が存在することになるため、「天球儀を外から見る」行為は「=鳥籠に閉じ込められた自分を見る」や「=殻に隠した自分を見る」のような俯瞰的に自分を見るという解釈もできるかもしれません。
天球儀を回した直後に暗い図書室で不安げな表情を浮かべながらも、栞のごとく本に挟まれた羽を見つけます。その本を開くとその羽の挟まれたページには「鍵」が。
「地下の暗い図書室」は「過去の自分」「心の奥深くに秘めた思い」のメタファーとなっているのだと感じています。
2. 懐中時計
MVの冒頭から止まっていた懐中時計。
しかし、この地下の図書室で見つけた「鍵」が懐中時計を動かし始めようとします。先程の天球儀の件と合わせて考えると、過去に心の奥深くに閉じ込めた「スクールアイドルをやりたい」という気持ちをもう一度、動かし始めるという事を表現しているのだと感じました。
3. 機械仕掛の時計
こちらはステージのセンター上部にある大きな時です。MV冒頭からずっと0時0分を示していましたが、MV内で曲が終わった際に長針がカタッと動き出すシーンは栞子ちゃんのスクールアイドルの「これから」を表しているかのようです。今後ライブで披露された際はこの音もしっかり聴いてからFuuu!!!!になりましょう。言わずと知れた中須かすみちゃんの神曲「無敵級*ビリーバー」の「エへッ」と同じやつです気をつけましょう。
他🔖曲と比較したEMOTION
ここまではアニガサキ2期7話「夢の記憶」と挿入歌「EMOTION」という2点のみに焦点を絞っていましたが、ここで他の栞子ちゃんのソロ楽曲と比較した際の「EMOTION」の立ち位置について考えてみたいと思います。私は「三船栞子がスクールアイドルになる過程」を記したストーリーソングとして以下の3曲が挙げられると考えています。
決意の光
翠いカナリア
EMOTION
逆に「コンセントレイト」「咬福論」は同好会に加入をしてから、今まで触れてこなかった世界への新たな挑戦という位置付けだと私は感じているので、本記事では言及しないことにします
「決意の光」「翠いカナリア」はスクスタベース、「EMOTION」はアニガサキベースとなっており、更に3曲を比較してみると「決意の光」「翠いカナリア」は栞子ちゃんが同好会に加入してからの夢、将来、目指すスクールアイドル像のようなものを綴っているのに対し、「EMOTION」は幼少期から現在(スクールアイドルの一歩を踏み出し)にかけての想いを綴っています。
栞子ちゃんを語る上で欠かせないのが姉の三船薫子さん。
アニガサキ世界線では薫子さんは紫苑女学院でスクールアイドルをしており、幼少期の栞子ちゃんはその姉の姿に憧れます。しかし、スクールアイドルの甲子園「ラブライブ」本戦に出場できずステージ上で泣く姉の姿は幼少期栞子ちゃんの目に、記憶に鮮明に焼き付きます。それまでは姉と同じようにスクールアイドルをしてみたいという気持ちがありましたが、この出来事をきっかけにその気持ちを心の奥底に封印してしまいます。
この幼少期〜現在にかけて、一人で想いを封印し続けたという事実が既に栞子ちゃんの根の真面目さと同時にある意味での真っ直ぐさを表していると感じました。でもこの気持ちを聞かずとも感じ取っている薫子おねえちゃんも好きよ…..
このように姉を交えた幼少期のエピソードがダイレクトに人格形成に関わっているため、この作品における「三船栞子」という人物の奥行きが増しているのだと思います(当方、栞子推しですので多少なりとも感じ方にバイアスがかかっていると思われますのでご了承を)。薫子さんが自宅でセミを解き放ったらスクスタ世界線、解き放っていなければアニガサキ世界線というネタがありましたね
話を「決意の光」「翠いカナリア」に戻してみましょう。
両曲は力強い歌詞という共通点がありつつ、込めてる思いは異なります。「決意の光」はスクールアイドル同好会に加入したばかりで、まだ明確な目標は決められていないけれども、自分のパフォーマンスで誰かの力になりたいという思い。「翠いカナリア」は自身の心に抱えていた靄を振り払い、今までの自分とは違う、明日へ、未来へと羽ばたく思い。
以上のことから上記3曲はスコープは異なりつつも三船栞子ちゃんの「過去、現在、これから」を表しているのだと解釈しています。
また、EMOTIONの歌詞とも関わりますが、今回のストーリー上、幼少期栞子ちゃんの回想が多く登場します。これを反映してなのかは不明ですが、「決意の光」「翠いカナリア」と比較すると「EMOTION」はシンプルかつ砕けた口調が多い歌詞となっています。特に下記の太文字部分について、アニガサキ2期放送当時は非常に新鮮だったと記憶しています。
これはスクスタ楽曲「決意の光」「翠いカナリア」の高校1年生とは思えない程に熱くて、力強い、信念を持った歌詞を見ていたからこそ相対的に感じているのかもしれませんが。(むしろ「EMOTION」の方が等身大の高校生に近いと言えるかもしれない)
と言いつつも、早速訂正です。「EMOTION」で非常に力強い歌詞、ありました。
そう!!!楽曲最後の2段階転調「あなたに届け」!!!!
1段階目の「あなたに届け」は1番、2番の歌詞でもあったものと同様でしたが、2段階目は転調した上に歌詞に「!」が付いているんですよね。
これは個人的な話で、
EMOTIONのFULLを初めて聴く際に歌詞カードを見ながらだったので、最後に「あなたに届け」が連続して2つある!と直前でネタバレを喰らっていましたが、2回目「あなたに届け」の不意打ち転調があまりに強烈すぎて思わず笑ってしまったことを思い出しました笑
作詞/作曲/編曲のtofubeatsさん、ありがとう……….
虹5thで魅せてくれた小泉萌香さん、ありがとう………
ライブパフォーマンス
さて、虹5thライブでの話が出たため、ライブで披露された「EMOTION」にも触れたいと思います。ライブでの披露は2022年9月の虹5th「虹が咲く場所」全4公演と2023年1月の「UNIT LIVE! ~R3BIRTH R3VOLUTION~」全2公演の合計6回となっています。(LL-Fans参照)
(虹ヶ咲で初めてコロナ後の声出しが解禁されたのが2023年2月の「UNIT LIVE! ~A・ZU・NA LAGOON~」なので、つまりEMOTIONの声出しあり披露は一度も無い…!?)
なんと言っても、ライブでのこの楽曲の見所は三船栞子役 小泉萌香さんによる表情管理の徹底さでしょう。
スクールアイドルの楽曲では笑顔やクールな表情がライブ中の基本となりますが、この曲のアニメMVではAメロは真顔な表情で、サビでようやくライブを心から楽しんでいるのが伝わってくるような穏やかな笑みを浮かべます。これらの表情の移り変わりは過去に抱いた「スクールアイドル」への憧れを自ら心の奥深くに仕舞い込んだ(ある種の諦め)ことと、その気持ちを解放するというストーリーを表しているかのようです。
一方ライブパフォーマスでは、
1番はMV冒頭からサビに入るまでと同様、ずっと感情を表に出していないような真顔で、2番サビ頃から感情や思いを外に出したいと訴えるかのように表情に色が付き始めます。
大サビ前の「どんな嵐の中でもこの声を届けよう」では必死そうな表情になったと思いきや、直後の「もう抑えることはないよ信じる道を行こう」では本当に歌詞の通りにもう抑えることはない、我慢しなくて良いという気持ちが表情に、特に目の輝きに現れていると感じました。
そして、大サビ(Cメロ)ではもう満面の笑み。
本番で、大勢の前で歌いながら、歌詞や栞子ちゃんの心情を表現するように1曲の中で表情を移り変えていく技術力の高さに脱帽です….
これは中々文章では伝わりにくいと思うので、ぜひ円盤をお持ちの方は見直してみてください。この記事公開の2024年8月26日時点では2022年2年開催の虹4thライブまでがサブスク解禁されているため、2022年9月開催の虹5thライブ解禁まで後もう少しというところでしょうか。
まとめ
以上のように「EMOTION」は三船栞子ちゃんの幼少期から現在までを「時計」や「天球儀」といったアイテムを用いる事で追い、「姉への憧れ」「スクールアイドルをやりたい」という過去に心の奥底に押し込んでいた気持ちと向き合う事でスクールアイドルとしての一歩を踏み出す曲だと思います。
最後に
アニガサキ2期以降に描いた記事が2023年栞子生誕祭と虹6thの感想で、楽曲についての記事は久しぶりでしたので、稚拙な表現があったかと思いますがご容赦くださいませ….. ただ2年前のEMOTION記事では早く虹5thで現地の、生の、小泉萌香さんによるEMOTIONを浴びたい!!という事を書いていたので、そのAnswerを書く事ができました。また、改めてこの曲に向き合う機会をいただいた企画主催のわらみん(@WaraminLiver123)さんには感謝しかありません。
アニメ化の予定は無いと言われていた虹ヶ咲も、アニメ1期,2期、ショートアニメ2本、OVAと作品を増やしていき、ついには劇場版3部作の1作目が公開目前となりました。今回フィーチャーされるメンバーの中に栞子ちゃんは入ってはいないと思われますが、果たしてどんなストーリーになるのでしょうか!!2023年のOVA同様にアクアシティお台場で映画視聴→ラーメン国技館でコラボラーメンを啜るという黄金ルーティンが楽しみです笑
完結編第1章公開まであと10日。次の担当はぽまえ(@pomae_maki)さんによるstars we chaseです!個人的にはミアちゃん楽曲の中で1番好きな曲で、秀ちゃんの発音が心地良く作業中によく聴いていた曲でした笑 ラスサビダンスも良くて、、、、明日の記事も楽しみにしていますね🍔🐇
余談
1. 鳥籠と羽
ラブライブ!でも象徴的な「羽」。
EMOTIONのMV内でも度々登場しますが、その色は羽の通常色である白やイメージカラーの翡翠色かと思いきや「青」。
個人的にはシリーズ初の10人目のスクールアイドルに小泉萌香さんが抜擢されたという意味合いが強いと考えています。虹ヶ咲加入時インタビュー記事(※3)にて三船栞子役 小泉萌香さんはAqoursのオーディションに参加していた事を明かしています。落ちたことが悔しくて涙が止まらなかったとあり、そこからのシリーズ初の10人目のスクールアイドルとしてアニメ版としても歩み始めたというのがこの青の羽の意味する大きな所かなと。
2. おっちゃんラブライブ!の曲作ったことあんねんシリーズ好き
このままの意味で、EMOTIONの作詞作曲担当のtofubeatsさんによる一連の投稿好きです😂 年1ペースで上げられているので、次の投稿は2025年でしょうか笑
参考
※1:EMOTIONダンスシーン映像/ラブライブ!シリーズ公式チャンネル(YouTubeより)
※2:天球儀描画gif作成の参考
※3:虹ヶ咲加入時の小泉萌香さんインタビュー記事