〈備忘録〉薄っぺらい表現を厚くしたい〈見得!作家初心者必読!〉
あなたは物語を書くとき、
「この表現、薄っぺらいな……」😢
と思うことはありませんか?
自分の表現に〈厚み〉を持たせたいですか?
単純で簡単な方法があります。
それは―――
●そのやり方って??
ずばり、「ではない」を置くことです。
🤔❓
これでピンとこないアナタ、やばいですよ!
さて、詳しく解説しましょう。
●その前に〈厚み〉ってなによ?
ここでいう〈厚み〉とは何か
ここで言う〈厚み〉とは、
「多角的な視点を感じさせること」です❕
要は「色々考えてる感」「手間かけた感」を出すことです。
●解説する!
「ではない」をつけると、なぜ厚みがでるのか❓
例文を用いて解説します。
例文〉「Bは綺麗である」を厚みを持たせて伝えたい
厚無し→「Bは綺麗である」
厚み有→「Aは綺麗ではない。だがBは綺麗である」
この「ではない」には〈視点を増やす〉効果があります。
わざわざ「Aは綺麗ではない」とか書くことで
・なぜか否定されるA
・BはAと比較された信憑性のある綺麗さである
という情報が加わります。
語り手の視点が1つでは無くなるのです。
あえて否定を挟む行為は
・否定したい本能
・信憑性の補強したい理性
2つの視点が混ざります。
最小限に〈語り手の視点〉を増やし、
〈厚み〉を持たせることができます。
●ほんとうかな?
とお思いの方、
確かにおられるでしょう。
信じて良いものかと。
しかし安心してください、
〈否定による効能〉はあらゆる分野で使われております。
例〉
目的:論理的に「○○である」と伝えたい!
文章〉
「確かに」××です。
「しかし」○○です。
論文でも用いますから知っている方は多い事かと存じます。
「否定を挟む」ことで主張を補強する方法です。
反例を出すことで信憑性が増します。
え? そんな事以前からやっていたって?
あー甘いですね。
次の項で重要性を説明するんで身に刻み込んでください。
●自覚しよう
自覚。
恐らく小説書き始めの人(特に学生とか)は
〈否定〉を〈何となく〉使っていたかと思います。
この「何となく」がノイズを生みだすのです。
文章はノイズが多いと真意が伝わりづらくなります。
〈なんとなく否定〉を続けると、
「俺の思ったニュアンスで伝わっていない!」
て不具合が出ます。
嫌ですよね?
なので、
表現は自覚して、ここぞという箇所にのみ使いましょう。
でないと、
文章全体に似たり寄ったりの厚みが生じ、
結果として、ぼやけた平面的な文章になってしまします。
●応用例
2004年に発売されたOVA「コゼットの肖像」を例に出して説明します。
ホラーアニメですが、この作品は2人(亡霊の女の子と主人公の男の子)のラブストーリーの構図で話が進みます。
ここにも〈厚み〉を持たせるために〈否定〉が入ります。
それは
「選ばない」という〈否定〉。
2人のラブストーリーならば2人の登場人物だけでも成立します。
ラブストーリーなら「相手がその子である意味」も大切です。
なぜ、その子を〈選んだ〉のか。
〈選ぶ〉とは〈その他を選ばない〉事です。
この物語には、美少女ゲームのように複数の美女が主人公を取り巻きます。
ですが主人公は美女たちを選ぼうとしません。
よっぽどヒロインに心酔している様子がうかがえます。
つまり、〈選ばない〉という〈否定〉で
主人公の人間性を表しているのです。
単に「ヒロインが好き」でも良いところを
「その他美女を差し置いてヒロインが好き」にすることで、
より真剣に好きである事が伝わります。
このように、構造的な〈否定〉もまた、
厚みを持たせることに一役買っているわけです。
●まとめ
いかがだったでしょう?
今回は〈否定する事で厚みが出る〉をテーマに語ってみました。
読みづらかったら言って欲しいです。
僕も昔「○○だ」と言い切って伝わらない経験がありました。
今では、物事の輪郭は否定によって浮彫になる事が多いな、と思います。
浮彫――立体感――厚み。
平面的な言葉を、立体的にする事。
それによって語れる事は非常に多いのです。
みなさんも様々な〈否定〉で〈厚み〉を持たせて楽しんで欲しいです。
●〆に
今回の記事は昔の自分(小説を始めて書いて苦悩してたころ)へ向けて書きました。
「これさえ知ってればもっと書けたのに……」と思ったので備忘録にした次第です。
物語を書きたい人達の助けになれば幸いです。
今回取り上げたのは数あるやり方の一つでしかありません。
今後もいくつかやり方を取り上げます。
見得です。
ちなみに僕が小説で使った〈否定〉の技法は以下です。
❶予想・偏見を述べてから
❷上を否定する、真実・結果を表す
こう記すと単純ですが、
書く順番としては❷→❶でした。
一番書きたい内容❷を置いて、(その補強のために)否定される❶を用意しました。
実際に小説で用いた文章で説明します。
シチュエーション;「私」は生徒会長にある人物の正体を尋ねる。その生徒とは、生徒会新聞に〈上手い絵〉を寄稿した人物である。
実際の文章≫
私「私の絵を載せてくれるなら何でも良い。で、その子ってどんな子?」
〇
1年下の女の子。
教室の外から見えた。
会長が指を指す。
私「あの地味そうな子?」
会長「違うよ。あの派手な子」
私「……あの子? いや待ってあの子って」
有名な子だった。
学校に通いながらモデルの仕事もしてるという。
≪ここまで
「あの地味そうな子?」が否定用の❶
「違うよ。あの派手な子」が❷です。
一旦地味そうな子を指すことで、
派手な子の立体感を強調しました。
実はこの小説はラジオ用だったので、
キャラを表現するには、限りなく短い文章でないといけませんでした。
なので対比を用いるのが丁度良かったのです。
〈絵が上手い人は地味〉という偏見が
主人公と読者の両方にある場合、強いリンクを生み出します。
また、スムーズに読ませる狙いもあります。
もしも逆に書くとどうなるでしょう?
偏見をすっとばし、
「まさか、あの派手な子?」「そう、あの派手な子」
だと偏見を抱いた読者を置いてけぼりにします。
急なハンドルを切られるような感じ。
切り替えが激しすぎて読者は躓きます。
(ミスリードで躓きになる懸念もあったが、その手の読者は想定読者から除外する事にした)
このような複数の判断を照らし合わせて、この文章にしました。
〈否定〉の前置きは、文章に厚みを持たせるだけではなく、
短い文章でも、副次的な効果を狙う事もできました。
ただし、これはあくまで表現に詰まったときの手段です。
〈否定する事〉は癖になりがちなので、目的を持って、気を付けて使って下さい。
ここに書いたお堅い文言ですが、
僕はラフにやってる事が多いです。
それでも記すのは、自分がより面白く書けるようになるからです。
〈目的〉〈手段〉〈判断〉〈結果〉を意識して作ると面白くなりますよ。
もちろん、本当に一番大事なことは誰も上手く説明できないものです。
そういうもんだと意識してみてください。
●言い訳
言い切って書いた方が頭に入るので言い切ってます。
頭の中で「※ただし著者の頭の中では」とつけておいてくださいm(__)m。