こんなひといたよ 第14話「人のもの盗んで夢を叶える男」
私の読んだマンガで出会った人たちの物語を紹介するシリーズ「こんなひといたよ」。
今回も、古谷実の「わにとかげぎす」から4人目。富岡が夜警している施設のグラウンドに夜侵入してきてサッカーをはじめた若者たち。富岡は、びびって黙認をしている。
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若者たち4人は、地べたに座り込んでスーパーで買ってきたパックの鮨を食べながらしゃべり始めた。何やら物騒な話だ。
「もっちゃん、今日やったそのアウディはさぁ…ちゃんと調べて前々から狙ってたの?」
「いや超偶然だよな」
「うん…オレとメシ食って帰る途中だもん」
「持ち主のオッサンが自分の家の前に車つけてさ『荷物は~ん?』とか言って家入っちゃったんだよ。ドア半開きでエンジンかけっぱなしで!」
「うわ~なにそれ?超よゆーじゃん『とってくれ!』って言ってるようなもんじゃん」
どうやらこの若者たちは車を盗んで売り飛ばしているらしい。富岡は言った「き…君らはアレかい?車ドロボーやってんのかい?」、若者たちは無言で冷たい目線を富岡に向けた。
「まぁね…今は特に、言っちゃダメだよ。」
「彼はね…店持ちたくて今必死で働いてんだよ。床屋やりたいんだって!ちゃんと免許も持ってんだよ」
「おいっ床屋って言うなよ!バーバーだよ、バァ~バァ~!!雑居ビル丸ごと借りてやるんだ…1階がバーバーで、2階はシガーバーだ!世界の葉巻が全部そろってるぜ!」
「トミーはどうなの?夢とかあんの?」
「あっオレわかった!トミーの夢はここに俺達が来ないことだ」
ハハハハハー
夜空に彼らの甲高い笑い声が響く。
翌朝、富岡は彼らが散らかしていったゴミを一人拾いながらつぶやいた。人の車盗んで…それを売って…その金で夢をかなえる。何てこった…信じられねぇ」
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よくいますかね?自分の周りにはいないが…社会にはある一定層いるのであろう。知らんけど。社会と自分の関係、距離感がまだつかめていない子どもである。それが大人になるのだからおそろしい。