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30歳、住所不定、無職カップル。それでも生きる。

この記事は10日間ライティングチャレンジ7日目の記事です。Day1~Day10で国際カップルのあれこれを書いています。
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今回はカナダから引っ越してきて、日本で生活をスタートさせたときの苦労話を書いています。
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ただいまニッポン!

約7年住んだカナダを離れ、2016年の夏、日本帰国。彼にとっては日本移住。

日本へ移り住むことを決めてから、住居や仕事をインターネット上で探していた。当時はまだオンライン打ち合わせが今ほど浸透していなかったこともあり、カナダからの住居・仕事探しは困難な状況。

「とりあえず行ってから探そう」

という呑気な思考のせいで、後々苦しむこととなった。

住み着いたのは縁もゆかりもない福岡

家は決まらなくても、とりあえず住む都道府県は決めねば!ということで、彼と2人毎日のように話し合った。いや、話し合ったというより、自分が住みたい街を彼と私、それぞれリサーチして、お互いにプレゼンしあうような感じ。「推し自慢」をしているようで楽しいひとときだった。

東京、大阪、札幌、広島、沖縄…… いくつか出た候補地の中から選ばれたのは、福岡!

千葉出身の私は家族も友達もみんな関東圏内なのだが、私たち2人の意見が一致した場所が福岡だった。
よく「なんで福岡に住もうと思ったの?」と聞かれることがある。その問いへの答えはいつも……

「え?なんとなく」

リサーチしただの、プレゼンしただの言っておきながら結局は「なんとなく」なのだ。

なんとなく福岡に決めて、彼の友達が唯一1人福岡に住んでいたのでメールを送ってみた。友達から来た返信メールには、どれほど福岡が素晴らしい街か、約1500文字にわたる長文で書かれていた。

このメールが安心材料になったことは間違いない。

30歳住所不定、無職、無スマホのカップル

スーツケース4個と60万程度の現金を持って福岡空港に到着。人生チャプター2の幕開けに心が躍ってしまい、このあと待ち受ける苦労なんて想像もしていなかった。

良さそうだけど、よくわからない街、福岡。右も左もわからない私たちは、長文で福岡の魅力を語ってくれた彼の友達、C君を頼ることにした。家も仕事も決まってないくせに、お金もたいして持ってない私たちはC君の家に居候させてもらうことに。

快く居候させてくれたC君だけど、私は申し訳ない気持ちもあり、1日でも早く家を決めたかった。福岡についてすぐ不動産屋めぐりを開始。

家賃相場14万円が当たり前のバンクーバーから引っ越してきた私たちは、福岡の相場がわからない。ひとまず「10万円くらいの家を探している」と不動産屋さんに伝えると、鼻で笑われた。

福岡で10万円を超える家賃は高級物件になるようで、貯金も仕事もない私たちには、契約すらできるわけがないというのだ!仮に10万円以下の家だとしても、仕事がないカップルでは契約が難しいかもしれないという。

そりゃそうだ!住所不定、無職のカップル家を貸すなんてギャンブルすぎる!

そう納得し、家探しと同時に仕事探しも開始。(本音を言えばまだもう少し働かずフラフラしたかったのだが。)
彼はカナダから帰国したばかりでスマホすら持っていなかった。連絡先がなく、履歴書が作れないため、急いでスマホを買いに行った。

このとき負のスパイラルにようやく気づいた

仕事がない→家が契約できない→住所がないからスマホを契約できない→連絡先がないと仕事を探せない

シェアハウスが一般的なカナダでは比較的簡単に家が決まる。そんな感覚で日本の生活をスタートしてしまった私たちは、いきなり躓いた。

恥ずかしながら、30歳にもなって母親に家の契約をしてもらった。本当に身寄りのない外国人は一体どうしているんだろうか……

本当の苦労はここから。口座の残高3万円!

なんとか敷金礼金ゼロ物件を、母名義で契約し、住居を確保。喜んだのもつかの間、ここでも忘れていることがあった。
冷蔵庫やオーブンなど最低限の家電製品が設置されているカナダに対し、日本では引っ越しの度に、すべての家具や家電を買いそろえるという常識を忘れていたのだ。

ベッドもタンスも買わずに過ごした、福岡生活最初のアパート

口座の残高がみるみる減っていく……
まずは少しでも収入を作らねばと思い、私はすぐに派遣の仕事を始めた。日本では働き始めても、実際に口座に給料が振り込まれるのは約2か月後。ついつい、カナダとの比較ばかりしてしまう。

カナダだったら2週間後、遅くても1か月後には給料の入金があるのになー。

一方、彼はというと、英語教師や通訳のバイトで小銭稼ぎをしつつ、フルタイムジョブを探していた。なんでもいいから繋ぎの仕事を見つけてほしいという私の気持ちとは裏腹に、彼は「本当に自分がやりたい仕事」にこだわっていた。そのため求人広告は閲覧するものの、応募にまで至らない。

口座の残高を見ながら焦る私と、「自分の好き」にこだわる彼。イライラしてしまう自分の感情をなんとか押さえ、彼を信じて待った。(と言いつつめっちゃプレッシャーを与えていたかも。)

待ち続けること3か月。ようやく彼の仕事が決まった!!しかも外資で大好きな旅行に関わる会社。30歳の大人が大はしゃぎで喜んだ。

これで収入確保!と思いきや、ま~た忘れてた!

給料振り込みまで2か月かかるじゃーん!!

そして私たちの口座は2人合わせて、わずか3万円になってしまった。

借金目前の奇跡

3月1日から彼の仕事がスタート。最初の給料が入るのは4月25日。この約2か月間の間にやってくる請求は1か月分の家賃と光熱費。そして食費などと併せて、引っ越し時に購入した家具の分割払いを含んだカードの請求。私の計算では約15万円。

3月25日に入ってくる私の給料が約15万円ほど。ギリギリアウトなのか、セーフなのか本当にすれすれのラインを生きていた。仮に3月を乗り越えられたとしても4月25日の給料日まではもたない。母に借金するか、カナダに僅かばかり残してきた貯蓄口座のお金を引き出してしまうか、そんな選択に駆らる状況。

もう本当にヤバい!と思った3月25日。彼からの連絡が入る。

「入社月に給料が振り込まれるらしい!!だから今日給料入ってたー!!」

セ――――――フ!!!!!!!

こうして3月27日に家賃、光熱費、カードすべての引き落としを無事に乗り越えた。ギリッギリのところで食いつなぎ、なんとか2人の日本生活を継続。

そもそも日本の給料サイクルってしんどくないか?!ゼロからスタートを切る人にもっと優しいサイクルになったらいいのになあ……


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