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【準備を展げる】02/23, 24, 03/02 3つのトークセッション「手前の、そのまた手前の創作環境を展げる」

手探りの準備2024 振り返り企画「準備を展げる」について

どらま館制作部、ならびに手探りの準備2024メンバーの浜田誠太郎です。2/22(土)~3/2(日)に、どらま館制作部主催の展覧会『手探りの準備2024 振り返り企画「準備を展げる」』が開催されます。このnoteではその会期中に行われるイベントについてご紹介します。
手探りの準備 2024」ならびに「準備を展げる」につきましては以下のHPをご確認ください。


企画概要

どらま館劇場企画「手探りの準備」をたたき台にして、ものをつくりはじめる手前の環境について話してみるトークセッションです。今回は「観察」「約束」「練習」の3つのキーワードを設け、それぞれにゲストをお呼びしました。

観察・約束・練習の3つはどれも、集まることで創作の「ハードルが下がる」発想だと企画者は考えています。これらを組み合わせて「手探りの準備」は組み立てました。「集まることでハードルが下がる」ということは、創作のインフラを考えるうえで非常に重要な──しかしあまり話題に上がることのない──論点でしょう。

観察・約束・練習をおしゃべりのなかで解きほぐしながら、創作環境についてボトムアップで考えていきます。「セッション」ですので、ぜひご来場のみなさまも一緒におしゃべりしましょう。

会場

ワセダギャラリー
(東京都新宿区西早稲田1-6-1 27号館 地下1階)

参加費

無料

予約

不要

3つのトークセッションについて

①観察する集まり/集まりを観察する

日時:2025/2/23(日) 14:00~16:00
ゲスト:鈴木南音(すずき みなと)

1995年生まれ。早稲田大学文化構想学部 非常勤講師、日本学術振興会 特別研究員PD。 パフォーミングアーツの創作現場をフィールドに、社会学のエスノメソドロジー・会話分析の方法を使って、知覚について研究しています。演劇が好きで、前世では舞台制作をやっていました。


②約束する集まり/集まりを約束する

日時:2025/2/24(月祝) 14:00~16:00
ゲスト:旦妃奈乃(だん ひなの)

平成10年10月1日千葉県生まれ。 今が〈いつかの前日〉であるとし、いつかという奇跡へもがき祈る。人が集まる機構や状況を試しており、公園的集団「四日目四回目」、「待ち合わせ」、「アメンボズ」など。演劇世界では演出と呼ばれている。個人活動は「電話がかかってきたら100周走る」「飲料水観察」など。すきなことは落ちている枝やガラスを拾うこと。


③練習する集まり/集まりを練習する

日時:2025/3/2(日) 13:00~15:00
ゲスト:内田涼(うちだ りょう)

美術作家。2015年武蔵野美術大学油絵学科卒業。絵具の垂れや滲みによって生じた形を起点に構築していく絵画作品を中心に制作を行う。偶然性や他者性といった不確定要素を取り込みながら、形態に宿るイメージの解体や再構成を目指す。近年の主な個展に「ウィンド・ウィンドウ」(2024年,Otherwise Gallery /東京)、「スモークアンドミラーズ」(2024年、清須市はるひ美術館/愛知)、主なグループ展に、『奇数ソックスとノードNurturing Nodes in the Nook of an Odd Sock』(2024年,ギャラリーミヤウチ/広島)、「バグスクール:うごかしてみる!」(2023年,BUG/東京)など。


もっと詳しく

どらま館劇場企画「手探りの準備 2024」では、〈準備室〉と呼ばれる月一回の進捗報告会を参加メンバーと実施してきました。それも、ただ単に集まってフリートークでおしゃべりするのではなく、現状を書き込むGoogleフォームや会議の進行など、ある程度形式を決めたマニュアルに沿って運営してきました。「準備を展げる」ではその記録やマニュアルを並べて展示いたします。

使用しているフォームの例 ※〈現在地の観察〉はこの企画での呼称です

使用しているフォームやマニュアルは一見するとたいしたものには見えないし、なんなら「そんなものなくたって話せるっしょ」という意見も大いにありえます。ただ、企画者としては「創作のための相互扶助的なコミュニケーションとはどのようなものか」という問いに応えようとして、この企画の設えをつくったのでした。なんなら今でもちょっとずつマイナーチェンジしています。

外から見れば「手探りの準備」は界隈的なものに閉じたコミュニティづくりのように見えるかもしれません(ここには戦略的な事情があります)。しかし、ここで生じさせようと試みている相互作用のあり方は、必ずしもローカルなものではないようにも感じています。

ところで、創作のための環境づくりや、もっとザックリ「創作環境を盛り上げる」みたいな取り組みは現在も数多く行われていますが、そのほとんどが「活躍の場」と「選抜の場」の話に収斂してしまう印象があります。フェスティバルやショーケースなどをつくって活躍の場を増やしたり、ワークショップオーディションや賞レースなどの選抜の場を用意したりすることです。もちろん、これらは大事な取り組みだと思います。なにより、わかりやすい。ただ、「創作環境」を構成する要素はそれだけなのでしょうか。

「手探りの準備」は、実際の公演や成果の手前、あるいはそのさらに手前の、賞レースや大会、フェスティバルに企画書が選ばれる前の段階に目を向けた取り組みだと考えています。たとえば、お互いの状況を整理し合ったり、生煮えのアイデアを人に言ってみたりすること。あるいは、とりあえず人と会ってみたり、その場で試しに遊んでみたりすること。そういう段階は「創作環境」を下支えする非常に重要なステップではないでしょうか。

こういう成果の手前のプロセスの話は、「やはり対話が大事だよね~」とか「要はケアね~」みたいな結論に回収されがちです。しかしここではもう少し立ち止まって、その中身について考えたい。そのための一歩目としてゲストをお呼びし、お話を伺うところから始めてみようと思います。

今回は、「観察」「約束」「練習」という3つのキーワードを用意し、それぞれにゲストをお呼びしました。この3つはどれも「集まることハードルが下がる」ものであり、そして「集まることハードルが下がる」ものだと企画者は考えています。3つのキーワード×「集まり」という構えでトークに臨みます。

この「集まることハードルが下がる」という話が、実はけっこう難しい。なぜなら、現在は基本的に「集まること難しい」と思われているからです。その難しい集まりに向かっていくために「まずは自分ひとりが強くなってから…」みたいな発想は、ありふれているでしょう。そして、気持ちはよくわかります。

もちろん「集まること難しい」と思います。ただ、だからこそ「集まることハードルを下げる」ための工夫が必要です。にもかかわらず、集まりについての話は──ものによっては非常に些細な──工夫や方法という観点が蔑ろにされたまま、大文字の、誰も否定できないような言葉以上の議論になかなか進みません。たとえばハラスメントの議論などもそういう水準のものばかりです。

各トークセッションでは、展示されている「手探りの準備」の記録を一つのきっかけにして、「まずは日程調整をする」とか「ちょっとメモを人に見せてみる」みたいなちいさな実践から創作環境について話します。企画者の私も、当日どんな話になるのか未知数でワクワクしています。トークセッションですので、お越しいただいた方々はぜひおしゃべりに混ざっていただけると幸いです。

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