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こんなひといたよ

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私テリーがマンガで出会った人たちの物語
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2020年6月の記事一覧

こんなひといたよ 第21話「人の不幸に同情できるおじさんたち」

奥田英朗の「我が家のヒミツ 手紙に乗せて」から「人の不幸に同情できるおじさんたち」を紹介する。 若林亨は父母と妹の4人家族だった。突然の母の死によって家族の状況は大きく変わった。とりわけまだ50代前半で伴侶に旅立たれた父の落胆ぶりは顕著だった。食事はできない、睡眠もとれていない…心身ともに不調をきたしている。亨と妹その父の状況を毎日心配しながら生活をしていた。亨は、共に仕事をする若い同僚たちと、中高年の上司たちでは、自分に対する接し方が随分と違うことに気づく。 ***

こんなひといたよ 第20話「UFOと交信していると言う夫を持つ妻」

第18話に続き奥田英朗の「家族」を扱った物語。文庫「我が家の問題」から「夫とUFO」というお話を紹介する。 夫がこんなことを言い始めたらあなたはどうしますか? 「実はさ、UFOがね、おれを見守ってくれているんだよね。最近は彼らと交信もできるようになってさ。なんか、いい感じなわけ」 妻である美奈子は、なぜ夫がこんなことを言い始めたのか…気が付けば本棚はUFOの本ばかり、休みの日にはあやしい集会に出かける夫。夫を守るため、家族をまもるため美奈子は立ちあがった。 *** そ

こんなひといたよ 第19話「小規模な絶望を抱え生きる男」

福満しげゆきのマンガがたまらなく好きだ。主に「妻」をネタにした「僕の小規模な生活」や「うちの妻ってどうでしょう」などで有名な人気漫画家である。基本すべての著作に自身が出てきているので、その人柄を感じることができる。 その人柄はなかなかやばい人である。特に初期の作品で、高校時代~マンガ家になる前の自身の生活を描いた「ぼくの小規模な失敗」の中では、なかなかヒドイ自虐的で、世の中のレールにのれなかった自分を責めている心情をつづっている。 今回は、この作品の中から福満氏が人生に絶