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台風の被害、風評の被害

台風21号の影響はまだ続いています。関空は運航を再開したものの、便数はまだ通常時の2割以下。いつもはインバウンド観光客で賑わうミナミの町も人出は半減しています。

こうした中、大阪府の松井知事が万博招致のために欧州歴訪に出発しました。皮肉なことに関空ではなく中部国際空港から飛び立った松井知事は、台風による風評が招致に悪影響を与えないよう意識しなければならないことでしょう。6月の地震の際もそうでしたが、メディアは最もセンセーショナルな映像を選んで報道するため、外部から見るとあたかも大阪が災害が多く災害に弱い都市に見えてしまうからです。

地震や台風といった自然災害を避けることはできません。一次的に都市運営に支障をきたすこともやむをえません。けれども、地震の後も台風の後も大阪の町は正常に機能しており、ほとんどの人たちは普段どおりの生活を送ることができています。数十年に一度という規模の地震や台風が同時に起きた年ですらこの程度の被害で留めることができた事実は、むしろ、災害に対する備えが行き届いていることの証左であるようにも思えます。

インバウンド誘客であれ、万博誘致であれ、風評被害の拡大だけは避けなければなりません。観光収入が関西経済の1%を占めるとまで言われる昨今、災害そのものの被害よりも風評による被害の方がはるかに大きな経済的ダメージにつながる可能性があるからです。実際に起こった災害やその被害程度を正確に伝えることはもちろん、災害対策のあり方やそれがどう機能したのか、事後対応がどうだったのかについても的確に情報発信することで、安全性を正しくPRしていく努力も必要になります。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35114100X00C18A9LKA000/


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