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ジュビロ磐田戦でのあるアナウンサーとのビハインドストーリー

ワッキーさんがTwitterで真似してくれた、ヘディングの元ネタとなる動画をJリーグ公式がアップしてくれた。

それを見てふと、あのゴールのビハインドストーリーを思い出した。


キャリアハイ

2017年、キャリアのセカンドブレイクを謳歌してた。

キャプテンにして、変えの効かないチームの中心。

そんな初めての経験

自己中心的な僕にはこんなにも心地いい時間は、後にも先にもなかった

自信満々で、怖いものはなく

パフォーマンスも抜群だった。


ヤン・ヨンソン招聘

2018年監督が変わった。

クリスランという新たな刺客が送り込まれた。

始動して最初の紅白戦で、2得点した彼は監督の心をガッチリ掴んだ。

その後、焦ってプレシーズンで結果を出しまくっても監督の意思は堅かった。


スタメン落ち

そして開幕戦。

実は34歳にして、Jリーグでの初めてのスタメン落ちだった。

恥ずかしかった。

Jリーグでは絶対的な存在だった自分がベンチに座ってること

相手が「なんでチョンテセはベンチなの?」と話すのを考えただけで

恥ずかしさと同時に、怒りが湧き出てた

他人はそれほど気にしてないって今はわかるけど、

ありえないほど心が乱れていた


矢印他人

なんで監督は俺を使わない?

でれば活躍するに決まってるのに

ヤン・ヨンソンふざけるな

クリスランより俺の方が良いに決まってんだろ

クリスランムカつく、

強化部なんで?俺一人でいいじゃん

タイプ似てる選手とる必要ある?

このまま1年棒に振ったら、俺の選手人生どうしてくれるんだ!

困難な状況を到底受け入れられない自分は、人のせいにすることでしか生きてられなかった


自責

夜は自分を責めて、ネガティブに飲み込まれる

枕元に銃があったら一発で悩みから解放されて、どれだけ楽だろうか。

しょっちゅう手を銃の形にして、人差し指と中指をこめかみに押し付けてた。

試合後の車の中でいつも悔しくて泣いてた。

声を出して大声で一人で泣くこともよくあって

まさに生き地獄だった。


SBSテレビ静岡放送アナウンサー

桑原秀和との飲みの場

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その時期はストレスが溜まりすぎて

正直

飲まなやっとれん」状況だった

この年の休みの前日は毎週、飲みに行ってた


アルコールで分泌されるドーパミンというものは凄くて

ぜってースタメン戻ったる!って勇気が湧いてくる。

でも所詮は一過性のもの。

酒が入ったら涙もろくなり、

カラオケ歌いながら、また泣くという

マジでダルいやつだったと思う。


その時期に出会ったのが桑原秀和というアナウンサーだった。

一緒にバーで飲みながらサッカーの話になり、

いつも通り僕は愚痴り始めた


チームメイトとだったら励ましてもらって、また頑張ろうという流れだけど、

彼はずっと外から躍動する僕を見ながら

「一流のサッカー選手」「鋼のメンタル」

「闘志剥き出しの強い選手」

というイメージがあったみたいで

そのイメージとはかけ離れた、目の前にいる

『弱いチョンテセ』

に思うところがあったのか

僕にこう言った。


「何クヨクヨしてるんですか、弱気にならないでください

そんなチョンテセ見たくないです」

と真顔で説教された

部活の経験から、腐ってる先輩ほど、見たくないものはないらしい


トンカチで頭かち割られた気分だった。


普段飲んでる相手は、気分を害さないために

共感してくれて、励ましてくれてた。

傷を舐め合ってたという表現があてはまる。

だから気持ちよくて毎週飲んでた。


でも彼は違った。

弱音を吐く僕を叱り、本音で訴え、律した。

そこから目が覚めた。

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初の自分とのお見合い


課題に取り組み、将来の不安に囚われず、今出来ることをし、自分と向き合った。

他責せず、他人に乱されず、自分を高める覚悟

人の目を気にせず、

サッカー選手でいられている今日に感謝して、

1日も無駄にしないでキャリアを終えようと決めた。

初めて努力というものをした。

今までのはただ、感情のままにがむしゃらにやってただけだったと。

それは努力は言えない。


久々のリーグ戦スタメンゴール

2019年序盤でついにスタメンのチャンスが来た。

そこから2試合スタメンのチャンスが来てたものの、ゴールが取れず2連敗

でも、かなりいい感触だった。

それまでヤンヨンソンに怒鳴られすぎてた僕は、萎縮し、ボールを受ける事を怖がっていた。

受けても、ミスしないようにすると読まれやすくなり、ミスをする。

ミスをしたらさらに萎縮し酩酊状態になり思考停止。

最悪のパフォーマンスになる。


だけど、自分と向き合った末に出場したその試合は、

迷いと、恐れがなく

自信満々だった時の自分のパフォーマンスが出せていて

ボールが集まり、攻撃の中心に自分がいる。

シュートも5、6本打ってた。

その感覚が懐かしく、清々しかったのを鮮明に覚えてる。

これこれ!

って心で歓喜してた。

でももちろんスタメンでの結果が出てなかったので

どれだけ焦ってたかは想像に難くないと思う


その結果、スタメン3試合目のジュビロ磐田とのダービーでのゴールにつながった。

一年以上スタメンから外れていて、その間のフラストレーションが爆発して

とにかく叫んだ、

喉が張り裂けるほど叫んだ。

あの悔しい日々が甦り、叫ぶしかなかった。

みんなもその苦労を傍で見てたので、大いに喜んでくれた。


伏線回収

そしてなんの因果か、その時のテレビ放送のリポーターが桑原秀和だった。

終わってハイライトを見返したら

「スタメン落ちの苦しい時期を乗り越えて、強いチョンテセが戻ってきました!!!!」

と叫んでいた。

みんなには、平凡でありきたりなコメントに聞こえますよね?

僕ら2人の中では、一年前の伏線をここで回収した事になり

「強いチョンテセ」

この言葉には実は深い意味があったのです。


この状況で泣き虫の自分が泣かずにいられるだろうか

数え切れないほどの悔し涙のあとに、ようやく嬉し涙を流した。


人生うまくいかないことのほうが圧倒的に多い。

考えすぎてしまう僕には、人生は本当に苦しい。


昔のようにゴール数を積み重ねるのが難しくなったが、

違う角度でゴールを喜べる。

そしてこの一瞬、ほんと一瞬のために

途方もない時間と苦しみを経て得た財産


そんなビハインドストーリーがあったとさ。

そんな彼は、今でも僕がいってた清水の北脇の床屋に通ってくれてるそうです。


下記は当時のYahoo!ニュースです。


そしてこのあとドーベルマンが我が家に来ました。


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